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Focal Shapeシリーズ導入インタビュー:
スクウェア・エニックス 鈴木光人氏

2019.05.24

「モニタースピーカーに求めるものが全部詰まっている」

MI

鈴木さんをはじめ、スクウェア・エニックスのクリエイターのみなさまが使われている制作ルームにFocal Professional Shape 50を導入していただきました。Shape 50以前は何をお使いだったのですか?

鈴木光人 氏(以下 鈴木)

同じくFocal ProfessionalのCMS40でした。実はCMS40を導入するときもFocal Professional以外のいくつかのスピーカーを集め、他のクリエイターと一緒に比較試聴を行なって決めました。あれから時間も経って、気分的な意味もあったのですが、スピーカーを変えたいなと思ったんです。CMS40に不満があったということではないのですが、低域のパワーをもっと感じられるスピーカーが欲しいなと思っていたところでした。

MI

そんなおり、ちょうどFocal ProfessionalからShapeシリーズの発表がありました。

この鳴り方が自然だな、と思った

MI

Shape 50の音について、第一印象はどのように感じられましたか?

鈴木

ローエンドの聞こえ方が自然で、気持ちのいい音だと感じました。そして上の帯域との繋がりがバランスいい。モニタースピーカーとして求めたいものが全てありましたね。

MI

Shapeシリーズのローエンドを特徴づけているのは、多くのモニタースピーカーが採用しているバスレフ方式ではなく、パッシブラジエータ方式だからといえます。比較を行う中で違和感はありませんでしたか?

Focal Tech – ダブル・パッシブ・ラジエーター

鈴木

むしろ「この鳴り方が自然だな」と感じました。音は低域、中域、高域とそれぞれスピード感が違うはずですが、そのスピード感の違いが明確に感じられる。僕が最近リファレンスにしているのはテイラー・スウィフトの作品が多いのですが、ローエンドにも濃密な情報量がある楽曲が多く、この曲がどう聞こえるかということを僕は1つの基準にしているんですね。

MI

テイラー・スウィフトの楽曲はポップであるだけでなく、エンジニアリング的にも参考にすべきところが多いですよね。

鈴木

そうですね。その他にも自分たちのこれまでの作品や様々な楽曲を聴いてみて、比較試聴に参加したクリエイター全員が「これだね」と声をそろえる形でShape 50を導入することに決まりました。聞いていて気持ちがいいだけでなく、モニタースピーカーに求めるものが全部詰まっているな、とも感じたんです。僕は個人的にも欲しかったので、自宅にはShape 40を導入しました。


音の作り方、重ね方にも変化が

MI

モニタースピーカーに求めるものというと?

鈴木

周波数のバランスが良いというのは大前提ですが、まずは定位の把握のしやすさです。L、R、そしてセンター。センターとLまたはRの間にあるところを考えるとざっくり5点の定位があるとして、今までは「ざっくりこの5点」という配置で音作りをしていましたが、Shape 50を導入してからはそれぞれの間にある微妙な定位を意識できるようになりました。Shapeは定位感も素晴らしいですね。

MI

ということは、リバーブやディレイなどの空間系の使い方にも変化がありましたか?

鈴木

変化があったというよりも「判断に迷いがなくなった」という方が正しいかもしれません。空間が見えるように感じられるので、音が把握しやすいんですよ。多重に重なったコーラスをどう配置するか、リズムを担う刻みものの音をどこに置くか、どれくらいリバーブやディレイにセンドするか、こういった繊細な作業が「見える」ようにクリアになりました。

MI

音作りの部分にも影響がありましたか?

鈴木

「明らかに」ありました。僕はハードウェア/ソフトウェア、アナログ/デジタル問わずシンセサイザーが好きでよく使うのですが、昨今のシンセはエフェクトでプリセットを派手に彩っているものが多い。僕は音作りをするとき、まずはこのエフェクトを1個1個オフにしてすっぴん状態を確認します。その上で楽曲に合わせて必要なエフェクトだけを残してから音作りをするのですが、この作業が楽になりましたね。つまり、必要なエフェクトが何か判断するのに迷わなくなりました。

MI

音作りだけでなくアレンジにもよい影響があったのでしょうか?

鈴木

もちろん自分自身の音楽性には一貫したものを持っているつもりですが、個々の「音」を冷静に判断できるようになったので、アレンジの上でも音を重ねることが明らかに減りましたね。音そのものが持っている密度や情報量をしっかりと判断できるようになったからかもしれません。

それから、何と言ってもデザインがいいですよね。気分良く制作を行うために、機材の見た目はとても重要です。音のためにこういった特徴的なデザインになったんだとは思いますが、僕はこのルックスも大好きですね。会社のこのスタジオでも、自宅でも愛用しています。


鈴木 光人 氏

スクウェア・エニックス所属の作曲家。

『ファイナルファンタジー VII リメイク』、『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』、『メビウス ファイナルファンタジー』、『スクールガールストライカーズ』などを担当。

近年ではゲームのみならず、TVアニメ『スクールガールストライカーズ Animation Channel』の楽曲制作、音楽専門誌での機材レビュー執筆や舞台音楽の制作にも携わっており、多方面で才能を発揮している。

SQUARE ENIX MUSIC Official Blog「鈴木週報」
https://blog.jp.square-enix.com/music/cm_blog/suzuki/

FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE Original Soundtrack
https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/FF7R/ost/

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