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スタッフルーム:ペンシルの世界へようこそ

2019.07.01

スタッフHです。

本日はマイクの話題。ボーカルやアコースティックギター、管弦楽器やドラム、そしてギター&ベースアンプにまで。マイクは日々の音楽制作に欠かせないツールの1つ。きっと本ページをご覧の多くの方も、何かしらのマイクをお持ちのことと思います。

多くの方が持っていらっしゃるのは、1インチ(2.5cm)前後のダイアフラムを持つ、いわゆる「ラージダイアフラム」のコンデンサーマイクではないでしょうか。ラージダイアフラムのコンデンサーマイクは、一般的に「高い感度」や「豊かな中低域」を得意としているので、特にボーカルのレコーディングを高品位に行いたい場合はこれ一択と言えるでしょう。


大は小を兼ねる?

アコースティックギターやドラム、管弦楽器、またギターアンプなど「楽器」のレコーディングではどうでしょう?もちろんこちらも、ラージダイアフラムのマイクは定番の1つです。ドラムやアコースティックギターなら、ダイナミック型のマイクと組み合わせたマルチマイクも定石的なセッティングの1つといえますね。

アコースティックギターでもラージダイアフラムのマイクは定番

でも、それだけでしょうか?

同じコンデンサー型のマイクの中でも、ラージダイアフラムではなくスモールダイアフラムを搭載した、通称「ペンシル型」のマイクもあります。雑誌やウェブ記事、SNSの投稿などで見かけたことがある人も多いでしょう。アコースティックギターやドラムのトップ、ハイハットのほか、アンビエンスやストリングス隊などにこのペンシル型のマイクが用いられているケースが多いようです。

「ラージ」と「スモール」ですから、「ラージの方が偉い(すごい)」と考えがちですが、果たしてどうなのでしょう?


ペンはラージより強し

「大は小を兼ねる」という言葉がありますが、これはマイクの場合には「当てはまらない」言葉です。実はスモールダイアフラムには、ラージダイアフラムよりも一般的に優れた部分がいくつかあります。

例えば”許容音圧レベル”。カタログなどには"耐圧"と書かれている場合もあります。大音量の楽器やアンプにセッティングを行う際、気をつけなくてはいけないのがマイク自身が耐えられる音圧。かなりクローズ(接近して)セッティングしてもマイク自身がその音圧に負けないことが必須となります。スモールダイアフラムは、(ダイアフラムの小ささゆえ)ラージダイアフラムに比べて高耐圧に設計することができると言われており、楽器に思い切り近づけたセッティングもできる物が多いのです。

例えば”音の立ち上がり”。鋭いストロークのアコースティックギターや、小気味のいいハイハットの刻み。音圧も高いこれらの楽器は、なるべく楽器に近くマイクをセッティングすることで、プレイヤーの細かやなニュアンスも収録することができます。一般に「トランジェント部分」と呼ばれる音の立ち上がりの部分。ここはスモールダイアフラムのマイクの方が得意とするところです。セトリング・タイム(音によってダイアフラムが振動を開始してから、その振動が止むまでの時間)が短いスモールダイアフラムは、音の立ち上がりが重要な楽器にこそ使っていただきたいところです。

高い耐圧性能、トランジェントやアタックに素早く反応。楽器に近づけたセッティングもOK。

例えば”周波数特性”。あくまで一般論ですが、

  • ラージダイアフラムは高感度を特徴として周波数特性は狭め
  • スモールダイアフラムは低感度だが、周波数特性は広め

と言われます。アコースティックギター、ハイハット、ドラムトップ、弦楽器、民族楽器など、高い周波数まで多くの情報をもつ楽器にペンシルが用いられる理由は、こういった事情もあります。

特に自宅環境でアコースティックギターなどをレコーディングされる方は、マイクをかなり楽器に近づけないとクリアなレコーディングができないことでしょう。そんな時、高感度で耐圧の低いラージダイアフラムを使うよりも、低感度ながら立ち上がりや周波数特性に優れ、耐圧の高いペンシル型のスモールダイアフラムの方がよい結果を得られるかもしれません。

ここで言いたいのは、ラージダイアフラムが劣っているということでは決してなく、「ボーカルなのか楽器なのか」「自宅かスタジオか」「どういった特性の楽器を録りたいのか」という課題のなかで、ペンシルをもっと積極的に活用しよう、ということです。


ペンシルの世界へようこそ

ペンシルマイクのおすすめをご紹介いたします。1万円台の比較的導入しやすい価格帯ながら、高い品質と味わいあるキャラクターを持ったモデル。

Lewitt LCT 140 AIR(税別18,000円)

