BIASシリーズを使いこなそう 〜第一回 BIAS FX

Prefaceご挨拶

今回から「BIASシリーズを使いこなそう」と題しまして、Positive Grid社のアンプシミュレーターBIASシリーズの基本的な使い方から便利なTips、応用例などを紹介していく事になりました。

ご自身でギターを弾く方はもちろん、アレンジ作業などでギターをいい感じの音にしたいけど、アンプシミュレーターの使い方は少々苦手で、、、なんて方まで、BIASシリーズを使って良い音を作る方法をお伝えしようと思います。気持良い音でギターを弾きたい、気持ち良い音で録音したい、そんな皆さんのお役に立てればと思っておりまので、どうぞお付き合い下さいね。

BIAS Series ProductsBIAS のラインナップ

BIASシリーズにはアンプシミュレート、アンプデザインに特化したBIAS Amp, 様々なエフェクトを使い幅広い音色づくりが可能なBIAS FX,ディストーションペダル等をソフト上で再現、デザイン出来るBIAS Pedalがあります。

 

ギターアンプの内部パーツまでカスタマイズ可能なBIAS Amp

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様々なエフェクトを組み合わせた音作りが出来るBIAS FX

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ディストーションペダルをカスタマイズ出来るBIAS Pedal

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BIAS FX今回はBIAS FXについて

「BIASシリーズを使いこなそう」第一回はBIAS FXについて解説して行きたいと思います。

 

BIAS FXで何が出来るの?

BIAS FXではアンプ〜スピーカーキャビネット〜エフェクターをチョイスして、トータルにサウンドデザインを行うことが出来ます。

例えば、クランチトーンにセットしたMarshall系アンプにブースターでゲインをプッシュ、アンプの後にはテープディレイで余韻を加えたドライブサウンド。はたまた種類が違うアンプを2台使って深みのあるクリーントーンを作りつつ、スプリングリバーブで残響を加え、更にトレモロをうっすらかけてレトロ感を演出、なんて事もソフト上で再現出来てしまうんです。

要はギターとシールドさえあれば、リアルなエフェクターやアンプで出来る事はソフト上でほとんど再現出来てしまう。そんなイメージです。

Amps and Effects内蔵された多彩なアンプとエフェクト

アンプモデル

LOW GAIN、CRUNCH、HI GAIN、Acoustic、BASS、BIAS AMPとカテゴライズされているので、どんなサウンドが欲しいかでアンプモデルが探しやすくなっています。

’67 Blackfaceや’59 Tweed Luxなどのフェンダー系から、VOX AC30を彷彿させる’66 AC Boost、MATCHLESSの名機DC30を彷彿させる’94 MATCH DC等のクリーン系から、Marshallを彷彿させるBritish Lead、Orangeを意識したBritish OR30等のクランチ系や、MESA BOOGIE、Soldano、Bogner、ENGL等のハイゲイン系まで有名どころのアンプはほぼ網羅しています。その他に、アコースティックなトーンに特化したモデルやAmpeg等のベースアンプモデルも数多く内蔵されています。

 

分かりやすくカテゴライズされたアンプ群。

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スピーカーキャビネットも12インチ一発モデルから4発入りまで数多くのモデルを収録。もちろんベース用キャビネットも収録されています。
2種類のマイク設定も含めたトーンの種類は数限りない物になりますね。

 

様々なタイプのスピーカーキャビネットが選択可能。

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組み合わせも自由なので、フェンダータイプのヘッドにマーシャルタイプのキャビネットなども可能。

 

エフェクター

 

Gate、Comp、Boost、Drive、EQ、Mod、Delay、Reverb、BIAS Pedalとカテゴライズされた中に、数多くのエフェクターが内蔵されています。例えばディレイだけでもアナログからテープ、モジュレーションディレイ等のモデルも選べますし、コンパクト系からラックモデルまで網羅したコンプや、バリエーション豊富なフェイザー、コーラス等のモジュレーション系や様々なタイプのディストーションペダルも収録されています。又、ベース用のエフェクターが数多く収録されているのも特徴のひとつと言えるでしょう。

 

アナログからテープまで質感の特徴を捉えたディレイ。

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ベース用まで網羅したドライブペダル。

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Presetsまずはプリセット選びから始めましょう

これだけ多数のアンプやエフェクターが収録されているので、どこから手を付ければ分からないなんて方もいると思います。実際ホントに限りないパターンがありますので。

まずはファクトリープリセットから順番に選んで音をチェックするのが良いでしょう。

このあたりはソフトシンセのプリセットからイメージに合うサウンドをチョイスするのと同じ感覚かと。

 

「使える普通の音」が出せます。

BIAS FXに限らず各種プラグインやマルチエフェクターなんかにも言えるのですが、機能が豊富なのは今や当たり前でして、実際「普通に使える音」が出せるかどうかが大きなポイントにもなるのです。後は機種ごとの質感、クセでしょうか。

BIAS FXのプリセットでFactory Rockの中の”Rage in the Name”というパッチがあるのですが、「使える良質なクランチトーン」がサクッと出せます。

 

