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トランジェントで「音の前後感」を自在にコントロールする — Sonnox Oxford TransMod

2025.06.13

ミックスでボリューム調整をいくら追い込んでも、「引っ込みすぎて埋もれる」「音が前に出すぎる」という壁にぶつかることはありませんか? ボリューム、EQ、コンプを駆使しても、なかなか上手く解決できない「音の前後感」の問題は、トランジェントに原因があるかもしれません。

音が鳴り始めた瞬間のトランジェント(アタック・立ち上がり)という要素を操ることで、楽器やボーカルの「距離感」や「存在感」を調整することができます。

そこで今回は、トランジェントを自由自在にコントロールすることができる Sonnox Oxford TransMod をご紹介します。

トランジェント調整から音色づくりまで自由自在 — Sonnox Oxford TransMod

画像1

Oxford TransMod の正式名称は Transient Modulator(トランジェント・モジュレーター)です。豊富なパラメーターによって多彩な音作りが可能で、多くのエンジニアやクリエイターに愛用されています。

中核となるパラメーター:RATIOとOVERSHOOT

Oxford TransModの中央に位置するエフェクトパネルには、「RATIO(レシオ)」と「OVERSHOOT(オーバーシュート)」の2つの主要パラメーターがあります。

RATIO

  • RATIO を上げるとトランジェントが強調され、楽器の存在感が前面に出てきます。
  • RATIOを下げるとトランジェントが抑えられ、楽器がミックスの奥に引っ込むような効果が得られます。

OVERSHOOT

OVERSHOOTはエフェクトの作用時間をコントロールして、トランジェントの印象を大きく変えます。

動作例

  • RATIO⬆︎ : OVERSHOOT⬆︎
    効果時間が伸びることでトランジェントが強く長く残り、アタック感とボリュームが際立ちます。
  • RATIO⬇︎ : OVERSHOOT⬆︎
    トランジェントが柔らかくなり、減衰効果が長引いて音が控えめになります。

トランジェントも「引き算」で考える!

画像1

ある楽器を目立たせたい場合、周囲の音を引くことで結果的にその楽器が浮き立つ「引き算のミックス」が語られます。EQやボリュームと同様に、トランジェントを引くというアプローチは、アレンジやミックス全体のバランスを整える上で非常に有効です。

Sonnox Oxford TransModは、マイナスのRATIOを使って音の存在感を引き算することができますので、オートメーションと組み合わせることで表現力のある演出が可能です。

例えば、イントロのギターリフではRATIOを上げて存在感を出し、ボーカルが入った後にRATIOを下げて、リフがボーカルを邪魔しないようにすることができます。

ボーカル処理にも応用可能

Oxford TransModは楽器だけでなく、ボーカルにも非常に有効です。たとえばボーカルのダブリングを処理する際、ダブリングトラックにマイナスRATIOを適用すると、トラック全体がメインボーカルと競合せずに自然に馴染みます。

この方法を使えば、EQやDeEsserで調整をする必要がなくなり、クリーンでバランスの良いミックスが実現できます。もちろん、コーラストラックなどにも応用可能です。


まとめ

Sonnox Oxford TransModは、単なる「トランジェント強調ツール」ではなく、音の前後感や存在感をコントロールできる、非常に柔軟なツールです。

RATIO と OVERSHOOT という2つのパラメーターを理解し、足し算・引き算に活用することで、より洗練されたミックスに仕上げることができます。ぜひ一度、その可能性をチェックしてください。

Oxford TransMod
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