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間違いのないジャッジができる 〜 スピンソルファ牧野忠義氏インタビュー

2020.03.18

音楽制作を取り巻く環境。近年は、プライベートスタジオや自宅環境、あるいは独立型のプロジェクトスタジオで制作からミックス・マスタリングまで一通りの作業を行うというケースも珍しいものではなくなってきました。プロ/アマチュアで使用するDAWやプラグインにも大きな差はなくなりつつあります。そうなると違いが出てくるのが、音の最終的なアウトプットを行うスピーカーと、それを鳴らす環境ともいえます。

カプコン在籍時にモンスターハンターやドラゴンズドグマ等のコンポーザー、ミュージックディレクター、エンジニアを務めたのち、2016年より音楽制作会社スピンソルファを設立しファイナルファンタジーXV(戦友、エピソードイグニス等)やNHKスペシャルの音楽を担当する作曲家/プロデューサーの牧野忠義氏も、ご自身のスタジオで制作から最終のアウトプットまでを行なっているとのこと。

壮大なシネマティックサウンド、重厚なオーケストレーションを得意とする牧野氏が「このスタジオで最終ジャッジまでを可能にしたい」と導入したのが、SonarworksのReference。スタジオの音響特性を計測し、モニタースピーカーをフラットにするツールを導入することで、どのような変化・改善があったのか牧野氏に伺いました。


これならこのスタジオでも間違いのないジャッジができる

- スタジオのモニタースピーカーの入れ替えにともなって、SonarworksのReferenceを導入されたとお伺いいたしました。

はい、これまではFocalのShape65と50で5.1chのサラウンド環境を作っていたのですが、フロントのLRを同じくFocalのTrio6 Beに入れ替えました。この入れ替えに伴って、Referenceを導入してみました。

- こういった計測&補正のツールは初めてですか?

実は、このスタジオを作ったときに他社製の補正ツールを使ったことがあったのですが、あまりにも「補正されすぎる」という印象で、その音が正しいのかどうか疑問が拭えなかったんですね。なのでしばらくこういった計測&補正ツールを使わないようにしていました。でも、より解像度の高いスピーカーを導入するにあたって、このスタジオでも最終的なジャッジができるようにするべきだろうという思いがあり、たまたまメディア・インテグレーションのスタッフさんがReferenceを紹介してくれたこともあって導入してみたんです。

- Referenceをオンにして聞いた時の、率直な第一印象をお聞かせください。

モニターと耳の間にあった膜が一枚取れたかのような、こんな短時間の作業でここまでクリアになるのかと驚きを感じました。センターの音はしっかりとセンターから、LRに広げた音はイメージ通りの存在感が感じられる様になりました。

- 牧野さんはオーケストラものも数多く手がけられているので、ホールリバーブなど特に空間系のエフェクトの判断にも変化があったのではないでしょうか?

はい、リバーブは特にテイル..リバーブ音の消え際が分かりやすくなりましたね。特に今まで分かりづらかった低音楽器のリバーブ感、余韻が残る部分。今までだとヘッドホンで緻密に確認しないと判断が難しかったフェードアウトも手に取るようにスピーカーで見える様になりました。

購入するにあたって色々な方のレビューも見ていたのですが、多くの方が語っているように「もう(Referenceなしには)戻れない」と感じました。同時に「これなら見落としの少ないジャッジができるんじゃないか」と言う期待もありましたね。

- 計測の作業はいかがでしたか?

この手の計測&補正ツールって「計測が面倒で、難しいとか面倒そう」という印象をずっと持っていたのですが、非常に簡単で驚きました。15分程度で終わってしまうので、むしろ「こんなに簡単でいいの?」と思いましたね。時代の進化もあるのでしょうが、ナビゲーションがしっかりしていて迷うこともありませんでした。

- 計測中、ほぼマウスやトラックボールを触ることなく進められるのも良いですよね。


個性を殺す?「むしろ逆」

- こちらが、牧野さんのスタジオのFocal Trio6 Beの計測結果ですね。80Hz近辺に谷があり、45Hzあたりに山ができていますね。対して300Hz以上はほとんどフラットに近く、また左右のズレもないですね。

Referenceを導入する以前、エンジニアさんをここに招いて話していた時に「中低域が盛り上がっているように感じると同時に、ベースラインが見えにくい印象だ」という話題になったのですが、まさにそれを表すような計測結果で、大いに納得しました。このスタジオはRch側の1m先が壁になっているので45HzあたりのRchに山ができているのも想定通りです。実はTrio6Beより数日前にReferenceが届いたのでShape65でも計測していたのですが同じ様に80Hzあたりに谷がありましたので、この部屋の特性だと伺えます。エンジニアとも「ここで作業が完結できるように、もうちょっと信頼できる環境にしたいね」と話していたのですが、補正なしの状態のグラフを見ると確かにこれでジャッジするのは工夫が必要ですね。

