2021.06.29
マイクを使ったレコーディングにおいて重要なファクターはいくつもあるが、中でも最も大事なのはマイクをダイレクトに接続するマイクプリアンプだろう。近年はオーディオI/Oに内蔵されているマイクプリの性能も飛躍的に進化してはいるが、個性、特性、そして何より音質の面でも単体機のマイクプリには遠く及ばない。
Sym・Proceedからリリースされたマイクプリアンプ、SP-MP500。ラックタイプだったこれまでのモデル(SP-MP4、SP-MP2)とは異なり、API500フォーマットで登場した本機はシリーズの特徴でもあるウルトラクリーンな特性と、圧倒的なトランジェント特性を持つ稀なプリアンプだ。
そんな本機を、クリス・ハートのトータル・プロデュースや少女時代、EXO,のプロデュースを行っている、JEFF MIYAHARA氏に実際に使用した印象語っていただいた。
SP-MP500はシンプルなマイクプリアンプなので、とてもミニマムでその使い方が限られている分、インプットソースで何を入れるのかを、すごく気を使いました。今回はボーカルと効果音的なクラップを録音してみました。
最近の僕の音作りですが、録音した後プラグインでエディットすることが非常に多く、今プロデュースさせてもらっているアーティストは非常に声が特徴的だったり表情を大切にしています。だから、録音時にはなるべくニュートラルで忠実なサウンドで録ることを心がけていますね。また、リメイクも多く手がけているので、そういう意味でも一番ニュートラルな撮り方をしていくことが重要です。
他にもニュートラルなマイクプリアンプを持っていますが、その中でもSP-MP500は飛び抜けてディテールがすごい!立体的な感じです。あとトランジェントの速さには驚かされました。コンプレッサーもびっくりするんじゃないかな(笑)。とにかく速く感じました。
この速さが病みつきになりますね。非常にリズミカルな音楽が多い中で、歌のリズムや楽器のリズムをすごく大事にする僕にとって、このトランジェントの速さはとても意味があります。本当にこれ以上のものにはまだ出会ったことがありません。
様々なマイクを試しました。マイクの特徴を一番活かしてくれるのがこのプリアンプだと思います。いろんな人に怒られるかもしれませんが、NEVEを通したら何でもNEVEっぽいというか「いい音」にはなります。でもこれって組み合わせなんですよ。何かと何かでそこのコンビネーションの音にはなっているんですけれども。
SPMP-500を通してマイク本来の特徴がきちんと明確に伝わるところがすごく好きです。改めて大好きになったのがビンテージのU-87とかU-87Aiです。最近感動したのが47で、Neumannのマイクはすごく良かった印象がありました。このマイクプリアンプのおかげで、あらためてもう一度自分のマイクのコレクションを楽しむことができそうです。
他に気に入ったポイントは、デザインが凄くシンプルで日本的です。日本人が作った感じが出ています。洗練したフォルムとかライン、あとLEDの色がすごく好みです。元気になります(笑)。
基板もアーティスティックで、あまりにもきれいでびっくりしました。皆さんも開封してランチボックスに入れる前に、まずは宝石として眺めてください!
Music Producer & Composer
1977年ロサンゼルス生まれ,日本と韓国のハーフという多文化・多言語的なバックグラウンドを持つ。数々のNo.1ヒットと4,000万以上のCD&デジタルセールスの実績を誇り、JUJU with JAY’ED「明日がくるなら」で2009年の日本レコード大賞・作曲賞を受賞。2013年に自ら発掘した、クリス・ハートのトータル・プロデュース行い、その年に“輝く!日本レコード大賞”企画賞を受賞。その他, 少女時代、EXO, 安室奈美恵、西野カナ、SMAP、三代目J SOUL BROTHERS、ONE OK ROCK、などに楽曲提供やプロデュース。シンガポールにて音楽大学「Hitmaker Global Academy」の創業、東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校(慈慶学園)にて「名誉教育顧問」就任など、幅広い活動域を持つ。