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ミックスの最後に失われるもの

「ミックス・マスタリング作業中に、あらかじめmp3やAACに変換された後の音を(リアルタイムで)チェックできる」Sonnox Fraunhofer Pro Codecをご紹介

2013.10.28

スタッフHです。

前回ポストのHEar。おかげさまでたくさんの反響を頂きました。オーディオに直接作用するプラグインではなく、ユーティリティー系の製品ではありますが、きっと多くの方に「便利そうだ」と思って頂けたのかな、と思っています。

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本日はそんなユーティリティー系のプラグインの中でも最も強烈な「ミックス・マスタリング作業中に、あらかじめmp3やAACに変換された後の音を(リアルタイムで)チェックできる」、Sonnox Fraunhofer Pro Codecをご紹介いたします。


一昔前の「CD時代」と異なり、現在は作品のリリース形態がさまざまなフォーマットで展開されています。iTunesや着うた、レコチョク、他にも海外サービスなどを含めると、数多くのサービスがあります。

ここで話題になるのが、mp3やAACなどの圧縮。一部のサービスでは非圧縮のままで販売しているところもありますが、多くのサービスでは、何かしらのコーデックで圧縮されたものを販売しているはずです。

圧縮すれば、音が変わる。これは、当然ともいえます。圧縮による変化がどこに出てくるのかが分かっていれば、ミックス/マスタリングの際にも楽なのですが、現状では、

ミックス・マスタリングをする

mp3やAACに変換する

なんか音が違う

ミックス・マスタリングに戻る

また書き出す

……この過程を繰り返すことになります。何とも面倒です。とあるエンジニアさんに伺うと、

「圧縮作業をしたときにでてくる変化は、現在の流通を考えるとやむを得ない部分もあるのかな、と思います。なので、闇雲に”圧縮音源なんてダメだ”と否定することなく、圧縮で変わってしまう部分をあらかじめ見越したバージョンのミックスができるようにしています」

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とのこと。分かりやすいところではローエンドとハイエンドの両端の「美しい」部分が失われたり、音楽そのものが平坦になってしまったりしますが、それを見越したEQの使い方、潰しすぎないコンプレッサーの使い方にも関わってきそうです。

というわけで本日は、各フォーマットで何が失われるのか。これを実際に体験していただきたいと思います。

Fraunhofer Pro Codecは圧縮後の音をリアルタイムで聞くことができるのが最大の特徴ですが、さらにもうひとつ「何が失われるか」をチェックするボタンも付いているのです。

まずはオリジナルのファイル。本ブログは基本的にmp3フォーマットのファイルを使用していますが、本日はこういった事情から、全てWAVフォーマットにしています。ファイルそのものを聞いて頂くため、プレイヤーではなく直接リンクとなってます。


・Original

オリジナルのまま書き出したファイルです。これをmp3やAACに変換した時に失われるものはどういったサウンドなのか。リファレンスとして覚えておいて下さい。


・mp3 256kbps

圧縮音の代名詞ともいえるmp3ですが、これが「mp3に変換することで失われるもの」。これだけのものが失われているのか、という驚き。ビートの要であるスネアが大きく失われているのが分かるとともに、シンパルの奇麗な余韻。さらによく聞くと、ローエンドに含まれていたはずのふくよかさがこの「失われ側」に来てしまっています。ここが失われポイントであるなら、別の方法でふくよかさを演出してもよかったかもしれません。


・AAC LC 256kbps

同じ256kbpsでも、mp3に比べて失われている要素の少なさがパッと聞いて分かるかと思います。オンラインで掲載するなら、mp3よりもこちらを選びたくなりますね。とはいえmp3と同じく主張の強いビートや、大切なボーカルの一部にも失われポイントがあるのが分かります。


・HE-AAC v2 56kbps

着うたやAdobe Flash Player 9などで代表的なフォーマットであるHE-AAC。これはもう「なんの曲なのか認識できる」レベルのもの。今一度確認しますが、この音声が「失われるもの」です。

圧縮したときに感じる「奥行きがなくなる」というのが、これでよくわかるかと思います。リバーブで丁寧な奥行きを作りたいとき、ライブ演奏をステレオ集音しているときなどには特にミックスに注意したいなという事も分かります。


・Apple AAC – iTunes +

世界最大のミュージックストア、iTunes。ここでリリースをされる方も多いでしょう。このフォーマットはiTunes Plusで販売される際に起きる変化です。Fraunhofer Pro CodecをあらかじめDAWにインサートしながら最終作業をされていれば、変化を見越した作業もできるかもしれませんね。


・HD-AAC 256kbps

いわゆる「ロスレス」と呼ばれるフォーマットです。音が聞こえない、と思われるかもしれませんが、言い換えると「失われるものがない」という事。ファイルミスではありません。

このフォーマットは非常に特殊で、誤解を恐れずにいえば「CDよりもいい音(24bitや96kの恩恵を残せる)」もの。ここについて話をしようとすると、とても書ききれないこと、そしてなにより今の私の知識では浅はかすぎるので、やめておきます。ともあれ、失われるものがないコーデック、という事です。

いかがでしたでしょうか。各コーデックによって、失われる部分もさまざま。これがあらかじめミックス作業中に分かっていれば、もう少し違う処理を施しているのかもしれません。

SonnoxのFraunhofer Pro Codecには、圧縮後の音を直接確かめる以外にも、こんな機能があります。

  • 複数のコーデック(本日のように)を一気に書き出す機能。一回の再生で、 5個のファイルをリアルタイムに書き出しできます。
  • 圧縮ファイルに変換するときに生じる「わずかなクリッピング」をあらかじめモニターし、クリップしないような音量に抑える事ができます。これは結構重要。
  • 圧縮時にクリッピングの原因となりそうな場所をあらかじめ検知し、「この部分のミックスに気をつけろよ!」と教えてくれるモニター。
  • サラウンド、サラウンドファイルの書き出しにも対応(mp3HDとか、これから流行ってくれるといいですね)。

この辺は、次回補足記事を用意いたします。製品についてもっと詳しくは、製品詳細ページにてどうぞ

>> Fraunhofer Pro Codec 製品詳細ページ

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