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BIASシリーズを使いこなそう 〜第二回 BIAS Amp

2016.08.29

Introduction, はじめに

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「PositiveGridのBIASシリーズを使いこなそう」第二回はBIASシリーズの真骨頂、BIAS Ampについてです。何が出来るのか、どんなアンプモデルがあるのか、各アンプモデルの特徴から、ギターアンプの基本的な使い方まで解説します。

 

BIAS Ampで何が出来るの?

BIAS Ampの特筆すべき大きな特徴のひとつに、真空管やトランス等、部品レベルからユーザーが選び、オリジナルのアンプを作る事が出来るという事があります。

現在数多く存在するアンプシミュレーターで、BIAS Ampほど自由にアンプデザインが出来るものはなかなか見当りません。

加えて既存のギターアンプ〜スピーカーキャビネット〜マイキングをシミュレートした、アンプシミュレーターとしての一般的な使い方ももちろん可能ですし、アンプとキャビネットの組み合わせも自由に設定出来ます。

様々なアンプモデル

BIAS Ampでは様々なカスタマイズが出来ますが、当然多彩なプリセットも搭載しています。

アンプモデルはClean,Glassy,Blues,Crunch,Hi Gain, Metal, Insane, Acoustic, Bass,Customとカテゴライズされており、各カテゴリーに合ったアンプモデルを選ぶ事が出来ます。

例えばGlassyならフェンダー系のクリスピーなクリーントーンを得意としたアンプモデル、Crunchならビンテージマーシャル系のクランチを得意としたアンプモデル、Metalならメサブギーや5150系等、一般的に使うであろうアンプの種類はほとんど網羅していると言えるでしょう。加えてアコースティック用のアンプやベースアンプも多数内蔵されています。

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各アンプカテゴリーの傾向を紹介しましょう。

  • Clean: Roland JC-120的な歪の要素が殆ど無く、ピーキーな癖も少ない。
  • Glassy: Fender Twin Reverb的な、ギターアンプらしい艶のあるクリーン。
  • Blues: その名の通りブルージーなテイストのトーン。太いクリーン。
  • Crunch: Vintage MarshallやHiwatt的なロックなトーン。メタルまでは行かない歪み。
  • Hi Gain: OrangeやBogner等、クランチからハイゲインまで幅広く使える歪み系。
  • Metal: MESA BOOGIE Rectifierや5150等、所謂メタル系の歪み。
  • Insane: Djent系などのメタル以上の歪み、7弦ギター等にも対応するローレンジ。
  • Acoustic: アコースティックシミュレーターやフルレンジのスピーカーを使ったトーン。
  • Bass: その名の通りベースアンプモデル。AcousticやFender他キャビネットも選べます。
  • Custom: エディットしたアンプモデル。ユーザーエリア。

 

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殆どのキャラクターを網羅しているのでアンプモデルを選ぶ時は、クリーンなのか歪みなのか、歪み具合はどの程度なのか等でカテゴリーを決めて、ひとつひとつ試して行くのは良い方法だと思います。

ギターアンプのつまみを理解する

多くのギターアンプにはユーザーが実際いじれるパラメーターとして、いくつかのツマミが並んでいます。BIAS Ampはバーチャルなソフトウェアですが実際のギターアンプと同じような振る舞いをするので、ツマミの意味を理解することは音作りには欠かせないポイントになります。「ギターアンプの使い方は良く分からない」なんて方も是非お読み頂ければ。

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歪みはゲインとマスターボリュームで

多くのギターアンプにはゲインとマスターと言うようにボリュームが2つ以上付いていて、
歪み具合はこの2つで決めて行きます。ゲインでプリアンプ部への入力信号の強さを決めて、マスターでパワーアンプ部の音量をコントロールするのが一般的な仕組みになります。
歪みは主にプリアンプ部で作るので、ゲインで歪み具合を決めてマスターでトータルの音量をコントロールします。

マスターはボリュームコントロールだけではない。

特に真空管を使ったギターアンプの場合、マスターは純粋なマスターボリュームではなく、マスターの値によってトーンや歪み具合、コンプレッション感等も変化します。

これはギターアンプの大きな特徴でもあり、BIAS Ampではその特徴もシミュレートしています。

Marshall3段積みのフルテン(全部のつまみ全開)の音を生で聞くと、それこそのけぞりそうになるほどの音量と音圧を感じることが出来ます。が、例えば一般的な家庭環境でそれを実現するのはかなり難しいですし、スタジオなどでフルテンに出来たとしても、その音量、音圧を長時間聞くのは耳的にも相当厳しいものです。

