BIASシリーズを使いこなそう 〜第三回 BIAS Pedal

Introductionはじめに

「PositiveGridのBIASシリーズを使いこなそう」第3回はBIAS Pedalについてです。ストンボックスの代表格とも言えるオーバードライブ~ディストーションペダルを、ソフトウェア上で再現~構築~創作出来るBIAS Pedalについて解説します。

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Stomp Boxストンプボックス(エフェクター)の重要性

エレキギターとギターアンプが切っても切れない関係であるのは言うまでもありませんが、その間をつなぐディストーションペダルを無視する事も出来ません。ある時は優等生的クリーンなアンプを極悪な歪みでアンプの人格ごと変えたり、ある時はアンプの限界を超えたドライブを得る為にブーストしたり、またある時はひっそりとアンプのトーンの一部となりトータルサウンドのシェイプの役割を担ったりと、ギターとアンプでのサウンドメイクの限界を超えさせてくれる変幻自在な香辛料とも言えるでしょう。

BIAS PedalBIAS Pedalで出来ること

BIAS Pedalはそんなディストーションペダルをソフトウェア上で再現したり、パーツレベルでカスタマイズする事が出来るソフトウェアです。そしてディストーションだけでなく、ブースター、オーバードライブ、ファズ等、所謂歪みペダルを全方位網羅しています。
個人的にこのソフトからはPositive Grid社の攻めの姿勢を感じます。ドライブペダルと言う「魔法の箱」の中身をソフト上で構築しユーザーにもカスタマイズさせるという、ある意味禁断の領域へ踏み込んだのですから。

 

AMP ROOM 

ドライブペダルはアンプとセットで使わなければ真価を発揮できないものです。

BIAS PedalにはAMP ROOMというアンプシミュレートの機能があるので、そこはONにして使って下さい。クリーン系から歪み物までいくつか用意されています。例えばブースター的にペダルを使いたい場合は’69 Plexiglassが作いやすいと思いますし、歪はペダルメインで作りたければ’67 Black Face等クリーン系が良いでしょう。

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ファクトリープリセット

他のBIASシリーズ同様にBIAS Pedalにも様々なタイプをシミュレートした多くのファクトリープリセットが内蔵されています。

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ボディカラー、ボディ形状、ネーミング等から元になったモデルも想像付きそうですね。

黄色いボディが印象的なTurbo Distortionではナチュラルな70年代クロスオーバーなオーバードライブサウンドからアンプの歪をプッシュするブースター的にも使えますし、Fuzz Faceではクランチしたマーシャル系アンプを更に深い歪の世界へと連れて行ってくれます。ファズとディストーションを上手くミックスして世界的に大ヒットしたPro Rat、緑のボディでブースターとしても定番なTube Screamer、Metal Toneではあの歪みきったドンシャリなトーンを楽しむ事が出来ます。又Treble Boosterでは音が丸く抜けの悪い歪のアンプ前段で使うことで、倍音が増した艶ややかなドライブサウンドを演出してくれます。他にも既存のペダルイメージを彷彿させる物から独創的なタイプまで多く搭載されています。

Knobs各ツマミによる音の変化

BIAS Pedalはドライブペダルに使われる様々なパーツや何層にも渡る歪ませ具合等、エフェクターの中身までソフトでカスタマイズ出来ますが、通常のペダルと同じ様にツマミを回すだけでももちろん音は変化します。又、目に見える部分のツマミ設定もなかなか奥が深いものです。

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LEVEL

所謂マスターボリュームに相当するツマミで全体の音量をここでコントロールします。

しかし繋げるアンプとの兼ね合いによってはオーディオ的なボリュームとはかなり違った挙動をします。

Roland JC120のようなクリーンなアンプに繋げば、マスターボリュームとして解釈してほぼOKなのですが、マーシャルやVOX等クリーンの段階で既にクランチしているようなアンプに繋ぐ場合は、ボリューム変化の要素に加えアンプの入力段へのレベルにも影響してくるため、アンプから出るサウンドにも変化が見られます。

既にドライブしているアンプの前にディストーションペダルを繋ぐ旨味のひとつはここにあるのです。

 

Drive

これはそのまま歪みの深さをコントロールします。機種によっては絞りきると音が出なくなるものもありますし、歪の深さによって全体のトーンが連続的に変化するものもあります。とは言え歪み具合をコントロールするツマミという認識でOKでしょう。

