2019.03.01
近年話題となっているモニタースピーカーの「補正」
各社がリリースしているモニタースピーカーはそれぞれに個性があり、かつモニタースピーカーのあるべきフラットな特性を持っています。しかし、一般的な「自宅スタジオ環境」ではその真価を発揮できないことも事実です。
私たちが取り扱うモニター補正ツール、ReferenceをリリースするラトビアのSonarworks社。測定用のマイクと解析用のアプリケーション、そしてDAWやシステムの補正をするプラグインを揃えており、人気の製品となっています。
導入した方は「もう手放せない」と評するSonarworks Reference。補正を実感された方々のレポートはこちらでまとめをご覧いただくとして、果たして「自分の部屋は補正が必要か?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ここでは簡単なステップでチェックできる「Referenceを導入すべきか否か」ポイントをご紹介いたします。
人間の耳が知覚できるのは、20Hz〜20kHzまでと言われています。多くのモニタースピーカーもこの範囲は「フラットに再生しますよ!」とカタログに記載していることでしょう。では、その実験をしてみましょう。
多くのDAWに付属するシグナル・ジェネレータツールを使って、シンプルなサイン波を出してみましょう。
CubaseならTest Generator、Studio OneならTone Generator、Pro ToolsならSignal Generator、Logic Pro XならTEST Oscilator。もしもこれらのツールがなければ、WAVESのGOLDバンドル以上に収録されているプラグイン、eMo GeneratorでもOK。
シンプルなサイン波を、20Hzから20kHz(20000Hz)までゆっくりとスウィープして鳴らしてみましょう。このとき、音量は一定にキープしてください。ゆっくりと、上下に動かしてみます。
3〜4インチくらいのモニタースピーカーを使っている場合、20Hz〜50Hz辺りの帯域は製品によってあまり聞こえないかもしれません。この辺はお持ちの製品のカタログやウェブサイト、スペックシートなどを見て確認してみてください。そのスピーカーが再生できない周波数帯が聞こえないことはまったく問題ありません。問題はここから上の帯域です。
特に50〜200Hzをゆっくりとスウィープしてみると、どこかで「スッ」と音量レベルが下がったように聞こえる帯域はありませんか?例えば私の部屋の場合、50Hzは十分に聞こえているのに、70Hzに入った辺りから音が消えたようなレベルで聞こえなくなり、100Hzに差し掛かった辺りでまた元の音量に戻ったように聞こえます。そこから上にいくと今度は「音量をあげた」ように感じる帯域も確認できました。
シグナル・ジェネレータでは一定のレベルで信号を流しているにも関わらず、再生している環境ではどこかで凸凹があったりする。これはつまり、スピーカーは悪くないのに、壁や周囲のものからの影響をうけて音が変化してしまっているということ。この症状が確認できるようなら、そのお部屋では正しいミックスバランスを取ることが難しいとも言えます。Sonarworks Referenceを導入する価値「大あり」です。
同じようにシグナル・ジェネレータを鳴らし、1000Hz〜3000Hz(1kHz〜3kHz)辺りを鳴らしてみましょう。
この状態で、シグナル・ジェネレータのパンを「右に振り切り」「左に振り切り」と繰り返してみます。この状態で、左右の音量は等しく聞こえますか?片方だけレベルが低く聞こえたりする方向はありませんか?さらに「振り切ったのに振り切れていないように聞こえたり」しませんか?
同様に150〜250Hzを鳴らし、同じようにパンを左右に振り切ってみましょう。振り切っても同じレベルで聞こえていますか?パンを右に振り切ったとき、なんだか左のスピーカーに音が残っているような気がする、といったことはありませんか?
もしもレベルがバラついて聞こえてしまっていたり、それが帯域によって逆転していたりという場合。ある程度の改善はスピーカーを置く位置や周囲に置く機材の位置を変えることでできるかもしれませんが、劇的な改善は難しいと思った方がいいでしょう。ミックスのとき細やかなパンニングをしたり、リバーブで奥行きを作るといった作業はそのお部屋では難しいとも言えます。これもまたSonarworks Referenceを導入する価値「大あり」です。
Sonarworks Referenceは、お持ちのモニタースピーカーのポテンシャルを最大に発揮するためのツール。
お部屋の壁や天井などによって変化してしまった特性をフラットに補正し、より細やかなミックスができる環境を作るためのもの。自宅環境でも満足のミックスを行いたい方はチェックしてみてくださいね。
SoundID Reference