2021.04.14
アレンジャーワークのみならず、楽曲制作、プロデュース、プレイヤー、自主レーベル[Studio Cubic Records]の運営とアーティストの育成にも力を注ぐ鈴木Daichi秀行さん。
地下から地上2階まで、まるまる1棟が「音楽の玉手箱」とも呼べる氏のホームスタジオ、Studio CubicにてAMS Neveのアウトボードを使用して頂いた。
数々のアウトボード 所持している氏に前回に引き続き、88RLBの活用方法をお伺いした。
メディア・インテグレーション(以下、MI)
今回はNeveのフラッグシップであるアナログ・ラージ・コンソール88Rのプリアンプを500シリーズに対応させた88RLBについてお聞かせください。 実際に88Rの音を聞いたことはございますか?
鈴木Daichi秀行 氏(以下、鈴木)
はい。自分では操作してないですけど、エンジニアさんにレコーディングして頂いたことがあります。日本のスタジオにも何台か導入されていますね。
MI
500シリーズの88Rの印象はいかがでしたでしょうか?
鈴木
そうですね。印象通りのサウンドで1073LBより綺麗で抜けが良くて、今時の明るいキャラクターでした。
MI
88RLBの特徴としてREG(Regenerate)機能があります。
鈴木
これはLine入力やDI入力の時にマイク入力回路に使用されているトランスを通すことができる機能です。
トランスを経由するとパワー感が出るというか、押出し感が増える印象です。
暖かみのあるNeveらしさが足されますね。
88RLB自体が綺麗目なキャラクターのマイクプリアンプなのでもうちょっとパンチが欲しい時に使うといいと思います。
本来はマイクで録音しないとこのトランスは通らないので面白い機能ですよね。
MI
その他にはコンボジャック、ハイパスフィルターがあります。
鈴木
これも便利ですよね。1073LBと同様にこのコンボジャックを使用してベースを録音しました。
REGオンとREGオフの両方を録音しましたので聴き比べて見てください。
ハイパスフィルターは明らかにいらない低域はあらかじめカットして録音しています。
録音時に使用するコンプレッサーに影響が出ないように、いらない低域をカットする時に便利です。
MI
どんな録音でお使いになりますか?
鈴木
アコースティックギターやエレキギターなど高域が綺麗に伸びて欲しい楽器に使います。
特に最近の派手な音が色々入っている音楽には合うと思いますね。
3ピースのバンドみたいな音数が少ない音楽だと1073の方が音が太くて音像を埋めてくれるので向いているのですが、逆に打ち込みで音数が多い音楽だと太すぎて邪魔になってしまう場合があるんですよね。
そういう場合はすっきりした88RLBの方が使いやすいと思います。
Neveのキャラクターの濃さは1073の方がありますが、88Rのサウンドの方がバランスが取れてて使いやすいと思います。
すごく高額なコンソールのマイクプリが安価で使用できるのはいいですね。
AMS Neve