新Ensembleは初のThunderbolt “2” 接続
2015.03.06
スタッフHです。
2015年の年もあけ、1月の中旬より全国一斉発売となったApogeeの新しいThunderbolt 2接続のオーディオインターフェイス、Ensemble。
続々と新しいオーディオIOが様々なブランドから登場する中で、いずれの製品も「高品位」や「高音質」、あるいは「高い安定度」「高い自由度」など、どうも似たような表現が多く、実際に聞いたり使ったりしてみないことにはその新価も分かりづらいものです。
私は立場上、Apogee応援団長みたいなものですから、国内に入ってきたデモ機をさっそく自宅でも試すぞ!などと考えていたのですが、なんせ入荷数はごく僅か。発売に至って「ではお金をなんとか工面して、がんばって購入してみるか」と思ったのですが、そんな台数もなく、初回に入荷してきたものは全てユーザーのみなさまに渡っていったわけです。
ということで、わずかばかり在庫も安定してきた今、私の家にもやっと新Ensembleが到着。どういった点が今までと違うのか、少々レポートなぞをしてみようという流れでございます。
私・スタッフHがこれまで使用してきたオーディオインターフェイスは(過去の記憶をよくよく辿ってみて)このEnsembleで8台目。今にして思えば「悪い」ものはひとつもありませんでした。PCI、USB接続、FireWire接続。その時々にやりたかったことや、本体の大きさ、独自の機能に惚れ込んだり、とにかく入出力が豊富、など様々なところに惚れて使ってきたものばかりでした。
マシンの買い替えに伴っていつも気にしなくてはいけない、オーディオIOとの接続。最近のMacはFireWire端子が廃止となった事もあり、選択できるものとしてはUSB、またはEthernet、そしてThunderboltとなります。少しずつThunderbolt接続のIOも増えてきましたが、まだまだ選択肢は少ないかもしれないですね。
そして、Ensembleは初の「Thunderbolt 2」対応のポートを「2つ」装備しています。
ポートが2つあることで、Ensembleの後にディスプレイを繋いだり、HDドライブなどを繋いだりすることも可能。本体に1ポートしかThunderboltポートがないマシンでも安心です。
ちなみに私のiMacにはポートが2つあるのですが、1つはディスプレイ接続で使用。もう1つをEnsembleを経由して外付けのSSDに接続。合計3つのThunderbolt関連デバイスを繋いで使用しています。
Thunderbolt 2に対応しているので(Mac本体がThunderbolt2を搭載していれば)Ensembleを経由して4Kモニターに繋ぐことも可能(4KモニターはThunderbolt2で対応)で、将来より高速な読み書きが可能なSSDストレージが登場しても対応できます。
いずれにしても、Ensembleを経由して高速なThunderboltデバイスを接続しても問題はない、という事がポイントの一つです。
新Ensembleは、豊富な入出力を持っています。アナログ・デジタルを総計すると最大で30イン・34アウト。アナログ入力に関してはこのような感じです。
それぞれのインプットについて、少々ご説明を。
フロントに設けられた2chの「Guitar I/O」。これがよくある「ギター(Hi-z)イン」でないところに注目です。
2014年末に来日したApogeeのロジャーさんによれば、このインプットは「クラスAのJFET回路を搭載し、ビンテージ真空管を採用した回路のエミュレーションをしている」インプット、なのです。
非常に多くのオーディオI/Oが「クリーン、原音に忠実、色づけのない」というところをプッシュしていますが、Ensembleはなんとフロントに「色づけのある」インプットを用意。ギターやベースはもちろんですが、2系統用意されているので、シンセやリズムボックスなどにも使うことができます。私はここに、アナログシンセを入れて使うのが好みでした。
このセクションに関してはまだまだご紹介したい項目があるため、改めてご紹介をいたします。
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全ての端子はXLR入力が可能なこと、さらにそれぞれマイクプリアンプを搭載しているので、8本のマルチマイクレコーディングを行うことも可能です。
これまたApogeeのロジャーさんによれば「他社の ”高品位マイクプリ搭載” とうたうI/Oを全て調べてみたが、いずれもマイクプリに使用されているオペアンプは小指の爪よりも小さいものだった。Ensembleではここも手を抜かず、8ch全てに独自のパワーレギュレーターを搭載し、ステップ・ゲイン方式、最大75dbのマイクプリを作った」
とのこと。その為かどうなのか、まずは本体が非常に重いのです。自宅からスタジオへ、という移動ならなんの苦もないのですが、営業職である私。これを持って一日移動を重ねるのが憚られるほど(笑)。みなさまが店頭でEnsembleをチェックされる際には、まずは「ずっしりとした重さ」も確認してみてくださいね。しかし、いい機材は大抵重いものです。
8chありますので、スタジオに持ち出してドラムのマルチマイクレコーディングもOK、私の場合は、自宅でハードシンセを繋ぐ、色づけされたくない機器を繋いで使っています。
ところでこの背面のインプット、よく見ると、1~4chまでと5~8chまでの形状が少し違いますね。5~8chまでは通常のXLRインプット。1~4chまでは、XLRとTRS(TS)のコンボジャックになっています。
前述のギターI/Oは「真空管エミュレートの色づけあり」と書きましたが、色づけされたくないシーンのときには、こちらのインプットにギターやベース、あるいはシンセなどを繋ぐことで、Apogeeならではのクリーンなインプットを楽しんで頂くこともできます。実は、私が最初に購入を決めたのはここがポ イントでした。
色づけあるインプット、大歓迎!(近年そこをウリにしている製品も少ないので)ではありますが、場合によってクリーンなインプットが欲しい時もあります。ソースによって使い分けましょう。
さらにさらに!1~4chのコンボジャックのうち、1と2chに関しては、インプットの横に2個ずつのフォーン端子があります。これは、1と2それぞれの「インサート」端子なのです。
レコーディングの際、お気に入りのハードウェアコンプやEQを併用したい事もあるでしょう。このインサート端子は「Ensembleのマイクプリの後」にインサートされるものなので、ゲインアップされたサウンドをお気に入りのハードウェアに通すことができる、という仕組みなのです。
私はあまり高額なハードウェアを持っていませんが、昔から大好きなこのFMR Audio RNC1773をインサートに繋ぎっぱなしにしています。もちろん、このコンプが不要なソースを録りたいときには、いちいち結線を外す必要はなく「インサートオフ」をするだけ。何とも便利です。
さてさて、長くなってしまいましたので本日はこの辺で。次回もまたEnsembleの魅力についてピックアップしていきたいと思います。