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Sonarworks Reference 導入レビュー:綿貫 正顕(作曲家・ギタリスト)

2020.11.06

多くのモニタースピーカーは、そのポテンシャルの全てを発揮できていない。それは、部屋の中にある家具や壁によって反射や干渉が起こり、もともとの特性とは異なる音が私たちの耳に届いているからだ。SonarworksのReferenceは、そのような部屋の中で起きている様々な問題を測定し、補正するツールだ。「一度体験すると、もうこれなしでは考えられない」と多くの人に評価をうけるReference。作曲家・ギタリストの綿貫 正顕氏も導入されたとのことで、感想を伺った。


何より音楽が「楽しい」と感じる

- 綿貫さんはプライベートスタジオなどでもレコーディングやミックスを行われるのですか?

長年こんな仕事をしてて言うのもなんですが、元々「僕はそこまで音の違いも分からんし…」というスタンスだったんです。アレンジの仕事も頂きますが、完パケまでやることもほとんどない。最後まで自分でやるのは自分の作品くらいでした。

なのでモニター環境にもさほど力を入れてなかったのですが、数年前に購入したイヤフォンのSony IER-M7を始めて使ったとき、世界が変わったような思いがしました。定位感は全然違うし、今まで聞こえていなかった音が一気に聞こえてくる感覚。何よりビックリしたのは、自分のギターの録り音が全く別物に感じたことでした。元の音の良し悪しではなく、録った音がちゃんと再生されていなかったということに気づき、そこでスピーカーからの出音もちゃんとしたいなと想いが強くなりました。

ちょうどスピーカーも買い換えようというタイミングと重なり、それまで使ってきた民生用のスピーカーからいわゆるモニタースピーカーにしようとイタリアのスピーカーを導入したのですが、正直なところビックリするほどの差がなく、肩透かしを喰らったような気分だったのです。

- お部屋の特性が大きく影響していて、スピーカーが本領を発揮できていなかった状態なのかもしれませんね。

そんなこんなで相変わらず「何となく」な音像生活が続いていたのですが、友人のプロデューサーcorin.くんの書き込みやインタビューでSonarworks Referenceの存在を知って、興味津々になりました。ルームチューニングされていない部屋でも効果があるとか、ヘッドフォンも補正ができるとか、音楽用に作られた部屋でなくても効果を発揮してくれそうだったので、すぐにデモ版をダウンロードし、ヘッドフォンで確認したのですが、正直ビックリ。「今までこんな変な音、音像でチェックをしていたのか…」と。とにかくクリアさに圧倒されましたね。

- ありがとうございます。ヘッドフォンの補正というと、時に「ヘッドフォンの個性を殺すということ?」という疑問を持たれる方もいるようですが、その点はどういう印象を持たれましたか?

いや、しっかりヘッドフォンの個性を残したまま補正される感じですね。僕の場合はSony MDR-CD900ST、Audio-TechnicaのATH-R70Xを使っていますが、正しいバランスになりつつ、個々のヘッドフォンの個性で聴くことができるので、気分に合わせてヘッドフォンを選べるようになりました。個性がなくなるとは感じませんね。

- スピーカーの補正についてはどういう印象を持たれましたか?

デモ版で使っているときに、まず手持ちのコンデンサーマイクで部屋の計測も試してみたんです。そしたらそれだけでもビックリするほど効果があって「ウチで聴いてるのにスタジオみたいなバランスだ!」って。特に低域に変なピークがあるなとは前から感じていて、そのせいで低域の判断ができなかったのですが、それが改善された超クリアな音になりました。これで専用マイク付きのReferenceを導入しようという決断をしました。

- 導入されてから、作業に何か違いや変化はありましたか?

以前は「良くないなということは分かるけど、何をどう処理していいのか分からない」という状況に陥ることが少なくありませんでした。でも今は以前と比較にならないくらいEQ、エコー処理が分かりやすくなり、楽しくなりましたね。

ギターのレコーディング等の作業はほぼ100%ヘッドフォンでやりますが、録音後のファイルを確認するときはスピーカー環境でのチェックも重要です。Referenceを導入してからは自分の思い通りの音が再生されるので、少々面倒なリテイク依頼だったとしても音を聞くとテンションが上がるほど楽しくなりましたね。自分で弾いておきながら「なんてカッコいい音だろう!」なんて思ってしまいます。ミュージシャンならではかもしれませんが、この瞬間を体感することで頑張れるなという想いはありますね。

- ミュージシャンが「音によって鼓舞される」というのは、あるべき姿ですね。

仕事以外の音源をチェックするとき、例えばiTunesやSpotify、YouTubeなどの音声も補正してくれるので、それもすごく楽しいですね。ついついいつもより音量を上げてしまいたくなる感じ。今までのように低域が飽和してないので、聞いていてストレスを感じない気がします。良い音で音楽が聞けるって、やっぱり楽しいですから!

まずはデモ版を試してみてほしいですね。部屋の補正だけは、努力でどうにかなる部分ではないですから。僕も(自分が講師として教えている)専門学校の教え子たちにも薦めたいですね。


プロフィール

綿貫正顕(わたぬき・まさあき)

作曲家・ギタリスト

    主な作品
  • ZARD「MIND GAMES」:作曲、編曲、ギター、コーラスで参加。オリコン1位。
  • ZARD「GOOD DAY」:作曲、ギターで参加。オリコン2位。
  • 愛内里菜「赤く熱い鼓動」:作曲で参加。オリコン7位。
  • WANDS「Brand New Love」:作曲、ギターで参加。オリコン17位。
  • BOYS AND MEN「どんとこいやー!」「花道ゴージャス」(アルバム『Cheer up!』収録) 作曲、ギターで参加(松田純一との共作)。オリコン1位。

  • '04 ZARD『What a beautiful moments tour』
  • '04 稲葉浩志『en』
  • '02~'07 愛内里菜のライヴ
  • '11 ZARD 『What a beautiful memory ~forever you~』
以上にギタリストとして参加。
  • '07 モリダイラ楽器主催『FINGER PICKING DAY 2007』決勝大会進出
  • '12『Young Guitar』『Burrn!』にインタビュー掲載
  • '13 教則DVD『ピッキングミスを完全排除させる超合理的ギタープラクティス』発売
  • ‘15 オリジナル曲でフル・オーケストラと共演 (2015.9.27. マグノリア・ポップ・オーケストラ @ びわ湖ホール中ホール)
  • '16『Young Guitar』『Burrn!』にインタビュー掲載

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