Audio Modeling SWAM インストゥルメントブログ by 田辺恵二 Vol.3「多彩な奏法をリアルタイムコントロール」
2020.10.04
前回、MIDIキーボードとエクスプレッションペダルを組み合わせて、音量をより自然にコントロールする方法を解説しました。それだけでも十分にリアルな演奏ができる AudioModeling SWAM Trumpet ですが、音量コントロール以外の奏法ももちろん演奏可能です。
通常、特殊奏法(例えばギターだとスライド、ミュートなどのサウンド)は、キースイッチを使用します。キースイッチとは、例えばC0を押さえながら弾きたい音を演奏すると、その音にギターのスライド奏法が適用される、というようなものです。
ところがSWAM Trumpetの場合、キースイッチは使いません。代わりにMIDIのコントロールチェンジ情報(CC#)をMIDIキーボードにアサインして使うという方法を使います。最近ではMIDI CC# をアサインできるコントロールを搭載した安価なMIDIコントローラーでも数多く出ています。
実際SWAM Trumpetではどのような奏法があるかというと、舌を使って細かく揺らす「フラッタータンギング」、喉を唸らせて迫力のある演奏の「グロウル」、息の吐き出す音量を調整する「ブレスコントロール」、ミュートカップの位置を変化させる「ミュートコントロール」です。
 
 
どの奏法も一聴すれば、有名な楽曲の中で聞いたことがある奏法だと思います。
[サンプル動画]さて、これらの奏法のアサインは本当に簡単です。
第1回目のブログで書いたプラグインエディターの右上の星のマークのような所をクリックして、黄緑色に色がついたところが対象です。
ちなみすでにアサインされているところはピンクになっています。
 
 
特殊奏法にMIDIコントロールをアサインする方法ですが、まずは右上の星マークをクリックして緑色に点灯したことを確認し、たとえば「フラッタータンギング」ならその名称のノブをクリックします。
すると画面が切り替わるので、お使いのMIDIコントローラーの割り当てたいノブ、またはフェーダーを動かすだけです。つまみを動かしてパラメーターが動くことを確認したら、左上の「Back」を押して完了です。
 
 
これらMIDIデータの入力方法ですが、もちろんリアルタイムで鍵盤を演奏しながらMIDIコントローラーを動かしてもOKですし、最初にノートを演奏して記録した後に、再度MIDIを録音する形でMIDIコントローラーのデータをオーバーダブしても可能です、
さらに細かく入力したいのであれば、お使いのDAWのMIDIエディターでじっくり納得のゆくまで入力することも可能です。
 
 
さて最後に、キースイッチでの奏法切り替えとコントロールチェンジによる奏法切り替えの一番大きな違いですが、キースイッチはオン/オフでしかコントロールできない、つまり中間の値というものがありません。
SWAM TrumpetはMIDI CC#でコントロールするため、「フラッタータンキング」なら舌の震わせ具合の加減というものもありますし、「グロウル」にしても強い・弱いの2種類だけではなく、中間の強さというのも表現できます。このちょっとした表現の揺らぎによって、最終的な出音にリアルな要素が加わってくるということです。
SWAM Trumpetに限らず他のドラムやベース、ピアノ音源がどんどんリアルになってきた今の時代、ブラスやストリングスの音源にも同じようにリアルさが求められています。そしてそれを再現するため、多くのソフトウェアはそのコントロールは複雑になってきています。
しかしSWAM Trumpetなら複雑な設定は不要です。大きいノブでわかりやすいコントローラーアサインができるとすぐに演奏録音できるという余計なストレスから解放されますね。
 
Audio Modeling SWAM Solo Brass 解説 03 
プロフィール
作編曲家 田辺恵二
1991年よりCHARAや古内東子のデビューアルバムに参加
及川光博やゴスペラーズのアルバム、ツアーに音楽監督、
作編曲家として参加
以降SMAP 浜崎あゆみ 柴咲コウ 岡本真夜 AKB48 SKE48 に楽曲提供
2002年 2006年 日本レコード大賞金賞受賞(編曲)
現在は作家活動の他ネットTV MCやラジオパーソナリティ等
他分野にも精力的に活動中