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Sonnox QuickTips – ミックスに必要な「奥行き」

久しぶりの更新となる「MixがうまくなるTips」。本日もまた、ご覧になる方によってさまざまな応用ができそうな、良ネタです。

2013.09.10

スタッフHです。

久しぶりの更新となる「MixがうまくなるTips」。本日もまた、ご覧になる方によってさまざまな応用ができそうな、良ネタです。使用しているプラグインはSonnoxのコンプ、リバーブ、マキシマイズ系のものですが、似たような他のプロセッサーを使っても代用の参考になるかと思います。


ミックスの話になるときに話題になる「立体感」や「奥行き」という言葉。彫りが深く、ひとつひとつの楽器の配置まで見えそうなミックスが施された曲は、聞いているだけでドップリと浸ってしまいそうな魅力も兼ね備えています。

ところがこの奥行きを与えるという作業は、言葉でいう何倍も難しいのです。「リズム隊のドラムとベースは楽曲を支えるため、一歩後ろにあるつもりで配置」とか「ギターはその上に」「主役となるボーカルは一番前にくるように」とか。LとR、そしてフェーダーで音を配置しているだけなのに、前とか上とか、上級者の感覚にしか分からないような言葉で説明されてしまいます。

今日のムービーネタは、そういった「一歩上」に達するためのスタートポイント

マイクを使ってレコーディングしてきたドラムのトップマイクを立体的に仕上げる。コンプで潰しているにも関わらず、プレイヤーが表現した「荒々しさ」を取り戻したり、リバーブひとつで、あたかもプレイヤーが「そこ」に存在してるかのような奥行きやスペースをつくる手法を解説します。

いかがでしたか?

ムービーで語っていたり、字幕で解説されているポイントももちろん大切ですが、一級のエンジニアが「ちょんちょん」とマウスで適宜調整を行っているところも併せてチェックしてみてくださいね。たいていこういった場所に、盗むべき上級テクニックがあったりします。


  • 最初に説明されているのはドラムのオーバーヘッドマイクへの処理。ここには、Oxford Dynamicsによるコンプ処理と、Inflatorによるマキシマイズ処理が行われています。

コンプは「音を潰す」プロセッサーです。間違った使い方をすると、立体感や奥行きを出すどころか、反対にノッペリとした表情のない音になってしまうこともあります。しかし、適切に使うことで素晴らしい立体感を得ることができる、という行程を解説。

コンプの後はSonnoxの魔法のプラグイン、Inflator。このシーンでは、マウスの動きにも要注目です。エフェクト処理を行うと同時に、インプットゲインとアウトプットゲインを絶妙にコントロールしています。インプットボリュームで大きく表情を変えるダイナミクス系、マキシマイズ系は必ずこうしてインプットボリュームにも繊細な目を向けなくてはいけない、という事もわかります。

コンプとInflatorを使うことで、彫りの浅かったトップマイクのサウンドを劇的に「彫りの深い」音に仕上げているところがポイント。この行程で、平坦だったミックスにひとつ、立体感が生まれました。

  • 1:25〜は、スネアのオンマイクの処理。ここでは、リバーブを用いてドライなスネアに広がり、奥行きを与えています。

これはまさに冒頭で触れた、リズムを一歩後ろに配置させるテクニック。ドライで目の前に張り付いているかのようなスネアドラムにリバーブをかけ、奥行きを与える行程が解説されています。

スネアにリバーブ。決して珍しいテクニックではありません。が、ここで大事なのは「左右に広がるアンビエンスを付加するため」。これにより、センターに位置するであろうボーカルやリードギターが相対的に上にあるように響かせるためのテクニック。

「最初は大げさなくらいセンドしてみてもOK」「徐々にさげて、イイ感じのところを探す」など、実際の作業行程を教えてもらえるような内容です。

特にリバーブは、きちんとしたモニター環境がないと判断が難しい項目の一つですが、このビデオをご自身の環境で聞きながら、「ああ、これくらいでOKなんだな」という感覚を養いましょう。

「前に出すこと」だけで立体感を得るのではなく、「一歩引くもの」を作ることで相対的な立体感が得られるテクニックです。


  • 3:00〜は、リズムギターにも奥行きを加えています。こちらもリバーブを使って「空間」を作るテクニック。

リバーブを使って広がり、奥行きを与えるという点はスネアのところと変わりませんが、このギターはやや左寄りにパンニングされています。左右どちらかに偏ったサウンドにリバーブをかけるとき、どのような掛け方をするとリスナーに「広がり」「奥行き」として届くのか。ビデオの解説を参考にしながら、お持ちのリバーブで実験してみてください。

このパート最後では、リバーブのオン/オフ聞き比べもあります。リバーブによってただ単に音に広がりが出てきただけでなく、「あたかもその位置にあるギターアンプが響いているよう」なサウンドメイキングの一部にも注目してみてください。


熟練のエンジニアたちは、こういったテクニックをベースに独自の「立体的なミックスを作る」技を持っています。「このプラグインがあれば、誰でも立体的なミックスになります」のような製品は、ないでしょう。

たくさんのレコードから立体感、奥行きのあるミックスのTipsを学び取ることもできますし、ライブをたくさん見に行く事で「私たちはどういった響き方に奥行きを感じるのか」に触れられるかもしれませんね。

使用プラグイン

Oxford Dynamics

Oxford Inflator

Oxford Reverb

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