2020.07.02
スタッフUKです。
今年1月にWavesから発売された、声を楽器にする「最強のツール」 OVox Vocal ReSynthesis。
おしゃれな音楽を声と鍵盤で奏でるインパクトのある映像がデモ動画として公開され、「すごいこと」ができそうだなという雰囲気は感じていただいていると思います。
ただどうしてもキーボードで演奏するボコーダーのようなイメージが先行してしまい、普段鍵盤に触れる機会の少ない人にとってはちょっとハードルが高いように感じるかも知れません。
今回そのイメージを払拭するべく、スタッフUKがフレットボード型MIDIコントローラ Artiphon Instrument 1 と Waves OVOX、そしてマイク入力可能な Teenage Engineering のヘッドフォン M-1 headphones を組み合わせて、いろいろな音色をギタースタイルで演奏可能か実験してみました。
 
OVOXはボーカルエフェクトとしてのプラグインでありながら、MIDIデバイスによる演奏も可能なプラグインです。そのため入力デバイスとして、
の2つを用意する必要があります。
先ほどの説明の通り、MIDIコントローラとしてArtiphon Instrument1、オーディオデバイスとしてTeenage Engineering M1を使って解説していきます。Instrument1とM1を組み合わせれば、ギタリストのように立ってOVOXを演奏することも可能です。
接続のイメージとしては下記の図のようになります。
DAWでのオーディオデバイス、MIDIコントローラの設定方法は、こちらをご覧ください。
各DAWでのOVOX設定方法 
 
1. 「Bounty Harm」
Instument1をGuitarのStrumモードにして、コードを鳴らしつつ言葉を発してみます。
 
C → FM7とコードを鳴らしながら、メディアインテグレーションと発音しています。自分の声も自動でスケーリングされるので、ピッチが外れる心配もありません。
左上にあるVOICEのGATEツマミを上げることで、タイトにスライスしたり、少しサステインを残したりと音のイメージを調整できます。マイクの感度によっては周囲の音に反応してOVOXが動作してしまうこともあるため、発声した時だけ反応するように設定すると使いやすいです。
 
2. 「Drum Deeps & Creaspy」
アーティストプリセットとしてドラム用に用意されたものかと思いますが、M1を通した声とInstrument 1でこのような演奏も可能です。
 
リズム部分はボイスパーカッションのように声を入力しています。一瞬入る高い音は、その瞬間だけInstrument1を Tapしてシンセ音を追加しています。
低音部分は地声成分も入っていますが、地声が出すぎるとカッコ悪くなるので、そこはもう少し調整してもいいかもしれません。
 
3. 「Arpped Stutter」
 
アルペジエーター要素を含んだプリセットで演奏するとこのような音になります。スケールは自分の声をベースにすることも、Instrument1の演奏をベースにすることも、どちらも可能です。コードはAmを押さえ、声はロングトーンで入力しています。
 
4.「Arab Falsetto」
OVOXには豊富なプリセットが用意されていて、かなり特徴的なプリセットも多く入っています。
 
奥で響いているエスニックな歌声は、地声を自動でスケーリングしてエフェクトで加工したものです。途中でせり上がってくるシンセ音はInstrument1でノートを入力しています。アイデアとして面白いプリセットが豊富なので、これを元にエディットしていくのも楽しいと思います。
 
5.「Waves」
こちらも地声の自動スケーリングと、Instrument 1の演奏音がレイヤーされたプリセットです。
 
コードはC → Am7 → Emで演奏しています。コードの入力に合わせて波の音とシンセの音が発音されています。声はほぼ地声にリバーブがかかったものですが、音程は自動で修正されています。
いかがだったでしょうか?
一見すると複雑そうに見えるWaves OVOXですが、声を入力するデバイスと、MIDIコントローラを用意していただくだけで、今まででは演奏できなかった多彩なサウンドを表現することが可能です。
もちろん通常のMIDIコントローラとオーディオI/Oを用意していただいてもOVOXを使うことはできますが、Instrument 1 を合わせることで、鍵盤を使わなくてもギターのようなスタイルで気軽に演奏できるようになります。
各DAWの設定解説も参考にしていただき、ぜひあなたのDAWにOVOXのサウンドを取り入れてみてください。