Earthworks User Stories
2014.07.15
山崎まさよし氏の歌、そしてギターとピアノが弦カルテットとともに演奏された特別なライヴ。ハイレゾ・ ライブ音源として収録された同公演にSR40VとPM40を採用。
2012年12月からスタートした「SEED FOLKS」ツアーにて、ツアータイトルどおり「種を蒔く人」となり、これまで訪れたことのない町にも足を運び、全国各地で音楽の種を届けている山崎まさよし氏。同ツアーの間に「SEED FOLKS Special」として弦カルテット(弦楽四重奏)とのアコースティック・スペシャルライブを全国3箇所(4公演)で開催。その集大成ともいえる公演が、かつしかシンフォニーヒルズ・モーツァルトホールで開かれました。
真の実力者によるアコースティック・ギター、ピアノ、弦楽器、そして歌が、美しい響きのホールで豊かに響きわたった同公演にEathworks SR40V(ヴォーカル用マイク)そしてPM40T(ピアノ・マイク)が採用されました。自身初となるハイレゾ・ライブ収録された同公演でEarthworks マイクが果たした役割とは。FOHエンジニアの保手 文司郎氏のインタビューを交えてお伝えします。
「One more time,One more chance」など多くの人の胸を打つ楽曲を持つ、山崎まさよし氏。新旧を織り交ぜえた名曲が、本人の歌とギター(曲jによりピアノ、ブルース・ハープ)そして弦カルテットだけで披露。装飾の少なさゆえに本質的な魅力がストレートに伝わる。加えて、シンプルな編成にも関わらず、多彩な表情を魅せ、会場全体に素敵な音楽空間が広がった。PAを通したサウンドでも歌の表情、ナチュラルなピアノの響きが客席でも伝わってきます。
同ツアーのFOHエンジニアの保手 文司郎氏にEarthworks マイクが選定された経緯、実際の現場での使用について、伺った。
コード伴奏が中心のため、真ん中(C4)よりちょっと下寄りの方にマイクをセット[/caption]
Q::本公演でのマイクの選定理由をお知らせいただけますか?
保手 文司郎氏(以下: BH):この編成(本人と弦カルテットのみ)は(昨年)12月の一回きりということだったのですが、大成功だったこともあり、今年もやろうということになって実現した特別な公演です。加えて、本公演は自身初となるハイレゾのライブ音源収録も決まりました。マイクの選定については前回(12月)の時にもSR40Vをヴォーカルに使っていました。バンド編成のライブではダイナミック・マイクを使っていて、リハーサルの最初の段階でもダイナミック・マイクを使っていたのですが、シンプルな編成の中で弦に使ってているコンデンサー・マイクと混じり方にしっくりこなくて、なにか違うものをトライしてみたいという話になりました。私自身、これまでにWL40Vの使用経験があり、Earthworksが20kHzよりも上の世界・音もちゃんと捉えていることから、こういう編成にはSR40Vがベストマッチすると思って推薦しました。山崎まさよし氏が使うのは初めてでしたので、もしかしたら「歌いづらいかも」とは思いましたが、実際に試してみたら良くて、採用することになり、今回もSR40Vにしました。加えて、ハイレゾでの収録もあったので、ピアノにもEarthworks のピアノ・マイクが良いとなり、今回のマイク・アレンジが決定しました。
Q:SR40Vについて、山崎さん自身はマイクが変わって、どのような感想でしたか?
BH:「聞こえ方が随分違うね。」という感想でした。本人は歌詞をすごく大事にしているアーティストなので、細かいニュアンスを出すのに「チッチッチッチッ」という舌打ち音や「シー」という歯擦音などのモニターを上げて、というような指示をよく出してくるんですよ。(SR40Vは)そういう高いところの音が「(自分の表現に)よく付いてくるマイクだよね」と言ってました。アコースティック・ギターをプレイすることもあり、繊細なことを感じて自分のニュアンスを伝えることへの意識が高い方です。SR40Vは高評価でしたよ。
Q:エンジニアとしてSR40Vについてどう評価されますか?
BH:The Boomの宮沢和史さんを15年ほど担当していて、宮沢さんのヴォーカルにWL40V(SR40Vをワイヤレス・カプセル化)を使っています。宮沢さんは声のキャラクターが多彩で、それでいてマイクの距離もすごく変わる人で苦労していたのですが、いまは全く問題ないし、非常に信頼しています。
サウンドチェックの時にはモニター・エンジニアに喋ってもらって、EQしなきゃならないようなピークがあったら、システムのチューニングを調整します。何故かというと、その方が上手く行くんです。それがひとつの基準となっていて、WL40Vというマイクは、そのままの音で出して、ボーカリストの声の調子とかによって少しEQするだけで良いです。
ほとんどの人間が、20kHzより上の音を感じることができて、CD登場時の「人間の可聴帯域は20kHzまででそれ以上は不要」という考え方は間違いであることが明白になっています。SRシーンも進化していて、外国のエンジニア、アーティストの中には96kHzのコンソールでしかミックスしない方も出てきています。ラインアレイや、MLAのDSPプロセッシングでの音響のコントロールなど音質は確実に向上しています。こういう時代だからこそ、マイクの選び方も当然、変わりますね。
リラックスしたMCとは対称的に、優れた楽曲と卓越したミュージシャンによる演奏、そして、豊かな音響による特別な音。ただそれだけでオーディエンスの心に何かをのこしていました。その場に生まれたアートをリアルに捉えたEartoworksの実力。発売中の音源で確かめてみてはいかがでしょうか?
写真提供:オフィス・オーガスタ*
取材協力:MSI ジャパン
関連リンク
・e-onkyo music 「LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾 」WEB サイト
ハイ・ディフィニション・ボーカルマイク
世界初にして唯一のハイ・ディフィニション・ヴォーカル・マイク。ライブ・ステージ、スタジオでのヴォーカル用に開発されており、明瞭、クリアー、ナチュラルにボーカルを収音可能です。革新的な独自回路により40kHzまでフラットかつ素早いインパルス・レスポンスを実現、存在感と深みを備えた、本物の「ライブ・ヴォーカル・サウンド」をお届けします。
ピアノ・マイク・システム(ツアー用)
PM40T ツーリング・ピアノ・マイク・システムはPM40のマイク性能は変わらず、素早く、容易なセットアップとコンパクトに収納可能なアタッチメント、及びツアー用トランクケースを付属したツアー用モデルです。ピアノのマイキングに革命を起こし、レコーディング、ライブでのピアノ・サウンドの劇的な向上を実現すべくデザインされたピアノ専用マイクです。極めて幅広い周波数特性を持つマイクをマイク・スタンド、ブームを使用しないシンプルなソリューションにてピアノ内部に設置。
蓋を閉じた状態でも収音可能なため、周囲の楽器からの回り込みを劇的に抑えることが可能です。ピアノ蓋の開閉にかかわらず、ピアノが持つ多彩な表現力を逃さず収音します。