Tone
基本的には右に回すとトレブリーになり左へ回せば丸くなって行きます。(機種によっては逆のタイプもあります)イコライザーやフィルターとも言ますね。しかし、ひとつもしくはふたつのツマミでトーン全体を担う?ので、シンプルなイコライザー的な音の変化とはかなり変わってきます。ワンノブのトーンを右に回すとハイが出てくるのと同時にローが減っていく、もしくは左に回せば音は丸くなりつつローも出てくるようなタイプや、聞こえ方としてフィルターが開いていくようなタイプもあります。TREBLE、BASSと分かれている場合はもちろん高音域と低音域をコントロールするのですが、その帯域は機種によって違いますし2つのツマミがお互い干渉し合ったり、EQの山や谷が連動して変化していくものもあります。

この辺のあんばいがドライブペダルの出音に大きく影響するんですね。

と言った感じで目に見えているツマミだけでもかなりのサウンドバリエーションが作れるので、更に内部のパーツや内蔵された複数のEQ、フィルターまで手を出すと結構な終わりの見えない世界へ入り込む事になるんですよ(笑)

ですので、まずはDrive,Tone,Levelで音の変化をアンプとの兼ね合い込で確認しながらトーンを作っていくのが良いかと思います。

冒頭にも書いた禁断の領域の意味が伝わりましたでしょうか?

Customization禁断の領域の入り口。内部のカスタマイズへ。

今更ながら白状しますが、私自身本物のエフェクター制作は出来ませんし、全てのパーツが電気的にどういった役割なのか正確には理解していません。

あくまで自分の耳と実際の弾き心地、そして少しの知識でカスタマイズしています。エフェクタービルダー以外のユーザーは皆さんそうかと思いますが。ただし、どこをいじっても壊れませんし、当たり前ですが感電もしませんので、色々といじってみましょう。

ただし設定によってはどうにも使えない音にもなるんですよ。残念ながら。

そういった所からもPositive Grid社の攻めの姿勢を感じます(笑)

逆に言えばそれだけリアルにシミュレートしているとも言えるわけです。

 

電池の種類を変えてみましょう。

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BIAS Pedalでは電池の電圧を変えられるんですよ。

power module にはお馴染み9Vの電池、18V、変わった所で6Vや12Vなんてのも選べます。電圧が大きいほどコンプ感の少ないダイナミックレンジが広いサウンドになります。実際のエフェクターでもそういう傾向はありますね。電池のところをクリックもしくはタップすれば種類がパパっと変わるので音の変化を確かめてみて下さい。

もうひとつ分かりやすく音が変わるのがTOPOLOGYという所。cliping stage 、output stageの二箇所にあるのですが、ファズでよく使われるGermaniumから、Silicon、Jfet 、Mosfet、Tubeと選べるので、実際に切り替えてサウンドの変化を確認してみましょう。

Germaniumではファズ的な潰れた傾向のサウンドになりますし、Silicon、Jfet 、Mosfet、と徐々に歪の粒が滑らかに上品になって行きます。Tubeではダイナミックレンジが広くなる傾向になります。

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電池とTOPOLOGYを変えるだけでもかなりサウンドの変化はあるので、まずはそのあたりをいじるのが良いかと思います。

Nextあとがき〜次回予告

BIAS Pedalもいじればかなり奥深いソフトですが、ファクトリープリセットを基本にツマミをいじるだけでも十分サウンドのバリエーションは得られますし、今後はBIASシリーズ全般と同じくクラウドでプリセットが共有出来たりダウンロード出来る様になるようです。

今後が益々楽しみなソフトですね。

ではでは、また次回。 

第一回 BIAS FXはこちら

第二回 BIAS AMPはこちら

第四回 BIAS統合編はこちら

第五回 BIAS Head導入編はこちら

Profile著者について

鈴木 健治

20160812_positivegrid_biasfx_tutorial_kenjisuzuki1ギタリスト、作編曲家 2月18日生まれ 神奈川県出身

スタジオミュージシャンとして、MISIA,宇多田ヒカル,BoA,EXILE,倖田來未,SMAP 他沢山のアーティストのレコーディングへ参加。その数は1000曲を超える。
キレのあるリズムギター、歌う様なリードギターは、1990年代〜2000年代のJ-POPでのギターアプローチに多大な影響を与える。アレンジャーとしてMISA,V6,島谷ひとみ、華原朋美、等の作品に参加。

ライブサポートでもその他多数のアーティストのライブに参加。
近年はセッションミュージシャンの枠を超えて、ソロギタリストとしてインスト曲の作曲、ライブ活動の他、iPhoneアプリ、ゲーム、CMなどの音楽制作も行っている。

鈴木健治オフィシャルウェブサイト http://kenjisuzuki.net
オンラインマガジン「週刊宅録ギター」https://note.mu/kenjisuzuki/m/m88ca3dd824d5