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私はコレで、コンプの稼働率が減りました

2011.08.26

スタッフHです。

連載でお届けしているSonnox Quick Tips。本日はVol.5、TransModを使用した「素材のアタックを調節する」編です。各トラックのアタックをマスターするものは、ミックスを制す!かもしれない。注目のテクニックです。

本ムービーをご覧頂く前に、まずは「トランジエント」についておさらいしておきましょう。

本編でご紹介している「トランジエント」とは、素材のアタック部分よりもさらに短い数msecの部分を指します。素材のアタックを調節するときは、たいていコンプを用いる事になるかとは思いますが、そのコンプが稼働するよりもさらに速く、短い範囲の部分を指しています。


  • 例えば生ドラムのレコーディングを行ったとき。

スタジオではイイ音に聞こえていたけど、持ち帰って改めて聞いてみたら、ヒットの瞬間にとても耳にいたいアタックが入ってしまっていた。コンプで潰そうとしたけども、そうすると全体が潰れてしまって好みのサウンドにならない。

  • 例えば、アコギのマイク録りをしたとき。

全体的な雰囲気はいいんだけど、ピックが弦に触れた瞬間の「カリカリ」という音がどうしても気になる。コンプで潰してしまうとこの「カリカリ」まで強調されてしまうし、かといってオフマイクでレコーディングをすると、どうも音が遠くなってしまう。

  • 例えば、お気に入りのレコードから好きな部分をサンプリングしたいとき。

ドラムとベースの絡みが格好いいフレーズをサンプリングしたいんだけど、ビートがちょっと弱くて使いづらい。できれば、この質感のままビートが前に出てくるような処理をしたい。


こういった悩みを解決できるのが、「トランジエントを自由自在に操る」TransModです。素材のアタック部分を検知して、強調したりソフトにしたり、距離感を近くしたり遠くしたり、なんて事ができるプラグイン。

コンプを使ったときのような飽和感もなく、調節したい位置(トランジエント)「だけ」にかかります。距離感のコントロールもできるため、人によっては全トラックにインサートしている方もいらっしゃいます。TrandModを事前に仕込んでおくことで、オーバーコンプを減らす事もできますよ。

コンプは現代の私たちの作業にはなくてはならないものになりましたが、オーバーコンプはいい結果にはなりません。私個人的には、みなさんが愛用されているコンプとTransModは最高の相棒になるのではないかと思いますよ!

では、本日のムービーです。4分半。

 

まずはキックにインサートされたTransModから。ミックスに埋もれないキックを、コンプに頼ることなく作り出しています。いつもなら「コンプでアタックを強調して…あれれ…のっぺりした音になっちゃったな…もうちょっとゲインをあげて…」なんて作業をしがちですが、これなら欲しいアタックを欲しい分だけスライダーを上げればいいわけです。

スネア(クローズドリムショット)はちょっと面白い。トランジエントを弱めて(ビデオでいう、”マイナス方向のレシオ”)いくと、アンビエンス部分が浮き上がってきます。逆にトランジエントを強調していくと、実際にレコーディングされたときよりもべったりと音が目の前に張り付いたように聴こえませんか?

距離感のコントロールにも使えるTransMod。便利です。

今回一番面白いのが、次のシェイカーです。TransModのオン/オフを聞き比べると、まったくといっていいほど躍動感が違います。シェイカーのレコーディングって実際結構難しくて、アクセントをつけてレコーディングしたつもりなのに、平坦な音になってしまいがち。ムービーではきっちりアタックが検出されて、ほしいアクセントが「戻ってきた」ようにすら感じますね。

最後はアコースティックギターです。ここでは劇的なサウンドの変化はありませんが、ほんの少しだけゲインを稼ぎ、アタックが埋もれないような設定になっています。ビデオでは、チャンネルフェーダーではなくTransModでゲインを調整することで、ダイナミクスが失われないミックスが可能になる、と説明されています。

さて、いかがでしたか?

先にも書きましたが、アタックの調節というとどうしてもコンプに手が伸びてしまいがちです。しかし、本当にほしい効果は「アタックを潰してゲインを上げる」ことではなく、「アタック(トランジエント)を強調したいだけ」という事も多々あるのではないでしょうか(あるいは逆に弱めたい)。

欲しいトランジエントが得られたら、あとはお気入りのコンプでキャラクターを付けることもできます。サウンドのアタックについて勉強になった!と感じてもらえると嬉しいです。

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