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Spark MINIレビュー:綿貫 正顕

2022.12.13

僕はギタリストとしての活動以外に、大学や専門学校で教える立場でもあって、移動が多いので何か小型の質の良いアンプがないかな、と探していたんです。

そこで、ある大手メーカーの小型アンプを買って使っていたのですが、なんか今ひとつ物足りない感じがして。そんなタイミングでSpark MINIが登場したので、気になっていました。エフェクトも一通り入ってるみたいだし、アンプの種類も豊富だな、でも音はどうなんだろう?と。

最初に本体のみで試してみたときあまりピンとこなかったんですが、そういえばアプリで色々変えられることを思い出して繋いでみると、わ!これすごいかも!と思い直しました。そもそも本体にセーブされてる4つのプリセットが自分好みじゃなかっただけで、豊富に入ってるアンプは凄く良いものが揃っています。

いい練習ができそう

例えばYJM100なんか僕自身も聴き慣れたアンプですけど、質感がすごく良いですよ。これに好みのオーバードライブを1つ挟んで弾いてみると、凄く実機と似たような音に仕上がります。

ギタリストにはおなじみのこの緑の"Tube Drive"は実機と同様に万能なドライブペダルなんですけど、ノーマルのシングルコイルピックアップのギターだともうちょっとゲインが欲しくなる。そこでこちらもおなじみの"Black Op"、たぶん(モデリング元は)RATだと思いますが、シングルの時はこっちを使ってあげると「そうそうそう、この歪み!」と。ちゃんとギターとの組み合わせで反応が変わってくれるところもいいですね。

Clone Driveっていうペダルは、絵から見てもおそらくケンタウルスだと思うんだけど、実機と同様にタッチのレスポンスが良くなって、レンジが広がってくれる。これを挿して練習していればピッキングに幅を出そうと弾くようになるはずだから、無駄な力も抜けていい練習ができそうですね。

普段、歪んだ音にエコー系のエフェクトをかけることはほぼないのですが、リバーブの"Reflection"で LEVELを大きめにして、さらに400msくらいのDelay("Digital Delay" が綺麗でイイ感じ)をかけ、'80sな気分で弾くのが楽しいです。このプリセットは「Wata '80s Marshall」という名前でTone Cloudにアップしてありますので、ぜひみなさん使ってみてください。

イイところばかりでもつまらないので、もうちょっと頑張って欲しいなと思うところとしては、コンプやモジュレーション系は実機に比べるとやや押しが弱いかな。アップデートでもう少し派手にかかってくれるようになると嬉しいですね。

ギターはアンプに繋いで練習するべき

バッテリーで駆動するというのもいいですね。電源ケーブルを繋ぐのって、地味にストレスを感じます。「どこでも鳴らせる」って、実はとても大事なことなんです。「アンプ鳴らすの面倒だから生音でエエかー」という悪い習慣がなくなりました。

エレキ・ギターはアンプで鳴らすものなので、生音で練習する習慣がつくと、実際にアンプに繋いで演奏をするときに「その差を埋めて弾こうとする壁」が出てきて、無駄に難易度が上がってしまいます。鳴らしてはいけない弦のミュートはアンプを鳴らしていないと分からないもので、普段生音で弾くことが多い人はアンプで鳴らした時に開放弦のノイズが鳴りっぱなしになりがち。しかも、弾いている本人は気づいていないことが多い。こういった大事なことに気がつくためにも、普段からアンプを鳴らすべきなので「面倒くせー」というハードルが下がるのはとてもいいことですね。

ピッキングの強弱やニュアンスなんかもちゃんと追従してくれるアンプなので、Spark MINIで弾いていると「ちゃんとアンプを通して練習する意味」がありますね。小さい音で練習してても分かる。やはり教える側としては、深夜の練習でもできるだけアンプ通して練習をした方が良いわけです。そうしないと、ピッキングがうまくならない。Spark MINIは、自宅練習に使うなら十分すぎるくらいの音量を出せるけど、逆に小さくして使ってもニュアンスが変わらないからいい。

何よりも、こんなに小型なのにかなりしっかりした音がでて、ストレスなくギターの練習や録音がいつでもできるというのが大きい。このアンプはおすすめですよ。


プロフィール

プロフィール

綿貫正顕(わたぬき・まさあき)

作曲家・ギタリスト

主な作品
・ZARD「MIND GAMES」:作曲、編曲、ギター、コーラスで参加。オリコン1位。
・ZARD「GOOD DAY」:作曲、ギターで参加。オリコン2位。
・愛内里菜「赤く熱い鼓動」:作曲で参加。オリコン7位。
・WANDS「Brand New Love」:作曲、ギターで参加。オリコン17位。
・BOYS AND MEN「どんとこいやー!」「花道ゴージャス」(アルバム『Cheer up!』収録) 作曲、ギターで参加(松田純一との共作)。オリコン1位。
・'04 ZARD『What a beautiful moments tour』
・'04 稲葉浩志『en』
・'02~'07 愛内里菜のライヴ
・'11 ZARD 『What a beautiful memory ~forever you~』
・以上にギタリストとして参加。

・'07 モリダイラ楽器主催『FINGER PICKING DAY 2007』決勝大会進出
・'12『Young Guitar』『Burrn!』にインタビュー掲載
・'13 教則DVD『ピッキングミスを完全排除させる超合理的ギタープラクティス』発売
・‘15 オリジナル曲でフル・オーケストラと共演 (2015.9.27. マグノリア・ポップ・オーケストラ @ びわ湖ホール中ホール)
・'16『Young Guitar』『Burrn!』にインタビュー掲載

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