2025.01.21
2022年にApogeeから発売されたBOOM。余計な機能を削ぎ落としたシンプルなデザインのこの製品。その実態は「Apogee渾身のエントリー向け」オーディオインターフェースなのです。そんなBOOMの魅力を掘り下げる連載第3回は、BOOMに搭載されているDSPエフェクトについてお届けします!
レコーディングで一番大切なこと、それはプレイヤーが気持ち良く歌ったり演奏して、最高のパフォーマンスを引き出すことです。それを実現するには何が必要でしょうか?リラックスできる環境やレコーディングするメンバーであったり人それぞれですが、プロが口をそろえて言うのは「気持ちの上がる音をモニターしながら演奏する」こと。曲の完成形をイメージした音をある程度作って、その音を聞きながら演奏することでパフォーマンスが大きく上がるのです!
BOOMはマイクやギターの音を簡単に”イケてるサウンド”にして、その音を聞きながらレコーディングすることができてしまいます。いったいどんな音が作れるのか、BOOMに搭載されているエフェクトについて解説します。
BOOMには歌や楽器の音作りに便利な ECS Channel Strip が付属しています。伝説のエンジニア、ボブ・クリアマウンテン氏がチューニングしたエフェクトで、そのサウンドと機能はプロのお墨付き。スタジオレコーディングのように楽器やボーカルの音を作り込んだり、動画配信などで自分の声を聞きやすくすることが可能です。
つまみだらけで操作が難しそう...という方、ご安心ください!お勧めの設定が「プリセット」になって用意されていますので、歌や楽器に合わせたプリセットを選ぶだけでイケてるサウンドに仕上がります。初心者だけでなく、プロの時短ツールにも役立つ即戦力プリセットなのです。
Symphony ECS Channel Strip
このECS Channel Stripは単体プラグインとして¥15,400(税込)で販売されているプロ御用達のエフェクトです。BOOMユーザーであれば無償で使えて、しかもDSP上でゼロレイテンシーで動作します。これはかなりお得です。
ここで「DSPって何だろう?」「ゼロレイテンシーって何だろう?」と思われた方のために、最後にレイテンシーとDSPについて解説します。DAWレコーディングでは、自分が歌っている声やギターの音がヘッドホンから遅れて聞こえる「レイテンシー」が発生します。通常、オーディオインターフェースに入力された音はDAWに送られ、DAW上で自分の演奏を聴く際には「DAWバッファーサイズ」の分だけレイテンシーが発生します(遅らせてあげないとCPUで処理しきれなくなって、音切れしたり止まったりするため)。
さらに、プラグインでエフェクトをかけるとその処理時間も加算され、モニターする音には大幅な遅れが生まれてしまうのです。せっかくプラグインでいい感じの音が作れたとしても、それを聞きながらレコーディングすることは実質不可能ですよね。
さて次回は、BOOMを100%楽しむためのコントロールソフト「Apogee Control」と、スタジオクオリティなサウンドの理由をインプット面から解説します。
BOOM
プロはなぜ初心者にApogee BOOMを薦めるのか
実はインプットもすごかった。そこまでやる!?– Apogee BOOMの魅力を探る Vol. 4