2020.10.29
2020年6月30日に行われた9mm Parabellum Bulletの配信ライブにて、WavesLiveの先進的なライブコンソールであるe-Motion LV1と伝統と革新を併せ持つLewittのマイクを使用していただいた。 今回は9mm Parabellum Bulletさんの配信ライブにてPAを務めた株式会社Synk間瀬 正義さんにライブ後のお話しを伺うことができた。当日のライブの様子は、こちらの記事でもレポートされているので、合わせてお読みいただきたい。
メディア・インテグレーション(以下、MI)
この度はWaves eMotion LV1を配信ライブのPA卓に使用いただきありがとうございました。当日は問題なくオペレーションが行えたと思いますが、LV1を使用した感想をお聞かせください。
まず物理フェーダーがないということで、どうなんだろうと思うところはありましたが、実際は全くストレスなく使用することができました。音もかなりクリアで好印象でした。
MI
初めての配信ライブということで、機材選別が大変だたっとは思いますが、そこにLV1を選んだきっかけを教えてください。
Waves SuperRackを使用していて、使いやすさや音の良さを体験していて、LV1も気になっていました。配信ライブということで色々機材を探している際に、あるエンジニアさんから同じタイミングで「コロナの影響どう?」という話から、ちょうど世の中の流れが配信に向き出した時期で「配信ライブでLV1使ったらかなり良かったから機会があったら今度使ってよ!」という話を聞いてかなり興味が湧きました。
MI
一番最初にSoundGridを知ったきっかけを教えてください。 また、SuperRackとLV1で使用感に違いを感じましたか?
元々レコーディングやミックスでWavesプラグインを使っていて、ライブでもオーディオI/OとDAWでWavesプラグインが使えないか実験をしたことがあったのですが、レイテンシーがすごくてライブでは使えないと諦めていた際に、何かの記事でSoundGridを見つけました。
レイテンシーが少なく安定してライブでWavesプラグインを使用できることを知り、ぜひライブでも使おうと思いすぐに試しました。LV1の使用感ですが、SuperRackに近く、違和感や迷うことなく使用することができました。
MI
通常のデジタル卓とSuperRackの組み合わせと、LV1で全てミックスする場合の印象の差を教えてください。
Wavesを使用することを考えると、通常のデジタル卓とSuperRackの組み合わせですとイン/アウトやインサートのパッチが必要になり、途中から「やっぱりこのエフェクトを使いたい」というときワンテンポ遅れることがあるのですが、LV1では各チャンネルに好きなエフェクトを加えるだけなので、スピード感がとてもよく、素晴らしいと感じました。突発的にエフェクトを使用したいと思ったときに、パッチの手間や、インサートしていなかった楽器の単音をもらうこともできないので、SuperRackの時は諦めてしまうことがありましたが、その心配がないのがよかったです。
正直、物理フェーダー無いけど操作性は大丈夫だろうか?と構えていた部分があるのですが物理フェーダーがなくても全く違和感ありませんでした(笑)。その他の操作性もデジタル卓を使っているのと変わりませんでした。操作性は想像していたより抜群に良かったです。
LV1は、かなり解像度が高く、音のスピード感も早いですね。各社のコンソールによってはアナログ感を出したり、その卓の個性があるのですが、LV1はかなりクリアな印象を受けました。Avid S6Lを使用した時と同じ印象で、クオリティーの高い卓と遜色ないデジタルコンソールだと思います。
MI
今回は配信ライブでの使用でしたが、通常のFOHミックスと比べて、処理を変えたり、拘ったところを教えていただけますか?