プリセットRage in the Name

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*左から信号が流れます。サッと音作りの流れを解説しますと、
原音を混ぜられるタイプのコンプでアタックを少し安定させて、軽〜く歪んだマーシャルタイプのアンプをDRIVE(DistortionX)でドライブさせるのが基本な流れです。このプリセットを使えば「普通に使えるいい感じのクランチトーン」がパッと出せます。ローコードのGなんて弾けば「いい感じのクランチ」なんて感じられるかと思います。更にギターのボリュームを絞ればクリーントーンまでゲインダウン出来るのも本物のチューブアンプに近い感覚ですね。こういった普通に使えるトーンが出せるのはギタリスト的に安心出来るポイントだったりするんですよ。普通の音さえ出てくれればクセはいくらでも付けられますし。

更に予めスタンバイされているEQをオンにすればトレブルブースター的にゲインアップ出来ますし、MODはフランジャー効果、DELAYもすぐに足すことが出来ます。
とてもよく出来たプリセットですね。

 

プリセットをカスタマイズ

このプリセットRage in the Nameを使って違ったトーンを作ってみましょう。

 

まずはクリーントーンから。

ギターの種類にもよりますが、歪みを抑えるためにDRIVEを外すだけでチューブアンプらしい張りのあるクリーントーンにする事が出来ます。シングルコイルの方が相性は良いでしょう。少し音がこもってしまった場合は予め準備されたEQをオンにします。そこで歪みが多いと感じたらギター本体のボリュームを5〜6位まで下げてみます。この辺りもボリュームポットの種類にも関係してくるのですが、ボリューム操作で歪み具合と音のハリ具合をコントロール出来るんですよ。
これで良い感じのチューブアンプらしいクリーントーンが出せるのでは。

ここで行った工程はリアルなアンプでも行うような手順なのですが、BIAS FXの良い所はリアルなアンプと同じような反応、振る舞いをしてくれる所なんです。僕自身とても気に入っている所でもあります。

 

歪みをアップして更にダーティーな方向へ。

元のプリセットの状態から始めます。

まず潔くアンプのゲインをフルにしましょう。当然歪みが増すのですが場合によってはローが重たくブーミーになってしまう場合があります。そこでアンプのマスターボリュームを時計の針で言う所の3時位までアップしましょう。張りが出てゲインとは違う種類の歪感が増すと共にローのブーミーさが減ってきます。この辺りの変化もリアルなチューブアンプにとても近いんですよ。特にチューブを使ったギターアンプの「マスターボリューム」は音量を変化させるだけでなく、歪や音質もコントロール出来ますので。

 

更にフランジャーをアンプの前に。

一般的にフランジャー等のモジュレーションエフェクトは歪んだアンプの後段、もしくはセンドリターンなどに繋いだほうがきれいに効果が出るのですが、敢えてアンプの前段階に繋ぐ事で汚れた感じを演出出来るんです。ジミヘンや初期ヴァン・ヘイレンの感じが出したい時はアンプより前にモジュレーション系が基本です。是非実際にドラッグアンドドロップでMOD(フランジャー)をアンプの前段に持ってきて試してみて下さい。これだけでトーンのテイストがかなり変わりますよ。

Nextあとがき〜次回予告

今回はPositive GridのBIAS FXを使った音作りの例を紹介しました。
文章だけでうまく伝えるのは難しいのですが、是非実際に試して頂けたらと思います。

リアルなアンプやエフェクトにとても良く似た挙動をしてくれるBIASシリーズですが、つまみやスイッチを極端な設定にしても壊れたりしないので、じゃんじゃん弄り倒して良いトーンを見つけて下さいね。

次回はPositive Gridの元祖とも言えるBIAS Ampの紹介をします。FXと違ってエフェクターは内蔵されていませんが、アンプそのものをカスタマイズ出来る超強力なソフトですので、是非お楽しみにして頂ければです。

ではでは!

第二回 BIAS Ampはこちら

第三回 BIAS Pedalはこちら

第四回 BIAS統合編はこちら

第五回 BIAS Head導入編はこちら

Profile著者について

鈴木 健治

20160812_positivegrid_biasfx_tutorial_kenjisuzuki1ギタリスト、作編曲家 2月18日生まれ 神奈川県出身

スタジオミュージシャンとして、MISIA,宇多田ヒカル,BoA,EXILE,倖田來未,SMAP 他沢山のアーティストのレコーディングへ参加。その数は1000曲を超える。
キレのあるリズムギター、歌う様なリードギターは、1990年代〜2000年代のJ-POPでのギターアプローチに多大な影響を与える。アレンジャーとしてMISA,V6,島谷ひとみ、華原朋美、等の作品に参加。

ライブサポートでもその他多数のアーティストのライブに参加。
近年はセッションミュージシャンの枠を超えて、ソロギタリストとしてインスト曲の作曲、ライブ活動の他、iPhoneアプリ、ゲーム、CMなどの音楽制作も行っている。

鈴木健治オフィシャルウェブサイト http://kenjisuzuki.net
オンラインマガジン「週刊宅録ギター」https://note.mu/kenjisuzuki/m/m88ca3dd824d5