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何やらスゴいと噂のDiGiGrid、何ができるようになる?(その2)

2015.04.17

スタッフHです。前回のポストに引き続き、ここ数ヶ月で一挙にお問い合わせが増えたDiGiGrid製品について、営業部の私がサポート部リーダーのスタッフSと互いに意見交換のようなものをした内容を。

本日は最も問い合わせを受ける「WAVESプラグインをハードウェアみたいに使えるってこと?」について。

実際にDiGiGrid IOSを導入するつもりで

スタッフH:スペックが凄い、取り巻く環境も凄い。しかし、実際の使い勝手がどうなのかは多くの方が気になるポイントだと思います。この辺についてもう少し掘り下げてみましょう。まず、コンピュータとDiGiGridハードウェアを接続していることを「SoundGridネットワーク」と呼びますが、このイーサネットケーブル上では、どんなやり取りが行われているのでしょう。

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スタッフS:コンピュータとDiGiGirdハードウェアを繋ぐイーサネットケーブル上には、ここまでご説明してきたオーディオ信号の他に、各種のコントロールプロトコル、それからMIDI情報を扱うことができます。このうちコントロールとMIDIに関しては、今後のアップデートで対応となる予定です。これらのネットワークを管理するソフトが、Sound Grid Studio(本体に付属)です。

スタッフH:今日はコンピュータにMacBook Pro、DiGiGridのハードウェアにIOSと、4/21より発売となる予定のIOXの2台を接続していますね。接続はどうなっているのですか?

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スタッフS:MacBook Proからイーサネットで直接IOSに接続。IOSには4つのイーサネットポートがあるので、空いているポートからIOXに接続しています。SoundGrid Studioでは接続しているDiGiGridハードウェアが一覧で表示されるので、本日はこのように表示されますね。

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スタッフH:DiGiGridハードウェアが最大8台まで。コンピュータの方はいくつまで接続できるんでしたっけ?

スタッフS:こちらも8台まで接続できます。Mac、WInを同時に繋ぐことはもちろん、異なるOSバージョンでも1つのDiGiGridネットワークにまとめて使用することができますよ。

スタッフH:これは画期的ですよね今まではコンピュータ1台につき、1つのオーディオI/Oを用意しなくてはいけなかった。しかもOSバージョンによって接続できる・できないがあったりもする。でもDiGiGridならそういった環境の違いを気にすることなく1台〜8台のコンピュータから、1台〜8台のDiGiGrid I/Oを共有して同時、あるいは個別に使用できるわけですね。

スタッフS:そうです。1台のマシンで複数のI/Oを管理したい方もいるでしょうし、2台以上のマシンで1台のI/Oを使いたい方もいるでしょう。例えばスタッフHさんはご自宅でもレコーディングをしていますよね?ボーカルのレコーディングなどもすることはありますか?

スタッフH:はい、一般的マンションなのでできればスタジオを使って録りたいのですが、時間やお金の問題で自宅でレコーディングすることもあります。

スタッフS:機材やコンピュータを置いてある部屋は、ボーカルレコーディング対策の吸音や防音対策はしていますか?

スタッフH:していませんね。

スタッフS:例えばの話ですが、ベッドルームなどのようなお部屋の方が、音楽部屋よりもデッドで歌録りに適していたりしませんか?衣類などもあればなおベストですが。

スタッフH:それは考えたことがあります。でも、自宅が広いわけではないのですが、機材のある部屋からベッドルームまでマイクケーブルを這わせるとなると、そこそこの長さが必要になります。さらにボーカリスト用にオケを返すケーブルも必要になりますよね。音質面を考えても長いケーブルは避けたいし、自宅の中をケーブルだらけにしたくはないので、結局機材のある部屋で録ってしまいますね。

スタッフS:そのような場合、音楽部屋にIOSをメインI/Oとして入れておき、寝室にIOXを設置する。IOSとIOXの間に必要なケーブルは、イーサネットケーブル1本です。家中にケーブルを這わせることが嫌なら、フラットタイプのイーサネットケーブルで壁際を這わせるというのもアリでしょう。イーサネットなので仕様上は100メートル、実際は90メートルくらいまでは引き延ばし可能ですが…

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スタッフH:そこまで必要はないですね(笑)壁際を這わせてなるべく目立たないように長めに考えたとしても、20メートルも要らないでしょう。

スタッフS:ですよね。でも、仮に20メートルのThunderboltケーブルって、どれくらいの価格かご存知ですか?検索するとなかなか驚きの値段ですよ。DiGiGridで使用するCAT 5/6のイーサネットケーブルなら…せいぜい1000円とか、2000円程度でしょう。この1本で、寝室にオケを送り、音楽部屋にマイクからの信号をもらうことができます

スタッフH:私の自宅というニッチな環境はあまり良い例にはならないですが、これはプロジェクトスタジオや大規模なスタジオに置き換えて考えてみると、さまざまなアドバンテージがありますね。長いマイクケーブルも、オケのためのラインケーブルも不要ということですね。

WAVESプラグインがハードウェアのように使える?

スタッフH:今回セッティングしているIOSは、SoundGridフォーマットのプラグインを処理するプラグインサーバー機能を備えていますね。SoundGridフォーマットに対応しているのは、WAVESだけでしたっけ?

