ドラムレコーディングに必要なマイクは最低何本?まとめ
2017.07.20
スタッフHです。
ここ数日、私たちのTwitter、Facebookでとても大きな反響をいただいた、ボブ・クリアマウンテンさんによる「ドラムレコーディングのマイキングTips」ムービー。
世界中でもっとも尊敬を集めるエンジニアの一人であるボブさん(彼をご存知の国内エンジニアさんの多くが "ボブクリ" と略しているほど、国内でも浸透していますね)が、ドラムのマイキングを解説したもの。
ムービーは全部で3編
ドラムのマイキングに必要なマイクは、最低何本でしょう?ボブクリさんはこれを「2本」として最初のムービーをリリース。
私個人、これまで「ドラムのレコーディングにはマイクがたくさん必要なもの」という記事を何度も目にしてきて、これを妄信していた部分もあり、このムービーは衝撃的でした。
エンジニア(ボブクリさん)だけでなく、ドラマーが「レコーディングの際に」気をつけるべきポイントも触れられています。以下のYouTubeサムネイルでも表示されていますが、ドラマーから見れば「レコーディングでは全てが逆になる」とは何のことなのか。
このムービーで使用されているオーディオI/Oは、Apogee Duet。いまでは珍しくなくなったデスクトップ型で、真ん中に大きなボリュームダイアルがついたこのI/Oデザインの先駆けは、実はこのDuetなのです。
ベストセラーともいえるDuetですが、Apogeeがもっとも大事にしているAD/DAの正確さ、小型I/Oとは思えないマイクプリの高品位さ、ひいては音の良さが多くのファンをひきつけてやまないのかと思います。
事実この2本のマイクだけのムービーは、冒頭でも登場する通りDuetで「録音」もされたもの。オーディオファイルでその全体像もチェックしてみてください。
もしも、もう2本のマイクが増やせるなら...?
ムービーは第2段、上でご紹介したDuetバージョンの2本に加えて、もう2本(計4本)のマイクが使えるなら、どういうマイキングがベストか。
意外なことにムービー冒頭で、ボブクリさんは「実は過去に本で読んだ手法なんだ」とバラします。トップエンジニアも本で学ぶんだな...と思ったのはさておき、マイクが増えることで「どこに置くのがベストか」ということにも触れられています。
これが「単なる感覚」とか「耳で聞いてみて」だけでない、深い理由があるところに注目です。
マイクが4本になったことで、使用するI/OはApogeeのQuartetを使用。Apogeeがいずれのモデルでも目指している、ゲインが高く、かつローノイズのプリアンプに加えて、長年の技術で培った正しいAD/DAを搭載。
こちらはビデオで説明のあったレコーディングのフル・トラック。
現代のドラムレコーディングのスタンダードはこれだ
と、ボブクリさんが最後に解説するのは、10本のマイクを使用したドラムレコーディング。トップ、キック、スネア上下、タム、ルームマイクに関するTipsをそれぞれ解説しています。
レコーディングで使用しているのは、現時点で最高のオーディオインターフェース、ApogeeのEnsemble Thunderboltです。
Thunderbolt 2規格で余裕のバス幅、Appleと親密な関係にあるApogeeが作成した、CPU負荷を減らし(!)、今までのI/Oではあり得なかった超・低レイテンシーを実現した新開発のドライバ。マイクプリにはさらに磨きをかけ、ぎっしりと中身を詰め込んだ贅沢なアナログ回路。そしてApogeeがいずれのモデルでも一番こだわっている、正しいAD/DA回路。
クリーンかつ高いゲイン、低ノイズであるリアの8マイクインプットに加え、フロントのギターインプット(ギターとはいいますが、このインプットは真空管エミュレーションが付加されたインプット。あえて癖をつけたい時にも有効)を活用してレコーディングされています。
マイクの本数が増えることで、ドラマーの「叩き方」にも余裕が生まれ、思ったままにプレイができる、という趣旨のコメントがあります。ここは冒頭の2本マイクのビデオと比較しながらチェックしてみてください。ヒントは「マイクを経由したシンバルは思った以上にうるさい」です。
こちらが10本のマイクを使用したフル・トラックです。
一連のビデオでは、セリフで説明されていないけれども、大いに参考になるところが数多くあります。マイクの位置、角度だけでなく、さまざまなところを繰り返し見たくなります。
ということで3回にわたってお届けしてきた、ボブ・クリアマウンテンさんによるドラムレコーディングのマイキングTips。使えるマイクがたとえ2本しかなくても、ドラマーとエンジニアのコミュニケーションがうまくいけば十分なドラムトラックをレコーディングできることがわかりました。
そして、むやみにマイクを増やすのではなく、必要に応じて。あるいはどういう音を作りたいかで増やすべきマイクを考えるべき。トップエンジニアが語る言葉の重みを感じます。