• POPULAR LINKS
検索

本サイトでの Cookie の使用について

  • TOP
  • Tips / Article
  • Carlos Rodgarmanのスタジオに潜入:Neve Genesys G3Dとともに
scroll

Carlos Rodgarmanのスタジオに潜入:Neve Genesys G3Dとともに

2025.04.18

2025年NAMM TECアワードを受賞したAMS NEVE G3Dコンソール

AMS Neveの最新コンソール「Genesys G3D」は、2025年のNAMM TECアワードで見事に受賞を果たしました。クラシックなアナログ設計と現代のDAW環境に対応した柔軟性を兼ね備え、ハイブリッドな音楽制作に理想的な環境を提供するこのG3Dは、世界中のプロフェッショナルの注目を集めています。

そんなG3Dをいち早く導入したのが、音楽プロデューサー・エンジニアのCarlos Rodgarman氏。彼のプライベートスタジオには、もともとGenesys Blackコンソールが導入されていましたが、2025年初頭にG3Dへとアップグレードを決めました。

現場の最前線で活躍する彼のスタジオは、コンソールの性能が存分にその仕事や成果に反映されます。今回のアップグレードにより、音質、ワークフロー、操作性のすべてにおいて大きな進化を実感しているというCarlos Rodgarman氏にお話をお伺いしました。


ハイブリッドな制作環境とアナログの存在感

DAWのみでのオペレーションが完結することもできる昨今にどうしてGenesysコンソールを導入した理由

Carlos Rodgarman: 「フェーダーだけのコントロール・サーフェス」のような卓ではなく、本当の意味で「音を変えてくれる」コンソールがほしかったんです。最小構成の状態で製品を導入して録音とミックスを始めたとき、その音に驚愕しました。結果的にさらに16チャンネルを追加し、現在ではスタジオを拡張するまでに至りました。このままいけば、さらに16チャンネル追加することになりそうです(Genesysシリーズは8ch単位でインプットを増設可能)。

DAWだけでも制作を完結できる時代ですが、Genesysコンソールは、音の重みや直感的な操作性が大きく変わってきます。制作においてプラグインも使いますがやはり中心はアナログで、デジタル環境だけでは得られない音の立体感や、フェーダーに触れてこそ感じる音の微細な変化があり、それが制作の判断をより確かなものにし、スピードとクオリティを高めてくれます。

GenesysではNeve 1081や88RのEQモジュールを自由に組み合わせることができるのも特長ですね。1081はクラシックな音。ドラムやベースには必ず使う。一方で、88RはパラメトリックEQだから細かい調整に便利。求める音に応じてEQを使い分けられる柔軟さが、ミックスにおける大きな武器になります。GenesysのEQとコンプレッサーはアナログなのにプラグイン感覚で操作でき、アナログとデジタルのいいとこ取りができる点がすばらしいです。

Pro Toolsとの連携においても、トータルリコールやオートメーション対応など、日々のセッションに欠かせない機能が豊富に揃っています。

Carlos Rodgarmanのスタジオに潜入
G3D:デジタルセクションの進化

Carlos Rodgarman: Dolby Atmosの制作は、案件の比率はそこまで高くはありませんが、ここ数年確実に増加傾向にあります。特にストリーミングサービスやゲーム、映像作品など、立体的な音響表現を求める分野での需要が拡大していて、Atmosの制作ができるようにスタジオのシステムを更新しました。そのタイミングでG3Dが発表され、自分のワークフローを変えることなくAtmosの制作を始められました。

Genesys BlackからG3Dへのアップグレードにおいて、もっとも大きな変化はデジタルセクションの刷新と操作性の向上です。G3D用に大型タッチパネルを用意し、DAWとの統合性がさらに強化。視認性が高まり、複雑なルーティングやパラメータの調整も直感的に行えるようになったことで、セッション全体のテンポ感が格段に向上しました。

また、EQセクションやダイナミクスセクションも細部まで見直されており、音作りの自由度と精度がさらにアップしています。結果的にGenesys Blackのときよりも、DAWでの後処理が少なくて済むようになり、コンソールで完結する割合が増えました。

Carlos Rodgarmanのスタジオに潜入
イマーシブ制作の大きな武器

Carlos Rodgarman: ステレオでの制作に慣れているエンジニアがAtmosに移行する上で重要なのは、「定位の感覚」と「解像度」です。G3Dは鳴らしてすぐ分かる明瞭さがあり、音像を立体的に把握するモニタリング環境と、情報量を損なわないコンソールの性能が、イマーシブ制作においても大きな武器となります。

実はここまで満足できるとは思ってはいませんでした。でも、結果的にGenesysを選んだのは間違っていなかったと自信を持って言えます。実用性と音質、そして拡張性。Neve Genesysは単なる機材を超え、私の音楽制作の「中心」となっています。



Carlos Rodgarman
Carlos Rodgarman

スペイン・ビーゴ出身。グラミー賞ノミネート歴を持つエンジニアであり、ラテン・グラミー賞にもノミネートされたソングライター。Juan Gabrielの『Los Dúo』やJenni Riveraの『Joyas Prestadas』など、数々の受賞作に携わる。

また音楽監督・編曲家・ピアニストとして世界中をツアーし、ポップス、ラテン、ジャズを軸に、Celine Dion、Sheila E.、Isabel Pantojaら著名アーティストと共演。ロサンゼルスにあるハイエンド録音スタジオ「RG Studios」と音楽制作会社「RG Music」を設立し、Dolby Atmos対応の最新設備を駆使した作品を手がけている。

デビューアルバム『The Rodgarband』では、国際色豊かなアーティストと共演し、その多様性と音楽愛を体現している。

Genesys G3D
TOPへ