特に意識したところはないのですが、ライブハウスの熱感を伝えようと頑張りました。また、普通のデジタル卓だとそれぞれのオーディオ規格があるのでマルチ出力に苦労することがあるのですが、LV1だとEthernetケーブル1本の接続で難しい手順もなくマルチトラックでライブ・レコーディングができて感動しました。実際の音もDanteでライブ・レコーディングされた音よりも良い印象です。
バンドメンバーも配信後に音を確認し、音も演奏もよかったので「次のCDの特典になるかも!?」と話していましたよ。
MI
ドラムのチャンネルに全てCLA Drumを使うなどエフェクトを決めることに迷いがなかったように見えたのですが、SuperRackも含めて、お気に入りのエフェクト・プラグインと使い方をお聞かせください。
最低限使いたいセットは決まってますね。API 2500が好きで、特にTONEの設定次第で色々な使い方ができるのでバスコンプとして使ったり、全体の線が細いなと思ったらトータルコンプとして使ったり、かなり重宝しています。潰れ方や音色はクセの強い部類に入るコンプだと思うのですが、個人的にはアナログ特有の音の色気が出る感じがあって、気に入ってよく使っています。全チャンネルに使用したいくらい大好きです。
CLA Drumはドラマーや、楽曲にもよるのですが、激しいバンドや、生バンドでライブをする際にオケらしい音を求めているときに、プリセット、少しの調整で分離が良くなり、使い方も簡単です。
あと、L2リミッターは、レコーディングやミックスの時でもよく使用するプラグインなのですが、L1や、L3に比べ、そのまま自然にリミットしてくれる印象があります。 過激に当たっていると過激に潰れてくれ、自分のミスにも気が付けますし、マルチバンドを使用すると色付けが入るので、ミスの原因がどこにあるのか特定が大変なのですが、L2だとどこが悪いのかすぐにわかるのがいいですね。
また、配信や、デシベル規制のある現場ではマスターにL2を使用すると、指定した音量でピタッと止まるのでおすすめです。
MI
今回のミックスで初めて使ったプラグインはありますか?その使い方と印象をお聞かせください。
今回リハーサル中にボーカルのマイクにシンバル類の被りがかなりあり、処理に少し悩んでいました。勿論ライブの現場においてステージのサイズや立ち位置の関係でVoマイクへの「被り」は頻繁にある問題ですので、さほど大きな悩みでは無いと思っていたのですが、PSE - Primary Source Expanderというプラグインを初めて使ってみました。
今回はボーカルにインサートしたのですが、かなりの精度で本当にびっくりするくらい被り音が抑えられ、ボーカルだけを上手く拾ってくれるので、かなりクリアに声だけを集音する事ができました。今回教えてもらったプラグインですが、他には教えたくないくらいです(笑)。
MI
今後も配信ライブが増えるとは思いますが、配信や通常のライブでLV1を使いたいと思いますか?
今後はオーディエンスありでライブを配信をするなど色々企画があります。そういったライブ環境の変化の中で、普通の卓ではもうミックスしたくないくらい、e-Motion LV1は音のクオリティーが良かったです。
現場にいた他のスタッフやエンジニアからの評価も非常に良く、かなりクオリティーが高かったので、次のライブでは配信用ミックスを用意する予定はなかったのですが、次回もSoundGridを使用して配信用のミックスをしようと思っています。
MI
eMotion LV1は新しいタイプの進化し続けるライブ用コンソールですが、他の方にお勧めしたいですか?
MI
Lewittのマイクはどこで知りましたか?
初めは雑誌のSound&Recordingで読んだ気がします。AKGで開発をしていた方が新しく作った会社とのことで、出た当初から注目していました。最初に試したものがドラムキットで、すごく良かったので即購入しました。
MI
Lewittのマイクは比較的値段が安い製品が多く、安いマイクはいい音がしないという方もいるのですが、その印象はどうでしたか?
最初に値段を見ないでドラムキットを試したのですが、LCT340など音がすごく好きで、値段を後から見たら安すぎて驚きました。安いマイクという印象ではなく「いいマイクなのにこんなに安いのか!」と思いました。
MI
今回9mm Parabellum Bulletさんのライブでは、ギターアンプにLCT 240 PRO、他のギターアンプとベースにはLCT441を使っていましたが、選ぶ基準はありましたか?
マイクを選んだときに各社のマイクをアンプに並べて、アーティストに機種名や、値段、形を教えず音だけでキャビネットから出ている音と違和感のないモデルを選んだ結果、このセレクションになりました。本当にタモリ倶楽部のマニアックな会のようでしたが(笑)こんなに一度にマイクを試せる機会もそうそう無いですし、とても有意義な時間でした。
最近はコンデンサマイクをライブで使用することも増えていて、ギター自体もレンジが広くなっているため、マイクもコンデンサーマイクの広いレンジを使用する頻度が増えています。ライブでコンデンサマイクを立てることで、音が素直で面白くなります。
MI
Lewittのマイクはアンプのオンマイクにも使用できる耐圧性があることもポイントですね。Lewittのおすすめポイントをぜひ教えてください!
MI
今回はご協力ありがとうございました。