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自宅に「学校のスタジオを持ち帰る」Sonarworks SoundID Virtual Monitoring Pro デモセッションレポート Vol.1 @尚美学園大学

2026.09.18

自宅に「学校のスタジオを持ち帰る」
Sonarworks SoundID Virtual Monitoring Pro
デモセッションレポート Vol.1 @尚美学園大学

現代日本の音楽制作において、ヘッドホンでのモニタリングは存在感を増し続けている。持ち運びが容易で、環境の影響も受けない。さらに周囲への騒音もないヘッドホンのメリットは大きく、今や作業の大半、あるいは全てをヘッドホンで行う人も珍しくなくなった。

数年前までは「ヘッドホン ミックス」等と検索すると、それがいかに間違った行為であるかというブログ記事を多く目にしたものだ。実際、それらの記事が指摘するような課題は今も変わらず存在する。専用のスタジオでの作業と比較すると、ヘッドホンで作業することには特有の制限が付きまとう。違うのは、その課題に対して各社から様々なソリューションが提案されるようになったことだ。

Sonarworksも早くからヘッドホンモニタリング環境を改善すべく研究してきたブランドの一つだ。「SoundID Reference for Headphones」は、ヘッドホン作業の大きな課題の一つである”モデル毎のサウンドの色付け”を、キャリブレーションによって解消するプラグインである。

今回Sonarworksが提案する新製品「SoundID Virtual Monitoring Pro(以下VM Pro)」も、そんなソリューションの一つである。しかし、そのアプローチは非常に抜本的なものだ。この製品が実現するのは、「実在のスタジオ(あるいは空間)を測定し、ヘッドホン上にそのままコピーし、再現すること。」つまり、ヘッドホンの音をスタジオとそっくり”同じ”にしてしまえば、ヘッドホン作業の問題は解決できるというわけだ。


訪問デモレポート:尚美学園大学

2026年7月7日(火)、Sonarworksブランド担当原口(筆者)と営業担当佐藤、Sonarworks CBDO Uģis Kampars氏の3名で尚美学園大学のスタジオに伺い、VM Proのデモセッションイベントを実施した。大学からは学生14名、先生1名にご参加いただいた。

デモセッションはUģis氏のショートプレゼンテーションからスタート。まずはUģis氏から学生の皆さんへのクイズから始まった。Sonarworksの本社が位置する都市を最初に答えられた学生には、なんとVM Proの製品本体が贈られた。

Sonarworks本社の位置
Sonarworks本社の位置。あなたはわかるだろうか?

それから、プレゼンテーションはSonarworksの簡単なブランド・製品の紹介と、同社の根幹技術であるスピーカーやヘッドホン、部屋の音響によるサウンドの”色付け”の測定と補正、その必要性と効用についてに移る。

Uģis氏によるプレゼンテーションの様子
Uģis氏によるプレゼンテーションの様子。スライドは同一のスピーカーを違う部屋で測定した場合に起きる”色付け”についてのもの。筆者は通訳として参加。学生は皆さん真剣な面持ちで聞き入ってくれていた。

そして、個人毎の頭部の形状や体格の特性(個人頭部伝達関数:PHRTF)による音の聴こえ方の個人差および変化についての説明へと続き、最後に今回の目玉であるVM Proの説明へ。

VM Proは、専用のインイヤー・バイノーラルマイク(EREF10R5)を用いてスピーカー、ヘッドホン、スタジオ(空間)の音響およびPHRTFを測定し、ヘッドホン上に再現する。そして、測定をする上で最も重要なのがPHRTF(個人頭部伝達関数)であり、これこそが、VM Proと”ソフトウェアのみで完結する空間再現ソリューション”を隔てる最大の違いだ。

PHRTFはその名前が示す通り、個人の頭部や耳の形状、体格に大きく依存しているため個人差が極めて大きい上に、我々の音響空間の認識に強く関わっている。言い換えれば、人は一人一人音の聴こえ方に非常に大きな個人差があり、ヘッドホン上に高精度で音響空間を再現するためには、PHRTFに合わせた補正および、そのための測定は絶対に不可欠(というのがSonarworksの主張)である。

