2025.06.05
長年Symphony I/O mk2をSEのモジュールと合わせて使用しています。Apogeeのサウンドには慣れ親しんでいるため、今回の新製品を試せるのが楽しみでした。
まず単刀直入に、アウトプットの音が良いです!Symphony I/O mk2を使用しているときには、個人的に音が濃すぎるというか、少し太すぎる印象を受けるときがあり、外部クロックを使うことで若干音をスッキリさせる、という形で使っていました。
今回Symphony Studioを試してみて、ちょうど欲しかった「スッキリさ」がありつつも、しっかりと上下左右のレンジが確保されている印象でした。個人的にかなり高評価です。
モニタースピーカーアウトに限らずヘッドフォンアウトに関しても同様の印象で、パワー感もしっかりあるので、通常オーディオインターフェースのアウトではドライブしにくいようなタイプのヘッドフォンでも、余裕を持って鳴らしてくれていると思います。
変にくっきりとしすぎるような、ドライ音と空間系の音が分離しているような超モニター然とした音ではなく、音楽を聴いていて楽しいと感じるオーディオインターフェースです。アレンジやミックス作業では長時間音を聴くことになるので、聴いていて楽しい、というのは大事なことだなと思っています。
Symphony I/O mk2も同じような印象で、これが「Apogeeらしい音」ということなのかもしれません。
インプットに関してはよくあるオーディオインターフェース内蔵のマイクプリとは違い、ヘッドルームの低さやモコつくような様子もなく、素直に目の前の音をキャプチャーしてくれていると思います。決してマジックがかかるようなプリではないですが、SNも良く、ダイナミックマイクでウィスパーボイスを録りたい場合などでも全く問題はなさそうです。宅録ユーザーにとっても、きっと強い味方になってくれます。
Apogee Control 2
コントロール用のアプリケーション「Apogee Control 2」内にあるスピーカーの補正機能も面白いです。自分の好みでEQ補正をかけられるのはもちろん、部屋の寸法や壁の素材などを入力するとそれに適した補正を施してくれる機能があり、これがあれば昨今ブームとなりつつある、スピーカー補正を手軽に導入できますね。
ECS Channel Strip
DSPで動作するプラグイン「ECS Channel Strip」により、ある程度音に色を付けた状態で録ることができるので、プレイヤーのモニタリングにおいても、後の作業の負担軽減においても便利だなと思いました。EQによる音質の変化、感触も全然ギスギスしておらず、積極的にいじって音作りができそうです。
これだけのサウンドクオリティの機材を、自分の欲しいスペックに合わせて3つのラインナップから選べるのは相当コストパフォーマンスが高いと思います。1Uサイズで持ち運びやすいので外のスタジオに出向くようなエンジニアはもちろん、自宅での制作レベルを上げたいユーザーにとってもかなりおすすめできるインターフェースです!
染野 拓
レコーディング/ミックス/PAエンジニア
2017年 東京藝術大学音楽環境創造科を卒業。2019年からStyrismに所属し、これまでにCHARA、SIRUP、odol、WONKなどの作品を手掛ける。最近ではTK from 凛として時雨、春野、NIKO NIKO TAN TANなどのエンジニアを担当する。
Symphony Studio