映像だけでなく、音声も綺麗にパフォーマンスを記録したい。MI式のビデオ・コンテンツ制作の内側をご紹介します。
2016.07.08
スタッフHです。
2016年の5月のある日、ビルボード東京にて行われたチャカ・カーンのコンサート。ここ数年のツアーで彼女のバンドのバンマスを務めるベーシスト、Melvin Davis(メルヴィン・デイヴィス)さんがかねてよりのVOVOXケーブル愛用者ということで、来日に合わせて取材をお願いしたのです。
トップベーシストにとってケーブルとは?ケーブルが変わることでパフォーマンスにどのような影響が?そんなお話を聞けたらと思い、本番前のステージ(これは文字通り、ビルボード東京のステージ上にて取材は行われました)へ。
このときのインタビューはこちらのページに掲載をいたしました。ぜひぜひ、ご覧いただければと思います。
メルヴィン・リー・デイヴィス氏インタビュー:愛用のVOVOXケーブル
本番前という大事な(緊張度の高い)タイミングだったので、コメントと写真だけでも頂けたら嬉しいな、と思っていたのに、メルヴィンさんはものすごく気さくな感じで
「私の大好きなVOVOXケーブルのためだ、なんでも答えるし、なんでもするよ!ベースも弾こう!」
といい、なんとわざわざベースを持ち出してきてセット。他のメンバーは誰一人いないステージ、客席はビルボード東京のウェイターさん/ウェイトレスさんたちが無言でテキパキとテーブルの準備を進めているという空間で、メルヴィンさんは大音量にてベースをプレイし始めました。
私はこの瞬間「このプレイはよりいい音で残さなくてはいけない!」という使命感のようなものを感じ、急いでカバンからLewittのUSB/iOSマイク、DGT650を取り出しました。これは、ほぼ常にカバンに入れてあるのです。しかも、このマイクはダイアフラムがXYで2つ入っているため、ステレオ録音が可能なのです。
付属の三脚スタンドを急いで装着し、ベースアンプになるべく近い位置へ。なるべくといっても、メルヴィンさんのプレイを邪魔するわけにはいかないので、ややアンプからはオフ気味ではありました。
レコーダーは96k/32bitにも対応しているLewittのアプリ、Lewitt RecorderをiPhoneで起動。位置情報もつかんでくれるため、私のiPhoneにはこれがビルボード東京で録ったものであることもしっかり残ります。
「ビルボード」のスペルをミスしている辺りに、いかに私が焦っていたかも表れています。
映像はSonyとPanasonicの一眼カメラを使いました。もともとは写真を撮るために持参をしていましたが、急遽ベースプレイをしてくださったので、急いでインタビュアー役の上司に1台を渡し「これ(動画ボタン)押して!いいから撮っててください!」と慌てふためく私。
メルヴィンさんのプレイは圧巻という言葉がふさわしいものでした。Ken Smith製のスペシャル7弦ベース、Corona製のカスタム5弦ジャズベース(ビデオを見るといかにも細身のネックのように見えますが、これはメルヴィンさんの手がとてつもなく大きいのです)。素晴らしいパフォーマンスをなんとか撮影できました。
会社に戻り、カメラ2台分の映像データとLewitt DGT650で録った音声データを確認。かなり急遽セッティングしたマイクでしたが、DGT650はメルヴィンさんのベースアンプからの音を素晴らしいクオリティで録ってくれていました。
同時にカメラの音声データも聞いてみました。近年のカメラは音声もかなり良くなっている印象はありますが、それでもDGT650で録った音と聴き比べると、その差は歴然というか、やはり別物です。
私たちは普段、映像の編集にAppleのFinal Cut Pro(安くなりましたよね..)を使っています。今回の撮影はタイムコードもなにも準備できない、急遽の撮影でしたが、Final Cut Proには「音声データを元にシンク」という機能があるので、映像データ2つ分と音のデータをシンクするのには何の苦労もありません。クリック1つです。
シンクが完了したら、2台のカメラ側が拾った音声はオフに。Lewitt DGT650が録った音声のみを生かすように設定。
Apple Final Cut ProはAUプラグインも使用できますので、ベースを変えたときやエフェクト違いの音量差を「潰さずに」揃えられるWAVES MV2をわずかにかけ、クリップをしないようにという用途でリミッターを使用。音圧を出す目的では使用していません。
急遽の撮影ながら、メルヴィンさんのプレイをかなりクリアにレコーディングできたのではないかと思います。ご本人にも一発OKを頂くほど「何も変えず、クリアに」仕上がりました。
そして完成したビデオが、こちらです。