スタッフS:本日現在ではそうですね。現在、Plugin AllianceとSPLの2社が、SoundGridフォーマットに対応を表明しています。その他にも複数のプラグインデベロッパーに交渉中のようです。

スタッフH:ここ数年のWAVESは、アーティストやエンジニアが実際に所有している状態のいいビンテージ機器をモデリングしたり、あるいはAPI、SSLなどのアナログハードウェアブランドと共同開発を行ったり、さらに近年では、Abbey Road Studioとの共同開発で、歴史に残るであろうAbbey Road所有の機器をモデリングするなど、ハードウェアのプラグイン化にも力をいれています。私が営業で伺うディーラーさんや、セミナーなどでエンドユーザーの方にお会いすると、「DiGiGrid IOSのプラグインサーバー機能を使うことで、これらのプラグインをハードウェアのように使うことはできないか」という質問が最も多いんですよ。

スタッフS:はい、これこそがプラグインサーバーつきのモデルの1番の注目点だと思います。もちろん可能ですね。プラグインサーバーつきのモデルを使用するときには、大きくわけて2つの掛け方があります1つはDAW上にインサートした、つまりミックス上で使用しているプラグインを処理する掛け方。そしてもう1つが、DiGiGridハードウェアを管理するSoundGrid Studio上でプラグイン処理をする掛け方です。

スタッフH:SoundGrid Studio上でプラグインを使うことで、プラグインをハードウェアのように使う「掛け録り」が可能になるということですね。

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スタッフS:それだけではなく、演奏をするミュージシャンやシンガーにはプラグインで処理をしたサウンドをモニターとして送って、実際に録音をするのはプラグインの掛かっていない、いわばドライの音声にすることもできます。この辺のパッチングは非常に自由自在ですね。例えばビンテージ機器をモデリングしたEQ、コンプだけは「掛け録り」にしておいて、リバーブやディレイなどはシンガーのモニターだけに使う(録音には反映されない)、という事も…まぁ当たり前なのかもしれませんが、可能です。

スタッフH:そうなると気になってくるのが、レイテンシーです。プラグインをハードウェア感覚で使用できるだけのスピードはあるのですか?

スタッフS:SoundGrid Studioで発生するレイテンシーは、デジタルオーディオの世界を見渡しても極めて小さいといえる、0.8ミリ秒です。

スタッフH:0.8ミリ秒…ちょっと実感がわきづらいですね。

スタッフS:長さで言えば、30センチもないくらい。ギターアンプからこれくらいの距離ですね。人と人との会話でも、30センチ以内で顔を近づけて話されたら「おい、ちょっと近いな」って思いますよね?

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スタッフH:その表現はどうかと思いますが…(笑)でも、ギターアンプを鳴らすときには時として1メートル以上離れて演奏しているくらいですから、リアルタイムにプラグインを掛けても全く問題ないということなのですね。

スタッフS:これに加えて、個々のプラグインのレイテンシーは多少あります。が、多くのプラグインがゼロレイテンシーで動きますので、掛け録りにも問題ないかと思いますね。ちなみにスタッフHさんがWAVESプラグインの中で「掛け録り」に使ってみたいEQは?

スタッフH:APIと共同開発のAPI-550A/Bとか、SSLと共同開発のSSL E-Channel、G-Channel、あとはNEVEのモデリングであるV-EQ辺りでしょうか。

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スタッフS:見事に狙ったかのようですが、それらのプラグインはゼロレイテンシーなので、0.8ミリ秒だけで掛け録りに使用できます。コンプレッサーなら?

スタッフH:これも同じくAPI-2500SSLのシリーズは好きなので使いたいですね。それからクリス・ロード・アルジさん所有のLA-2A、LA-3A、1176をモデリングしたCLAシリーズは全般して大好きです。

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スタッフS:これらのコンプも全て、ゼロレイテンシーです。IOSのマイクプリ8機を全て使ってドラム録りなどをしたとして、全てのチャンネルにこれらのEQ、コンプを使ったら気分良さそうですね。レイテンシーがあるプラグインも一部を除けば極めて小さいレイテンシーに収まっているので、掛け録りにも問題ないはずですよ。個々のプラグインが持っているレイテンシーはWAVESウェブサイトに表がありますので、参照してみてください。このページ中、左側の「Native/SoundGrid」の欄ですね。

スタッフH:ちなみに、コンピュータとIOSを50メートルのイーサネットケーブルで接続しても問題ないのですか?

スタッフS:度重なる実験をしたわけではないのですが、問題ないですね。最近実際にあったケースだと、中規模のステージにIOSを設置して、2〜30メートルケーブルを引き回したPAブースにマシンを設置して、WAVESプラグインを使ったPAを行ったという例を拝見しました。同時にレコーディングも行っていたのも面白かったですね。

スタッフH:ライブ会場への音声も、WAVESプラグインを掛けたものを流していたのですか?

スタッフS:そうです。DiGiGridで発生しているレイテンシーは、各社から出ているデジタルミキサー程度の感覚と同じようなものなので、全く問題なかったですよ。さらに、レコーディングをしているマシンを1台追加していて、合計2台のマシンでレコーディングしていましたね。1台はバックアップ用とのことでした。

スタッフH:1台のIOSに、2台のコンピュータを繋いで、1台は音作りとレコーディング、もう1台はバックアップのレコーディングということですね。

スタッフS:これは、DiGiGridならではの使い方ですね。


 

いよいよ核心に迫ってきたDiGiGridトーク。私もスタッフSさんも「お酒飲みながらだったらもっと話すよね」などと言いながら、機材の話になるとお酒がないことを忘れて話しこんでしまうのでした(ちなみにSさんは、お酒を飲むたびに終電を逃すことで社内では有名です)。

次回はさらに深いところへ。DAW上でDiGiGridはどう使えるのか。かなりディープな感じになりそうです。

今日の記事にならない話:(サポートS:DiGiGridとかSoundGridとか、とにかく至るところでグリッドという言葉が多くてややこしいですよね。自分でも混乱する。。)

 

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