プレゼンテーションの次は、本日のメインである学生の皆さんへの実際の体験セッションへ。学生に一人ずつスタジオ前列に設置されたデスクに来てもらい、VM Proを用いてステレオのモニタースピーカーの音響を再現するという内容だ。

測定プロセスはシンプルで、測定・試聴・体験まで含めても所要時間は1名あたり5〜10分程度だ。専用アプリケーションのガイダンスに従うだけで完了する。VM Pro以外に用意するのは再現したい空間とスピーカー、コンピューター(※)、オーディオインターフェース、ヘッドホンのみ。専用マイクを耳に挿入し、スピーカーとヘッドホンそれぞれからのスイープ音を測定することで、PHRTFを含めた空間とヘッドホンの音響特性をキャプチャーする。

※測定時にはインターネット接続が必要。

VM Proを体験し驚きの声をあげる生徒たち
VM Proを体験し驚きの声をあげる生徒たち
    学生の声
  • 条件を問わず環境の再現が可能であることに特に驚いた。
  • 本当にヘッドホンを付けてないような感覚だった。頭の中ではなく、外側から音を浴びている感覚で凄かった。
  • キャリブレーションされた音がヘッドフォンから流れてきた時、はじめは何が起こったかわからないほどだった。
  • VM Proを通してヘッドホンで聞いた音が、実際にスピーカーで聞いた音と一切区別がつかなかった。一瞬ヘッドホンをつけ忘れたんじゃないかと勘違いしてしまった。
  • 手持ちの観賞用ヘッドホンでもクオリティが下がることなく、スピーカーからきこえてくる音だと間違えてしまうほど空間丸ごと再現されており驚いた。また、測定にかかる時間が3〜5分ととても短かったことにも驚いた。

実際に体験していただかないと伝わりづらい部分ではあるが、VM Proによる音響空間の再現度は極めて高い。特に、慣れていない人には元のスピーカーからの音とヘッドホン上での再現を聴き分けられない場合も多い。このようなデモセッションでVM Proの音を初めて聴いた人の典型的な反応の一つが、スピーカーから音が出ているものだと勘違いし、困惑してヘッドホンを外すというものだ。もちろんスピーカーからは音は出ていないので音は消え、その時初めて驚くことになる。

また、本セッションではVM Proで測定した他の学生のプロファイルを聴いてもらう体験も同時に行った。他人のプロファイルでは聴こえ方が大きく変わってしまうことを体験してもらうためだ。学生たちは友人との聴こえ方が全く違うことに驚きの声を上げていた。

VM Proで他人のプロファイルを読み込むと(たとえ同じ部屋の同じ場所の同じ機材で測定していても)、音響空間の再現度は極端に悪化する。それこそが、PHRTFの個人差の影響であり、インイヤー・バイノーラルマイクでの測定が必要な理由なのだ。

最終的に2時間弱ほどのセッションで14名全員に体験してもらうことができた。最後に軽く質疑応答や感想を伺い、プレゼンテーションから体験セッションまで、合計2時間半ほどでイベントは終了。スタジオや機材の準備等、多大なご協力をしてくださった漢那先生、長時間にも関わらず常に強い好奇心と知識欲を持って参加してくれた生徒の皆さんには大きな感謝を伝えたい。

セッション後、学生の皆さんとの集合写真
セッション後、学生の皆さんとの集合写真。VM Proを掲げるのはSonarworks本社の都市を回答した学生。長時間に及ぶセッションだったにも関わらず、皆さん終始非常に高い熱量で参加くださった。最後列一番右に立っているのが今回の企画に協力いただいた漢那先生、白Tシャツを着て最前列でポーズしているSonarworks CBDO Uģis Kampars氏、その左がSonarworksブランド担当(筆者)
写真:佐藤翔太
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