YouTubeチャンネル登録者数63万人以上、3,000万回、6,000万回を超える再生数を記録したミュージックビデオを持つ「TOOBOE」(2026年8月現在)。
音楽クリエイター john氏によるソロプロジェクト「TOOBOE」が、ライブ用ボーカルマイクとして LEWITT W9 を採用しました。数あるマイクの中から、なぜW9を選んだのか。導入の経緯やライブサウンド、パフォーマンスにもたらされた変化について、john氏とサウンドエンジニアの佐川雄太氏にお話を伺いました。
ツアーファイナルで出会った「正解のマイク」
TRIANGLE .Inc/サウンドエンジニア 佐川雄太氏
佐川雄太氏 (以下、佐川氏):2025年の秋、TOOBOEプロジェクトで全国14カ所を巡るツアーがありました。大規模な会場から小規模なライブハウスまで、さまざまな環境で公演を行うツアーだったため、マイクに関していくつかのストレスを感じていたんです。会場によって有線マイクとワイヤレスマイクを使い分けていたのですが、もともと使用していたマイクがワイヤレスに対応していなかったこともあって、有線とワイヤレスで同じ音質を保てないことが課題になっていました。また、小規模なライブハウスではどうしてもハウリングが起こりやすく、ステージパフォーマンスが制約されてしまうというストレスもありました。
そうした課題を解決できて、john君の独特な歌唱をライブでもしっかり届けられるマイクを探していたときに、LEWITT MTP W950 を使用している方の記事を読んだんです。そのとき、「これはもしかしたら john君の声に合うんじゃないか」と直感しました。ツアーファイナルまでの13公演では別のマイクを使ってきたので、最後の公演でマイクを変更することには勇気が要りましたが、思い切ってW9を試すことにしました。
TOOBOE/john氏 (以下、john氏):それまで使っていたマイクも決して悪くはなかったんですけど、もっと正解があるんじゃないかという空気が現場にずっとあったんです。
佐川氏:そういう感覚は、ずっとありましたね。ツアーファイナルのリハーサルで W9 を試したとき、john君も僕も「これだ!」となって、そのまま本番で使用することにしました。ハウリングに強いうえ、周波数特性がフラットなので、john君の声を自然に引き出せるようになってパフォーマンスが明らかに良くなりました。有線マイクに LEWITT MTP W950、ワイヤレスに W9カプセルを導入することで、有線とワイヤレスの音質を統一することもできました。
LEWITT W9
―――ライブ用のボーカルマイクとして、コンデンサーマイクを導入することに不安はありませんでしたか?
佐川氏:正直なところ不安はありました。でも実際に使ってみると非常に扱いやすかったです。ボーカルマイクに入り込む他の楽器のカブり音がとても少なくなり、ボーカルの音像がしっかり前に出てくるようになりました。
これまではボーカルにコンプレッサーを多段がけすると、ボーカルよりもスネアのカブり音にコンプレッサーが反応してしまい、思いどおりに処理できないことが結構あったんです。W9に変えてからそういったストレスが一切なくなって、さまざまなエフェクトを有効活用できるようになったのも嬉しいですね。
もうひとつ大きかったのが、ボーカリスト本人だけでなく、バンドメンバー全員のインイヤーモニター環境が改善されたことです。以前は、ボーカルマイクに入り込んだカブり音がそのままメンバーのインイヤーモニターにも返っていました。W9に変えてからはモニターの音が格段にクリアになったので、バンドメンバー全員とモニターエンジニアがストレスの軽減を実感しています。
コンデンサーマイクなので扱いを慎重にする必要があるかと思っていましたけど、実際にはコンデンサーマイクであることを特に意識せずに、ダイナミックマイクと同じような感覚で扱えています。導入後はハードなツアーでも使用していて、保管時も特別な扱いをしていませんが、約9カ月間、トラブルは一度も出ていません。耐久性についても安心して使えるマイクだと感じています。
メインもモニターも、レコーディング・クオリティへ
―――W9の音質はいかがでしたか?
佐川氏:まず、音の情報量がとても豊かで、PA側で欲しい帯域を扱いやすいと感じました。EQやコンプレッサーで補正する前に、マイクからどれだけの情報が入ってくるかは非常に重要です。W9はダイナミックレンジが広いだけでなく、ボーカルに必要な周波数帯域の情報がしっかりあって、なおかつ非常にフラットに収音できています。ヘッドアンプを通してハイパスフィルターをかけただけの状態でも、十分に使える音が入ってくるんです。
ボーカルが自然と前に出てくるのでバンドサウンドに埋もれることなく、john君の声をしっかり届けられているという感触がありますね。これは僕だけでなく、現場で一緒に聴いているレーベルチームや事務所のマネジメントチームからも同じ意見が出ていまして、john君の声のキャラクターがそのまま前に出て、存在感が増したとみんな感じています。
ハンドリングノイズは想像していた以上に少なくて、john君が手持ちで歌っているときも全く気になりません。歯擦音も耳障りな響きにならず、その質感まで含めて、現代の日本の音楽に非常に合うマイクだなと思っています。
――― johnさんは W9 にどのような印象を持ちましたか?
