2017.01.22
昨年も様々な分野に多数の新製品を発表してきたソフトウェア・プラグイン界のリーディング・デベロッパー、Waves。中でも驚かされたのが、3つのエレクトリック・ピアノ音源のリリースです。鍵盤楽器の芯を捉えたサンプル、Wavesのお家芸とも言える充実のエフェクト・セクション、そしてリーズナブルな価格設定と、いずれも非常に魅力的なインストゥルメント・プラグインですが、実はWavesがインストゥルメント・プラグインを手がけるのはこれが初でした。
そしてNAMM2017のWavesブースでは、サードパーティのSoundGrid対応プラグインと並んでGrand Rhapsody Pianoという新たなピアノ音源が公開されていました。今回、ついにアコースティック・ピアノ音源の登場です!ファツィオリF228グランドピアノを、8本のマイクによって弦やハンマー、天板、ルーム、キーノイズに至るまでサンプル収録。
しかもこのファツィオリは、昨年の大ヒット曲のひとつアデルの”Hello”で使われ、フレディ・マーキュリーもお気に入りだったというメトロポリス・スタジオ設置のモデルとのこと。それで名前が...というわけですね。
Grand Rhapsody Pianoは、これら8本のマイクから任意の3種類を組み合わせてミックスできる仕様。さらにFormantによる自然なトーンコントロール、Waves謹製のEQとリバーブセクションも完備され、単にピアノの再現にとどまらず、プロダクションでピアノを使うことを強く意識した構成になっています。インターフェイスもひと目ですべてを把握できる、Wavesならではの使いやすさを追求したもの。価格もピアノ音源としては破格と言っていいでしょう、100ドルを切り、かつイントロプライスも予定されていますよ。
その他にもWavesではアンドリュー・シェップス、トニー・マセラティ、ブッチ・ヴィグ、グレッグ・ウェルズといった、Wavesとのコラボレーションでおなじみのエンジニア、アーティストらによるセミナーが目白押し。スケジュールの関係ですべて見るわけにいかないのが残念です。グレッグ・ウェルズ見たかったな...
他にもライブサウンドのセクションでは、今までMultiRack専用だったDugan Automixierがプラグインに対応。主にヴァーチャル・ミキシングデスクLV1との組み合わせを念頭に、最大64chまでリアルタイムにマイク入力のレベルを均一化。大規模な会議やカンファレンスでもより柔軟に使用できるようになっています。
さらにSoundGrid関連のニュースとして、Apogee Symphony IO Mk IIがDLSとの組み合わせで展示されていました。登場が待たれるSoundGrid対応バージョンについては、もうじきリリースとのことです。
昨年はAbbey Roadシリーズをはじめ、Infected Mushroomやグレッグ・ウェルズによるシグネチャー・シリーズ、BSSコンプレッサのモデリング、LV1やeMoシリーズといったライブ・サウンド向けソフトウェア、3Dオーディオをヘッドフォンに再現するNXと、いずれの分野でも、今までにないWavesならではの革新性が伺えるラインナップが登場しました。2017年は、かつて「エフェクト・プラグイン」デベロッパーだったWavesが、音楽・音響の総合ソフトウェアのデベロッパーとして新たな革新を生む、そんな年になりそうです。