• POPULAR LINKS
検索

本サイトでの Cookie の使用について

  • TOP
  • Tips / Article
  • モダンビンテージなドラムにもバッチリハマる、温かさと解像感を両立したサウンド ドラマー 合原晋平 Neve 1073 OPX Review
scroll

モダンビンテージなドラムにもバッチリハマる、温かさと解像感を両立したサウンド ドラマー 合原晋平 Neve 1073 OPX Review

2024.06.11

初めてテストしたとき「あ、これは買うんだろうな」と思った

MI

今回お伺いした自宅スタジオについて、防音、音響設計までかなりしっかりと作り込まれたスタジオですが、どうして自宅にスタジオを作ろうと思ったのですか?

合原晋平氏(ドラマー)以下、合原

以前は電子ドラムでレコーディングしてMIDI納品などもしていたのですが、なかなかイメージ通りに行かないことも多くてモヤモヤしてました。なにか方法はないか考えているなかで、自宅にスタジオを持った友人のドラマーの話を聞いたり、実際にスタジオに遊びに行っていろいろ見たりしていたんです。

それらの経験を経て、自分も自宅で生ドラムを録れる環境がほしいと思い、2021年に自宅スタジオをacoustic engineeringさんに施工を依頼しました。スタジオが完成してからは自宅でのドラムレコーディングを中心に行っています。メジャーリリースの作品から、ミュージカル、劇伴、CM音楽などの多くの音源がこのスタジオで録音されたものです。

MI

機材構成について教えてください。

合原

メインI/Oとして、Focusrite Red 8Preを使っています。そこにNeve 1073OPX、Rupert Neve Designs5211、WARM AUDIO WA-412などを繋いで、楽器や欲しい音色に合わせてHAを選択しています。

1073OPX

MI

今回1073OPXを導入された経緯について、教えていただけますか。

合原

宅録を始めてから1年ほど経ち、少しずつ録音にも慣れてきたころにドラムマガジンさんの取材を受ける事になったので、そのタイミングでHAを新調しようと思ったんです。

多チャンネルの製品が欲しくて、いろいろ参考動画なども見たのですがなかなかイメージがしっくりくるものがなくて。

そんななかで、鈴木Daichiさんが1073OPXのレビューをしている記事を拝見して「これだ!」︎と。Daichiさんのスタジオで、ドラムレコーディングをさせていただいた事があったので楽器の生音も覚えてたし、演奏していたドラマーの菊島さんのプレイも知っていたので、生音と録り音のイメージがしっかりとできたんです。

1073OPXを導入するまでは、WA-412、Red 8Preの計12chを使い分けていました。これも凄くよかったのですが、1073OPXを借りて初めてテスト録音したとき、マジでぶったまげました…キック、スネアの音が太く芯が出て、シンバルは艶が出たというか。

その時点で、「あ、これは買うんだろうな」と思いました(笑)

モダンビンテージなサウンドにもバッチリ

MI

普段はどういうジャンルを録音されているんですか?

合原

基本的にジャンルは絞ってないのですが、1番多いのはPOPSです。ミュージカルや劇伴などの依頼も多いので、そのなかでJAZZ、ラテン、カントリーなども演奏します。1073OPXを使うことで、どんなジャンルにもしっかりとなじむ音になるので助かっています。

MI

レコーディングで特に気を使ってるところはなんですか?また1073OPXを導入したことで、なにか変わったことはありますか?

合原

楽器の音色は1番気を使います。特にキック、スネアはずっと鳴っているので「生音でも太くて存在感がある、でも邪魔にならない音」というのをジャンル関係なく意識していています。

1073OPXを導入してからは、そこが一気にレベルアップしたと思います。アレンジャーさんからも録り音を褒めてもらったり、完成品を聴いても、あまり音を調整せずに原音を活かしたミックスをしてもらえることが増えたと思います。

後はオンマイクの音像、TOPマイク左右の録音バランスとスネアの定位、TOPマイクとオンマイクの位相なども、レコーディング前にできる範囲で調整しています。ここはまだまだ勉強中です。

MI

これまでNeveに抱いていたサウンドのイメージと、実際に導入した際の音を比べてみてどうでしたか?

合原

温かみや、ふくよかさがあるというイメージが漠然とありましたが、実際に使ってみてそういった要素もありつつ、解像度の高さや、レンジの広さに驚きました。現代音楽とすごく相性がいい、という印象です。

自分が耳で聴く上では、ビンテージサウンドが1番好みなんです。ただプレイは現代的なスタイルも好きなので、ほどよく混ざりあった「モダンビンテージなサウンド」が今は気に入っています。1073OPXであれば、そういったサウンドにもバッチリはまると思います。

MI

このプリアンプで録ってみて特に向いていると思った素材があれば教えてください。

合原

ドラムです(笑)TOP、スネア、キック、タム全部をまかなえると思います。あとはアルト、テナー、バリトンなどのサックスも合いそうですね。以前このスタジオで仮歌を試しに録ったこともあるのですが、それもとてもいい音でした。

あとは皮モノのパーカッションも合いそうだなと思っています。一度録音してみたいです。

MI

機能面で利便性を感じた点があれば教えてください。よく使っている機能はありますか?

合原

そのままで使う事もありますが、最近は敢えてPADを入れて、その分ゲインで入力を上げて使う事もあります。その方がNeveのニュアンスをより感じられる気がします。

スネアのボトムマイクには、フェーズも必ず使っています。あとEarthworksのTC25を使って、その時にハイパスをよく使います。ほどよくウォッシュな感じに録れる印象です。

MI

NeveのオーディオI/O製品 “88M” とADAT接続オプションが使用可能ですが、将来的に使う機会などありそうですか?

合原

スタジオの隣の部屋が1.5畳ほどの前室になっていて、今はあまり使っていないのですが配線は引けるようにしてあります。いつかドラムとベースと一緒に録る、とかやりたいので、その時には使ってみたいです。

MI

本製品をおすすめするとした場合、どのような方に向いていると思いますか?

合原

やはりドラムやパーカッションの方ですね。どうしてもチャンネル数が必要になってくるので。サウンド面以外でも、1073OPXは操作性がわかりやすくて、アウトボードなど使い慣れてなくてもいい音に仕上げることができます。ゲインなどがフロントで確認できるので微調整もしやすいです。価格は高いですが結果的に得られるものは大きいので、ハイクオリティなドラムレコーディングをしたい方にはぜひお薦めしたいです。


合原晋平(あいはらしんぺい)

ドラマー

1984年生まれ。いくつかのバンドを経てフリーのドラマーへ。これまでに高橋優、長瀬有花、め組、play gooseなど様々なアーティストのRECやLIVEに参加。2021年に自宅スタジオをacoustic engineering設計で施工。自宅ドラムRECを始め、これまでにメジャー楽曲、ミュージカル、劇伴、CM音楽などのドラムRECを数多くこなしている。

伝統のサウンドと現代のニーズを融合 – 1073OPX
TOPへ