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古賀健一氏 Apogee Symphony Studioファーストインプレッション

2024.12.27

プロフェッショナル・オーディオ・インターフェースの歴史を牽引してきたApogeeから、フラッグシップSymphony I/O シリーズ直系にして最新のサウンド・コンポーネントを搭載した”Symphony Studio”が登場。発売に先駆けて、自身のスタジオ「Xylomania Studio」を拠点に多数のイマーシブ・オーディオ制作を手掛ける古賀健一氏 に、Symphony Studioのサウンドや機能の印象について語って頂きました。

古賀健一氏:Symphony Studioは圧倒的に価格が安いですよね。この価格帯でここまで高品質なオーディオインターフェースは他にないのではないかと思います。USB-Cにも対応して、イマーシブミックスのニーズにマッチした製品をついに出してくれたなと思いました。2x12モデルであればDolby Atmos 7.1.4chシステムが組めて、8x16であれば9.1.6chまで組めるので、まずは2x12モデルでイマーシブミックスを始めて欲しいなという気持ちがあります。

最近知り合いの映画関係者から「音の仕込み、プリミックスで使用する一番安くて音の良い、5.1chに対応できるオーディオインターフェースを探しているんです」と相談されたんです。映画関係者が自分の作業ルームでプリミックスするのであれば、8x8モデルで5.1.2chや7.1chを組めるので、8x8から入ってもらうのが良いかなと思います。

モデル比較表

Symphony Studio 2x12 8x8 8x16
INPUT (MIC/LINE) 2 8 8
OUTPUT 12 8 16
端子(IN/OUT) XLR/D-SUB XLR/D-SUB XLR/D-SUB
INPUT&OUTPUT DSP
Immersive Audio 最大7.1.4 最大7.1/5.1.2 最大9.1.6

Symphony StudioはAD/DAとDSPのみ搭載というとてもシンプルな構成ですが、サウンドを聞いたらそれでも良いかなと思えました。ADATやMADI、ワードクロックやDANTEを搭載するとコストが上がるし、ルーティングのトラブルも起きやすくなるので、それらが不要なクリエイターにとってはシンプルイズベストにかなうものはないでしょう。Symphony Studioなら何かトラブルが起きても大抵は自分で解決できるでしょうし、買って繋げばすぐに使えるシンプルさで、複雑なシステムが苦手な方、敬遠されている方にも良いのじゃないかなと思います。

ゼロオーム・ヘッドフォン出力も見逃せない機能で、現在入手可能なほとんどのヘッドフォンに最高のパフォーマンスを提供することができます。以前インピーダンスの異なるヘッドホンを持っていて、ヘッドホンアンプを色々買ったりデモ機を試したりカスタム制作までしたんですけど、Symphony I/O MKIIがリリースされてヘッドホンの音を聞いたときに「これでいいじゃん!」と衝撃を受けましたよ。(※編集注 Symphony I/O MKIIに搭載のヘッドホン・アンプは、お使いのヘッドフォンに合わせて電流を一定化するConstant Current Drive方式。ゼロオーム・ヘッドフォンアウトと同じく、ヘッドホンの持つパフォーマンスを最大限に発揮することが可能です。)

古賀健一氏にとっての「良い音の条件」とは

THD(全高調波歪率)が0.1%以下である事がMixをする上での絶対条件で、0.001%以下が理想です。モニターする音が歪んでいたら、それだけで気持ち良いサウンドに聞こえるかも知れなくて、逆に歪み過ぎていたら録り音の歪みを見落とすかもしれない。いつのまにか、歪んだマイク、歪んだマイクプリ、歪んだコンプを使って「カッコいい音!」と思って録っている可能性だってあるんです。MIxで後悔するみたいな(笑)

アナログテープ時代のサウンド、PCM-3348時代のサウンド、192 I/O時代それぞれの良さや特徴がありますけど、いろいろな歪みの要素に惑わされていた可能性もあって、現代はクリアーな方向に向かっていると思います。DAWの内部処理が64ビットになって32ビットフロート録音が使えるようになったいま、歪みや味付けのコントロールは僕たちエンジニアの仕事かなと思っています。僕はクラシックも録るので、THDとダイナミックレンジの表現力、いかに細かい音まで聞き取れるかというモニターセクションの品質がとても重要になります。

以前、垢抜けないと思っていたマイクや、地味な音だと思っていたマイクプリが実は凄くいい音だと気づかせてくれたのが 2x6SE(Symphny I/O MK II専用モジュール)だったんです。そこから機材をもう一度全部見直そうと。それをきっかけにコンバーターそのものに興味を持つようになって調べてみたら、ADは旭化成のAKM AK5574で、DAがESSのES9028PROということを知って、入力と出力のチップを使い分けていることに感動しました。Symphony StudioのADCチップには 2x6 SEと同じAKM AK5574と、DACにはESS Sabre ES9027SPRO が採用されているので、スペックを見ただけで色付けのないクリアーなサウンドだと信頼できます。

イマーシブミックス導入コストの垣根を下げる、シンプルイズベストな選択

マルチチャンネル空間にファントム音像を作るには高い解像度のDAが必要なので、イマーシブミックスをやりたいという方にはSymphony Studioを100%お勧めします。モニターコントローラーを使用せずに、シンプルにスピーカーとつないだ方が解像度が上がるということも体験して欲しいです。オーディオインターフェースやモニターセクションを更新したいという方であれば、オーディオインターフェースとモニターセクション、ヘッドホンアンプを買い替えるくらいの価格で手に入ってしまいます。手に届きやすい価格とスペックのバランスを考えると、Symphony Studioは本当に優秀だと思いますよ。

僕はいつもはあまり褒めないんですけど、もともと信頼しているブランドなので、今回はかなり褒めましたね(笑)

古賀 健一 氏

1983 年 12 月 7 日生 福岡県出身。東京スクールオブミュージック葛西校時代から、フリーのエンジニアとして活動。プロのレコーディングにも多数参加。青葉台スタジオを経てフリーランスとなり、2019 年 Xylomania Stuio LLC を設立。2020年 Dolby Atmos&360 Reality Audio の空間オーディオ対応スタジオに改修。Rock から Classic、バンドのサウンドプロデュースまで手がける。ASIAN KUNG-FU GENERATION、ichikoro、KentaDedachi、Official 髭男dism、映画音楽など多数。

Xylomania Stuio公式WEBページ:https://xylomania-studio.com/


Symphony Studioについて

Symphony Studio

ヒストリーとテクノロジーが息づく最高峰のサウンド:マスタリング・グレードにしてフラッグ・シップのSymphony クラスの音質と従来からのレコーディング、ステレオ、サラウンドからイマーシブオーディオ制作までのワークフローに必要十分な機能を搭載したオーディオ・インターフェイス。必要な機能を絞り込むことにより高いコスト・パフォーマンスを実現。様々なニーズに対応するよう、2x12、8x8、8x16の3モデルをラインナップします。

    ラインナップ
  • Symphony Studio 2x12:¥ 319,000
  • Symphony Studio 8x8:¥ 440,000
  • Symphony Studio 8x16:¥ 550,000
製品詳細
Symphony Studio

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