それがBIAS Ampだとモニタースピーカーから適度な音量で聞くことが出来るんです。これはシミュレーターの大きな利点と言えるでしょう。

BIAS Ampではプリアンプで作る音はもちろん、パワーアンプが歪んだり、コンプがかかっていく様な変化も音作りに積極的に取り入れられます。
(BIASではその変化具合もコントロール出来るのですが、詳しくは別の機会に解説します)

BIASユーザーの方は是非マスターつまみもいじってみて下さい。単に音量でなくトーンのテイストも変わって行くのが分かるかと思います。

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干渉しあうトーンつまみ

BASS,MIDDLE,TREBLE,PRESENCEと、ギターアンプの多くはこの4つのつまみでトーンをコントロールします。当然BASSを上げれば低音が増し、TREBLEを上げれば高音が増します。しかし、ギターアンプの場合いわゆるイコライザーとは違った振る舞いをします。例えばTREBLEを下げると実際の出音では低域が上がったり、BASSを下げると中域が上がったりと、各トーンつまみが干渉し合います。例えば「BASSつまみ全開なのに低域が足りない」と感じた場合、TREBLEやMIDDLEを下げる事で低域が増す事もあるんですね。BIAS Ampではこの部分シミュレートしています。更にこのトーン回路自体もチョイス出来ます。加えてオーディオ的なイコライザーも装備しているので、アンプ部分で追い込みきれない所は細かくEQする事も出来ます。

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スピーカーキャビネットを変えてみる

BIAS Ampには12インチ1発から12インチ4発のマーシャルに代表されるような大型キャビネット、更にBASS用キャビまで数多く装備されています。リアルなアンプではキャビネットをサクサク変えるなんて事は簡単に出来ませんが、ここはソフトなので音作りに積極的に取り入れる事が出来ます。キャビネットを変えると分かりやすく音に反映されますし、操作も簡単なのでカスタマイズの入り口としても良いポイントかと思います。

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マイキングはトーンコントロール

BIAS AmpにはSM57とC414の2種類のマイクモデルが装備されていて、アンプのどこを狙うか、距離はどれくらいかなどをコントロール出来ます。しかし実際のマイキングはかなり難易度が高く、位相の問題などで音作りが崩壊してしまう事もあります。ここはマイキングもトーンコーントロールの一種と考えて(実際大きく変化します)マイクの位置を決めるのがオススメです。

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更に拘りたい時は、BIAS AmpはIR(インパルスレスポンス)データも読み込めるので、好きなIRを使うのもアリです。

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あとがき〜次回予告

今回はBIAS Ampについて、又、ギターアンプの基本的な使い方も若干駆け足で解説してみました。BIAS Ampについてはとにかく奥深いエディットが出来ます。今回紹介しきれなかった機能もありまして、Amp Matchという機能では実際にマイキングしたアンプの音響特性等を再現する事も出来ます。その他多くの機能も別の機会にガッツリと紹介しますので。

次回はディストーションペダルをシミュレート出来るBIAS Pedalについて紹介します。これまた個性的なソフトでして、ソフト上でオリジナルのディストーションペダルが作れるんです。

お楽しみにして頂ければです。

では!

第一回 BIAS FX

第三回 BIAS Pedal

第四回 BIAS統合編

第五回 BIAS Head導入編

第六回 BIAS Head実践編

 

Profile , 著者について

鈴木 健治

20160812_positivegrid_biasfx_tutorial_kenjisuzuki1ギタリスト、作編曲家 2月18日生まれ 神奈川県出身

スタジオミュージシャンとして、MISIA,宇多田ヒカル,BoA,EXILE,倖田來未,SMAP 他沢山のアーティストのレコーディングへ参加。その数は1000曲を超える。
キレのあるリズムギター、歌う様なリードギターは、1990年代〜2000年代のJ-POPでのギターアプローチに多大な影響を与える。アレンジャーとしてMISA,V6,島谷ひとみ、華原朋美、等の作品に参加。

ライブサポートでもその他多数のアーティストのライブに参加。
近年はセッションミュージシャンの枠を超えて、ソロギタリストとしてインスト曲の作曲、ライブ活動の他、iPhoneアプリ、ゲーム、CMなどの音楽制作も行っている。

鈴木健治オフィシャルウェブサイト http://kenjisuzuki.net
オンラインマガジン「週刊宅録ギター」https://note.mu/kenjisuzuki/m/m88ca3dd824d5

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