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つなぐだけでスタジオクオリティ!DSP搭載のイケてるサウンド – Apogee BOOMの魅力を探る Vol. 3

2025.01.21

2022年にApogeeから発売されたBOOM。余計な機能を削ぎ落としたシンプルなデザインのこの製品。その実態は「Apogee渾身のエントリー向け」オーディオインターフェースなのです。そんなBOOMの魅力を掘り下げる連載第3回は、BOOMに搭載されているDSPエフェクトについてお届けします!

レコーディングで一番大切なこと

レコーディングで一番大切なこと、それはプレイヤーが気持ち良く歌ったり演奏して、最高のパフォーマンスを引き出すことです。それを実現するには何が必要でしょうか?リラックスできる環境やレコーディングするメンバーであったり人それぞれですが、プロが口をそろえて言うのは「気持ちの上がる音をモニターしながら演奏する」こと。曲の完成形をイメージした音をある程度作って、その音を聞きながら演奏することでパフォーマンスが大きく上がるのです!

BOOMはマイクやギターの音を簡単に”イケてるサウンド”にして、その音を聞きながらレコーディングすることができてしまいます。いったいどんな音が作れるのか、BOOMに搭載されているエフェクトについて解説します。

イケてるサウンドに仕上がるDSPエフェクト"ECS Channel Strip"

図1

BOOMには歌や楽器の音作りに便利な ECS Channel Strip が付属しています。伝説のエンジニア、ボブ・クリアマウンテン氏がチューニングしたエフェクトで、そのサウンドと機能はプロのお墨付き。スタジオレコーディングのうに楽器やボーカルの音を作り込んだり、動画配信などで自分の声を聞きやすくすることが可能です。

簡単便利なプリセット
図1

まみだらけで操作が難しそう...という方、ご安心ください!お勧めの設定が「プリセット」になって用意されていますので、歌や楽器に合わせたプリセットを選ぶだけでイケてるサウンドに仕上がります。初心者だけでなく、プロの時短ツールにも役立つ即戦力プリセットなのです。

もちろん、こだわりの音作りも可能です!

ECS Channel Stripは、イコライザー、コンプレッサー、サチュレーションを組み合わせた包括的なエフェクトで、それぞれの機能を使って好みの音色に仕上げられます。

(1) EQ(イコライザー)

イコライザーは音を3つのエリア(低音域・中音域・高音域)に分けて、それぞれの音を大きくしたり小さくして自分好みの音色に仕上げられます。歌をイコライザーで調整すると、ざっくりこんな感じになります。

低音域:↑大きくすると「迫力が増す」 ↓小さくすると「すっきりした音」
中音域:↑大きくすると「声がはっきり」 ↓小さくすると「声が細く」
高音域:↑大きくすると「明るい音」 ↓小さくしすぎると「モコモコした音」

(2) COMP(コンプレッサー)

声や楽器の音は急に大きくなったり、逆に小さくて聞こえづらくなったりすることがあります。コンプレッサーを使えば、音の大きすぎる部分を抑えてから全体のボリュームを持ち上げて、聞きやすく整えることができます。

THRESHOLD(スレッショルド):どのくらい大きい音になったら抑えるかの基準値を決めます。スレッショルド値が高い(例:左に1メモリ-5dB)と、音がよほど大きくないとコンプレッサーは働きません。スレッショルド値が低い(例:左に10メモリ-50dB)と、多くの音がコンプレッサーの対象になります。

RATIO(レシオ):スレッショルドを超えた音量をどのくらい抑えるか、その割合を決めます。例えば 3:1 なら音量が3分の1になり、ボーカルや楽器のダイナミクスを軽く整える程度に抑えられます。10:1 は完全に音量を抑えて、ボリュームを安定させたい場合に使います。

(3)アウトプットレベル
音を抑えるとボリュームが小さくなるので、その分アウトプットレベルを上げればボリューム変化のない音ができあがります。
(4) DRIVE(ドライブ)
音を力強くしたり、独特の温かみや歪み、パンチ感など、音にエッジやキャラクターを足すスパイスとして役立ちます。少しかけると音が少し太くなって温かみが増し、多めにかけると「歪み」や「荒々しさ」を加えられます。

単体プラグインなら¥15,400のバリュー、しかもゼロレイテンシー

Symphony ECS Channel Strip

このECS Channel Stripは単体プラグインとして¥15,400(税込)で販売されているプロ御用達のエフェクトです。BOOMユーザーであれば無償で使えて、しかもDSP上でゼロレイテンシーで動作します。これはかなりお得です。

ここで「DSPって何だろう?」「ゼロレイテンシーって何だろう?」と思われた方のために、最後にレイテンシーとDSPについて解説します。

レイテンシーって何?

DAWレコーディングでは、自分が歌っている声やギターの音がヘッドホンから遅れて聞こえる「レイテンシー」が発生します。通常、オーディオインターフェースに入力された音はDAWに送られ、DAW上で自分の演奏を聴く際には「DAWバッファーサイズ」の分だけレイテンシーが発生します(遅らせてあげないとCPUで処理しきれなくなって、音切れしたり止まったりするため)。

さらに、プラグインでエフェクトをかけるとその処理時間も加算され、モニターする音には大幅な遅れが生まれてしまうのです。せっかくプラグインでいい感じの音が作れたとしても、それを聞きながらレコーディングすることは実質不可能ですよ

音ズレもDSPで解決!

そんな問題を解決してくれるのが、ほぼゼロのレイテンシーでエフェクト処理してくれるコンピューター DSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)です。DSPを搭載したオーディオインターフェースなら、エフェクトのかかった音をモニターしながら演奏・録音することが可能になります。BOOMはエントリー向けの価格帯でありながらDSPを搭載しているので、マイクやギターの音にエフェクトをかけて、気持ちの上がる音をモニターしながら演奏できるのです。ちなみに、このようにエフェクトをかけた音をレコーディングすることを一般的に「かけ録り」と呼んでいます。

さて次回は、BOOMを100%楽しためのコントロールソフト「Apogee Control」と、スタジオクオリティなサウンドの理由をインプット面から解説します。

BOOM
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