TOOBOE/ john氏
john氏:インイヤーモニターで、自分の声の芯を掴みやすくなりました。ボーカルが中央にピシッと定位するので音程が取りやすく、モニターの音量を上げなくても自分の声をしっかり捉えられるんです。バラードなどで声を張らずに、あえて「引く」歌い方をしても、きちんと拾ってくれるのがありがたいですね。
僕の声って、扱うのがすごく難しいと思うんですよ。ノイジーな質感がありながら抜け感も必要で、さらに低音もある。以前はモニターエンジニアに「ボーカルの抜けが聞こえないので、ハイを上げてください」といつもお願いしていました。ただ、ハイを上げると、高い音程を歌ったときのピークで耳が痛くなって、他の楽器が聞き取りにくくなっていたんです。W9に変えてからはハイを無理に上げなくても自分の声がちゃんと聞こえてくるんですよ。さらに、単純にハイを上げるだけでは得られない抜け感についても、満足できるサウンドになっています。
インイヤーモニターの音量を小さくしても自分の声を捉えられるので、耳への負担が少なくなりましたね。モニタリングのストレスがなくなったことで、本番でも余計な力を抜いて歌えるようになって、それがパフォーマンスの向上につながるという、いいサイクルが生まれています。最近はとにかく脱力して歌えていて、それでも声をしっかり拾ってくれる。それがW9の大きな魅力だと思っています。
佐川氏:john君が力まずに歌えていることが僕にもよく分かります。W9に変えてからは、ボーカルのモニターEQでもハイを煽らずに、ほぼフラットな状態になっているんですよ。なので、john君が感じているその通りかもしれない。
john氏:ライブでのインイヤーモニター環境が、レコーディング時のキューボックスに近づいたなと感じています。僕はレコーディングでもモニター音量をあまり上げなくて、ライブでもそれに近い感覚で歌えるようになりました。モニターの音量を抑えることは耳を守るうえでも非常に大切だと思っていて、僕の好きなミュージシャンにも、インイヤーモニターの音量が大きくて難聴になってしまった方がいます。モニターを大きな音に設定すると、ギターを上げて、ボーカルも上げるというように、音量を上げて解決する方向になってしまうじゃないですか。だから僕は、基本的に小さめの音量でモニター環境が完成するようにしています。そうすれば、声を張ったときも耳への負担を抑えられるので。
ただ、ライブで小さく歌うって結構怖いじゃないですか。お客さんに届いていないんじゃないかと思う。でもW9にはその不安が全然ないんですよね。小さな声で歌ってもしっかり拾ってくれるのでとても助かっています。自分の繊細な表現まで、きちんと客席へ届いているという安心感があります。
2025年末に出演した COUNTDOWN JAPAN のアーカイブ映像では、ライブの音が比較的そのまま配信されるのですが、ボーカルがとてもきれいに収録されていて自分でもすごく驚きました。使用するマイクによって、歌そのものの伝わり方や、ボーカリストへの評価も変わると思うんです。自分の歌がこの解像度でお客さんに届いているなら、とても良いことだなと思っています。
――― W9を導入してから、リスナーの反応に変化はありましたか?
佐川氏:韓国のフェス「WONDERLIVET」にTOOBOEが出演したときのことです。リハーサルで john君が歌い始めたら会場にいたスタッフたちがざわつき始めて、口々に Sounds Good! Sounds Good!と言ってくれたんです。
最初は、現地のスタッフが社交辞令で言ってくれているのだと思っていました。ところがステージ側へ行くと、韓国のエンジニアたちが「このマイクは何だ?」とW9に強い関心を示して、 john君が使っているマイクの写真を撮らせてほしいと声をかけてきました。さらに翌日も別のエンジニアから「昨日、TOOBOEが使っていたボーカルマイクは何ですか?」と質問されて、どうしてもこのマイクについて知りたいという熱意が伝わってきましたね。その後、韓国のPAチームがすぐにW9を購入したと聞いて、音の良さが本当に伝わっていたのだと実感しました。
john氏:韓国のライブでは、観客がスマートフォンでステージを撮影して、その映像を SNS や YouTube に投稿することが多いんですよ。実際にその映像を見たのですが、本当にいい声の拾い方をしていて、レコーディング音源にすごく近いサウンドだなと感じました。一般的にライブの音って、レコーディングに比べてダイナミックレンジや周波数レンジが狭くなるイメージがありますけど、W9だと全然そんな感じがしなくて、歌がちゃんと前に出ますよね。それがとても良い形でリスナーに届いている。
自分たちの出演後にほかのアーティストのステージも観ましたが、その日に僕が観た範囲では、ボーカルがしっかり明瞭に聞こえるステージは他になかったように感じました。韓国のエンジニアたちがW9に強く関心を持ったのは、その違いをはっきり感じたからではないかと思います。
ベストなパフォーマンスを届けるための工夫
―――最後に、この記事をお読みいただいている皆さんやファンの方々へ、メッセージをお願いします。
john氏:ベストなパフォーマンスを届けるために、アーティストやスタッフが、見えないところでさまざまな工夫をしていることも知ってもらえたら嬉しいです。そしてTOOBOEだけでなく、皆さんが応援しているほかのアーティストやバンドについても、そうした工夫に注目しながらライブを観てみてほしいですね。それぞれの現場で、より良い音を届けるための試行錯誤が重ねられていると思いますので。
佐川氏:john君を知っているファンの皆さんには、ぜひこの記事を読んでいただきたいですね。僕たちがより良い音やパフォーマンスを届けるためにどのような工夫をしているのか、それも見どころのひとつとして知ってもらえたら、ライブをさらに楽しんでいただけると思います。
TOOBOEのライブは日々進化しています。まだライブを観たことがない方にも、ぜひ一度会場へ足を運んでいただきたいですね。