フラットでクリーンで、色付けもなく「そのまま」を集音する、というのはLewittの基本理念の1つですが、このLCT 140 AIRはその名の通り「AIR」スイッチを装備。これをオンにすることで、ソロプレイに適した空気感をまるごとパッケージするかのような「エアー感」を強調します。アンサンブルならスイッチを「オフ」で、独奏や強調が欲しいときにはスイッチを「オン」で。アウトボードで「クセをつける」処理とはことなり、マイクそのものが違うキャラクターになるので、まるでレスポールをストラトに持ち替えたような違いに。

Lewitt LCT 040 Match(税別11,000円、ステレオペア税別22,000円)

ペンシル型マイクの特徴の1つに、そのボディの小ささから"セッティングがしやすい"とか"プレイヤーに圧迫感を与えない"ことが挙げられますが、このLCT 040 Matchの大きさは、ペンシルの中でもさらに小さい「親指くらい」のマイク(長さ約8cm)。アコースティックギターはもちろんながら、マイクセッティングがシビアなドラムへの使用まで。場所を選ばないだけでなく、アコギ、パーカッション、ドラムのオン・オフマイク、ピアノ、何に使っても○。2本の特性を合わせたマッチド・ペアセットもあります。


アイ・ハブ・ペンズ

例えばアコースティックギターをレコーディングしているとき。鋭いストロークのアップテンポな曲のときには、反応が速く立ち上がりの音を良く拾ってくれるペンシル型のマイクが適しているかもしれません。一般にペンシル型のマイクは低感度と言われていますが、ガツガツした歯切れのいいカッティングギターに近い位置でマイクをセッティングしたい(ボディの弦の鳴りだけをクリアに録りたい)時には、ペンシル型のマイクがいい仕事をするでしょう。

例えばドラムのトップにステレオで。シンバルの響きやドラム全体を録りたいとき、立ち上がりの速いペンシル型のマイクは最強の装備になります。特にドラムはアタックの大事な楽器とも言えるので、「アタックが鈍って聞こえる」といった事態を避けられるでしょう。さらに、ペンシル型の特徴ともいえる「高耐圧」の特徴を生かし、ドラムセットにかなり近づけたセッティングでも問題ありません。

実は私はペンシル型マイクが大好き。

Lauten AudioのTorch(写真左・販売終了)は、珍しい真空管ペンシルマイク。惜しくも販売は終了となってしまいましたが、ペンシル特有の高耐圧に加え、とにかく「(ペンシルっぽくないほど)太い」とエンジニアさんから多数の評価を受けたマイク。

オーストリアLewittのLCT 340(写真下・販売終了)は、長きに渡りベストセラーを続けているLewittのペンシル型マイク。ピッキングのニュアンスを大事にしたいアコースティックギターや、ジャズドラムに欠かせないライドシンバルのレガートも「1アタックも漏らすことなく」収録します。ヘッドのカプセルは付け替え可能で、単一指向性と無指向性に切り替えることもできます。

同じくLewittのLCT 040 Match(Stereo Pair・写真右)は、上記でもおすすめとしてご紹介したマイク。小さいのでドラムキットのどこへでも仕込みができるだけでなく、高耐圧&広帯域なのが特徴。ハイハットに限りなく近づけた状態でも全てのニュアンスを漏らすことなく、ドラムのトップに使ったときにはワイドレンジならではの情報量の多さ。アコースティックギターではストロークの歯切れと、ボディの鳴りが美しく両立されて収録できる、超優秀マイク。初めてこのマイクで実験をしたとき、テストプレイヤーのギタリストが「あれ?マイクがまだセッティングされていないよ?」と言ったほど。この小ささは驚異的です。

とにかく小さいLCT 040 Match


フォトグラファーにとってのレンズ、料理人にとっての包丁/ナイフと同様、音楽家にとってマイクは切り離せないものの1つ。また、個性の出しどころの1つでもあります。同じものを使ったからといって、均一の結果にならないところが面白いところでしょう。

「最初の1本」には使い回しがきくラージダイアフラムのモデルをおすすめしますが、2本目以降のバリエーションを検討されているなら、ペンシルマイクは候補の1つに入れておいて頂きたいもの。ペンシル型に代表されるスモールダイアフラムのマイク、ぜひチェックしてみてくださいね。

記事で紹介した製品

LCT 140
Air
 

どんな素材でも思うままにレコーディング
 

LCT 040
MATCH
 

生楽器の録音に最適なペンシル型マイク

LCT 040 MATCH
STEREO PAIR

生楽器の録音に最適なペンシル型マイク ステレオ・ペアモデル

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