- スタジオ施工、設計のプロの方々にお伺いしても、特に超低域〜中低域は、どんなに対策をしても理想的な補正は難しいそうです。

僕自身もお金をかけて吸音や拡散などの対策を施してみたこともありますが、ある程度の改善はもちろんするものの、劇的な変化をすることはなかったという印象をもっています。なので、僕のこのスタジオでもほぼ最低限に留めていますね。

- 吸音材や拡散ボードなどは、必要なところ全体に施そうとするとかなりのお金がかかりますよね。

そうなんです。元々このスタジオは音響施工をしていません。縦6m、横5mとそこそこ広い地下物件でサブウーファーを鳴らしても文句を言われない、制作の拠点としては優秀かも知れませんが、元々あるハコに対するルームチューニングはどれだけお金をかけても得られる効果は期待値を下回る。その点でReferenceで補正されるのは的確で効果が大きい。これまではヘッドフォンなどを併用して確認するしかないか、と思っていたのですが、Referenceの導入でそれも解決してしまいました。

それから、ヘッドフォンも補正してくれるのは嬉しいですね。私はTAGO StudioのT3-01とSonyのMDR-7506を持っていますが、T3-01はそのままの特性が気に入っているので補正なしで、MDR-7506は900STほどではありませんが少しクセを感じていたのでReferenceのプリセットで補正して使っています。基本は全てTrio6Be、レコーディングの時はMDR-7506、ヘッドホンリファレンスとしてT3-01、といった様に信頼できるモニター環境を複数用意できるという意味でもこの懐の深さはありがたいです。

- Referenceは「補正前/補正後」をオンオフだけでなく、バランスでミックスできることも特徴です。

そう!この機能は素晴らしいですよね。がっつり補正された音が苦手だったとしても、好みのバランスで「少しだけ補正」みたいな使い方もできる。僕の場合は最初、80%程度の補正に留めながら補正された音に耳を慣らしていきました。僕の部屋の場合は中低域に強く補正がかかって、相対的にハイが抜けてきてくれるようになったので、少し「慣れ」の時間が必要だったんですね。今ではもう100%補正された状態で使用しています。100%補正をかけたものでミックスを仕上げて、ふとReferenceをバイパスしてみると…

- 一気にローやローエンドが暴れ出しますね。

ですよね。今までリリースしてきた曲を補正した状態で聞いたんですがバランスは破綻してなかったのは救いである反面、もっともっと突き詰められる部分があったなと感じます。こうやって自分のキャパや可能性を広げると言う意味でも高解像度のスピーカー+Referenceの組み合わせは投資に対する費用対効果が高いと思います。

- こういった補正のツールというと、時に「モニタースピーカーの個性を殺すのでは?」と言われることもありますが、いかがですか?

むしろ逆ではないでしょうか。本来モニタースピーカーが持つ性能を100%発揮するためにも導入するべきかなと思います。私の場合はReferenceの導入とともにメインモニターもFocal Trio6 Beにアップグレードしたのですが、実は入れ替えた直後に聞いたときにさほど良い印象を持たなかったんです。ところがReferenceで補正をかけた状態を聞いてみると、Trio6 Beのスペックシートに載っているような上下の伸び、解像度の高さ、レンジを感じることができました。

- 部屋の壁や機器によってスピーカーの音が変化してしまう部分を「元に戻す」ことがReferenceの役目なので、そう評価いただけるのは嬉しいです。

ミックスはもちろん、制作を行うときの音選び、音作りなどにも「信頼できる環境」は大切です。出音が高解像度・ワイドレンジかつ確実なものに近づくと今まで不用意に入れていた音を削ることができます。この引き算が曖昧な環境では判断が難しいんです。贅沢を言えば作曲部屋とスタジオは分けた方が良いんですが、私の様に1箇所で作曲家・エンジニア・プロデューサーなどたくさんの目線で音を判断する必要がある人は実は多いと思います。補正の大小はあるにせよReferenceはエンジニアだけでなく音楽制作者の方、そしてプロ・アマチュア問わず導入する価値があるものだなと思いますね。

 

株式会社スピンソルファ 代表取締役・作曲家・プロデューサー 牧野 忠義

Profile

牧野忠義

株式会社スピンソルファ 代表取締役・作曲家・プロデューサー

現代のゲーム音楽制作に不可欠となった国内外レコーディング監修、サラウンドミキシング、 インタラクティブミュージック実装(wwise201検定)に至るまで幅広い経験と知識を有し、独自の音楽性と技術力を兼ね備えた作曲家としてAAAタイトルの制作に評価を得ている。
「NHKスペシャル」やアニメ劇伴作曲家として抜擢されるなどゲーム業界の枠を超えた活動を展開。

■代表作
  • モンスターハンター:ワールド / アイスボーン
  • ファイナルファンタジーXV(戦友、エピソードイグニス等)
  • キャプテン翼 Rise of New Champions

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