MPE(MIDI Polyphonic Expression)とは
従来のMIDI情報では不可能だった、「複数のノートなど多次元の演奏情報を同時にコントロール」できる新しいMIDI規格、それがMPEです。
ピッチベンドを例にみてみましょう。下図のように複数ノートをおさえてコントロールを行う場合、従来のMIDI情報ではAの音もBの音も、同時にピッチベンドが適用されてしまっていました。

従来のコントローラーでは押さえた音全てに同じピッチベンド情報が適用されます
ところがMPE対応のコントローラー、ソフトウェアを使用することで、指ごとにピッチベンド情報を独立して扱うことが可能です。

MPEでは複音のうち1音だけにピッチベンド情報を与えることが可能です
MPEなら上記のようなピッチベンドはもちろん、モジュレーション、その他エクスプレッション情報もノート個別に適用が可能です。そのため今までは難しかった、より直感的で有機的な演奏をお楽しみいただけます。
MPEの登場は、シンセサイザーの発明以来、エレクトロニック・ミュージックにおける最大の革新と言えます。MIDIコントローラーやソフトウェア・シンセサイザーなど音楽制作ツールの表現力をより豊かにするために、多くのハードウェアおよびソフトウェア・カンパニーが対応機器、対応ソフトウェアの開発を進めており、すでに多くの製品がリリースされています。
メディア・インテグレーション取り扱い製品の中にも、後述の通りすでに多くの対応製品が存在しています。
MPEによるメリット
MPE対応製品を使用することで前述のピッチベンドのような、ポリフォニックなサウンドコントロールを、例えば各指により多次元的に行うことができます。
それにより、まるで実際にアコースティック楽器を演奏しているかのようなフィーリングを生み出します。指を揺らしたり、押し込んだり、緩めたりといった、体の微妙な動きにも複数ノートに対し有機的に、同時に追従することが可能です。
体の動きに追従した演奏表現
MPEは、伝統的なアコースティック楽器と電子楽器の架け橋として、ある種の限界点に到達したと言っても過言ではありません。人間工学的な動きと、実際にコントローラーで演奏する際の制限(発音性能、機能自体の上限など)との間にあった表現の谷を飛び越え、より純粋に体で音楽を奏でることが可能になります。あとは、実際に何を表現するかです。