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Clear MG Proレビュー:土岐彩香

2021.08.10

名門、青葉台スタジオでキャリアをスタートしたのちフリーに転身し、サカナクション、フジファブリック、Chara、米津玄師などの作品に携わるエンジニア、土岐彩香氏。その確かな技術とセンス、多くのアーティストから支持を受ける彼女が愛用しているヘッドフォンが、FocalのClear Professionalだ。

Clear Professionalの後継機として登場したClear MG Proは、さらなる軽量化、硬質化、振動吸収率を実現し、今まで以上に高い解像度の提供する。

このClear MG Proを、長年のClear Professional愛用者である彼女にさっそくチェックしていただいた。


明らかに解像度が上がっている

土岐さんは以前からFocalの製品を複数に渡ってご愛用いただいています。スピーカーはSolo 6Be、ヘッドフォンはClear Professionalで、以前インタビューもさせて頂きましたが、今回このClear Professionalの後継機ということでClear MG Proが登場し、土岐さんに印象をお伺いしたくさっそくClear MG Proを試していただきましたが、いかがでしたか?

新しいClear MG Proは明らかに解像度が上がっているように聞こえました。言い換えると、それぞれの音がしっかりと近くでなっているように聞こえ、音がより捉えやすくなっていますね。

実際にClear MG ProとClear Professionalの2つを同じ音量にセットして聴き比べもしてみましたが、Clear MG Proの方が音場が大きいように感じます。

私自身の個人的な好みとしては、旧モデルのClear Professionalの方がサラッとしてるイメージで好きなのですが、性能としては明らかにClear MG Proの方が上ですね。


低域の線が太くなったように感じる

MI 「性能として上」というのは、どのようなところを指すのでしょうか?

一番印象深かったのは、低域の解像度が圧倒的に高くなっていること。旧モデルのClear Professionalもしっかり音が"見える"ヘッドフォンと思って使っていましたが、Clear MG Proは低域の線が太くなったように感じます。そのおかげで捉えやすさが違うし、音作りの判断でも迷いが減ります。

MI 今回のアップデートでは、ドライバーに使用する素材が「アルミニウム/マグネシウム」から「マグネシウム」に変更になりました。この変更によって素材の軽量化や振動吸収率が大幅に向上し、共振を抑えることで必要のない音の除去に役立っています。

Clear MG Proで低音の音作りをした後にClear Professionalに付け替えてみると、「あれ?見えて(聞こえて)いない低音があったのかな?」という感覚を覚えました。それくらい低域の解像度が高い。

旧型のClear Professionalはいい意味でオープン型らしい音で、広がり抜ける感じが良かったのですが、その分帯域的に「散って」しまっている部分があるように感じます。Clear MG Proだと同じくオープン型なんだけど、その散ってしまう感じがなく、しっかりパワー感も感じられる。私は長いことClear Professionalを使ってきたこともあってまだこの変化に慣れていないのですが、慣れてくればこの解像度、性能の高さは大きな武器になりますね。


本当に耳は全然疲れない

MI 土岐さんは以前「Clear Professionalは空間を感じるヘッドフォンなので、疲れない」とお話をされていました。今回のClear MG Proにも同じ印象を感じられましたか?

はい、今でも10時間くらいヘッドフォン作業をすることもありますが、本当に耳に疲れを感じることはないですね。新型のClear MG Proも同じ印象を持ちました。仕事の道具として、耳への負担が少ないというのは本当に大事なことで、助かることでもあるんです。

これは余談ですが、オープン型のヘッドフォンの利点として、自宅で作業をしているときにインターフォンの音に気が付くことができる、というのもありますね(笑)コロナ禍で自宅作業が増えた今ならではのことかもしれません。私は家でも外のスタジオでももう、Clear MG Proで作業をしています。

「信頼できる環境が持ち歩ける」というのは大きいですよね。


クリエイター、アレンジャーにこそ使って欲しい

MI 土岐さんの作業の中心にClear MG Proがあって非常に嬉しい限りです。Clear MG Proはどんな方にオススメできるでしょうか?

オススメしたい方と言われたら、それはもう「全人類」ですね(笑)

真面目な話、そもそも値段が安くない製品なので、今よりも高みを目指す方全員にオススメします。間違いなく今あるモニター環境の中でトップクラスの解像度と性能を持っているので。

高い解像度という点でいえば、このClear MG Proはエンジニアだけじゃなくクリエイターやアレンジャーさんにこそ使って欲しいとも思いますね。

これは私自身がミックスを担当したものでもあったことですが、キックの低音が全然ないものが届くことがあります。そうなると、ミックスのときにどうやって重心をさげるべきかを悩まないといけない。でも本来は、音作りの時点でしっかり低域が見えて(聞こえて)いればこういったミスは起きないはずなんですよね。

MI モニター環境が正しくなく、異様にローエンドが膨らんだ状態でモニタリングしていると、実際の素材はショボいものだったということはあり得ますよね。

そうなんです。だからこういった正しいモニター環境を最初から使ってもらって、「いい音の判断」をしながらトラックメイク、アレンジをしてもらう方がいいですね。


Profile

mabanua
土岐 彩香

Recording/Mixing engineer

青葉台スタジオからエンジニアのキャリアをスタートし、現在はフリーランスで活動中。
打ち込みと生音の合わさるダンスミュージックを得意とする。
ついベースとキックを大きくしがちな、グルーブ好きエンジニア。
長年にわたるfocalユーザーです。

https://twitter.com/lemmingdisease

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