2023.04.06
「Waveform」はアメリカ・シアトルのメーカー「Tracktion社」が開発したWindows・Mac・Linux対応のDAWソフトです。
有料版の「Waveform PRO」と、無料で使える「Waveform FREE」がリリースされており、現在はバージョン12までアップデートされています。
有料版の「Waveform PRO」は作曲をスムーズに進めるための機能やインストゥルメントが充実した本格的なDAWですが、無料版の「Waveform FREE」も負けていません。
DAWの基本機能に加え、「Waveform PRO」に装備されている便利な作曲支援機能も使用できます。
一般的なDAWの体験版のような、使用期間の制限・インサートできるトラックやエフェクトの数の制限・プロジェクトファイルの保存制限やオーディオファイルの書き出し制限なども無く、作曲からミックス、マスタリング作業が「Waveform FREE」ですべて行うことができます。
Waveform FREEを使用するために、まず最初に行うべきポイントは以下の7つ。
これらの点を理解&設定しておくと作曲作業を円滑に進めていけるようになります。
初めて触れるDAWソフトは「何から始めたらいいの?」と、つまづいてしまうこともしばしば。
最初の段階で最低限理解しておくべきポイントをしっかり押さえておくのがおすすめです。
まずは初回起動時のセットアップの流れと、基本的な使用方法についてチェックしていきましょう!
▲Waveform FREEの初回起動時の画面画像
「Waveform FREE」をインストール後、ソフトを起動すると上の画像のような画面が開きます。
その際、パソコンにサードパーティー製のプラグインがインストールされている場合は、サードパーティ製のプラグインを「スキャンしますか?」という下記のポップアップが表示されます。
すでにインストールしているサードパーティー製プラグインを「Waveform FREE」で使用したい場合は、「OK」をクリックしてスキャンしましょう。
所有しているプラグインの数によってスキャン完了まで数分から十分以上の時間がかかる場合もあるので、スキャン終了まで待ちます。
次の項目からは理解しておくべき7つのポイントを1つずつ解説していきます。
「Waveform FREE」を起動すると上記のようなウェルカムページ(トップ画面)が表示されます。
ここでは「プロジェクトの管理」「新規プロジェクトの作成」「設定ページ」などへのアクセスができます。
各項目の内容は下記の通りです。
特に「New Project(新規プロジェクト)」「Recent Edits(最近のエディット)」「Settings(設定)」の項目は、使用頻度が高い項目になると思います。
初回起動時は画面左側にセットアップを進めるためのSetup Progressというチェック項目が表示されていますが、言語設定が英語の状態なので、日本語に切り替えてから設定を進めるのがおすすめです。
言語設定を変更する流れを下記の動画にまとめました。
言語設定の手順は、
トップ画面の「Settings」をクリック → 画面左の「Appearance」をクリック → 「Language」項目で日本語に変更
という流れです。
下記に手順を1つずつまとめました。
Settings(設定)を開くと下記のような画面が表示されます。
▲Settings画面を表示させた画像
起動した時点では、下記の画像のように画面左の設定欄も英語表示になっていますが、日本語に変更すると日本語で表示されるようになります。
言語変更は「Appearance」のLanguageで行います。
▲Settings画面を表示させた画像
まず、Language項目の「Check for language updaes」でアップデートをチェック。
「Check for language updaes」をクリックするとポップアップが表示され、画像の赤枠の「Now」をクリックすればアップデートチェック完了です。
Get additional languagesで設定したい言語をダウンロードできます。
今回は日本語に変更したいのでJapaneseを選択します。
Japaneseを選択すると上記のようなポップアップが表示されますが、「OK」ボタンをクリックして進みます。
設定が済むと自動的に言語が切り替わります。
変更が済むと下記のように日本語表示になります。
▲言語を日本語に変更した後の画像
各設定項目も日本語に変わってわかりやすくなりました。
▲言語変更後の設定項目画像
日本語に対応しているフォント以外を選ぶと文字化けしてしまうので、日本語対応しているフォントを選択しましょう。
以上が「Waveform FREE」の言語設定の変更手順です。
初回起動時は、セットアップを進めるためのSetup Progressという項目が画面左側に用意されています。
▲Setup Progressの各ステップ項目
上から順番に進んでいくと、セットアップが完了する流れです。
各項目の内容は、
という流れです。
上記のすべての項目を実行する必要はありませんが、「Waveform FREE」で作曲を始めるために必要な項目をピックアップして解説していきます。
Setup Audio Deviceではオーディオの入出力のセットアップを行います。
サンプルレートやオーディオ出入力のバッファサイズ設定もここで変更できます。
接続されているオーディオインターフェースやPCスピーカーを自動で検出してくれるので、使用する入出力先を選択しましょう。
この設定は、後からでも「設定」→ 「オーディオデバイス」の項目から変更可能です。
Setup MIDI Deviceは外部MIDIコントローラーの設定を行う項目で、パソコンに接続されているMIDIコントローラーを自動で検出してくれます。
MIDIコントローラーの設定は、「設定」→ 「外部コントローラー」の項目からも変更可能です。
Scan for loopsでは「Waveform FREE」に収録されているプリセット、オーディオ素材・ループ素材、プラグインの保存場所を設定します。
この設定によって、ファクトリープリセットやループ素材、手持ちのサンプル集の読み込みがスムーズになります。
設定項目はGeneral、Presets、Loop Database、Pluginの保存・参照場所を設定できますが、DAW初体験の場合は使用頻度が高いループ素材の保存場所を設定できる「Loop Database」のみを確認しておくのがおすすめです。
上記の画像の赤枠がLoop Databaseの設定項目です。
Waveformのファクトリーループのライブラリーは、Macの場合、
/Users/ユーザー名/Library/Application Support/Tracktion/Waveform/Factory Loops
に格納されています。
▲Macのファクトリーループが格納されたフォルダ画像
ファクトリーループフォルダに新たなオーディオサンプルを追加しても良いですし、手持ちのサンプルライブラリーを扱いたい場合は、②の項目にサンプルが保存してあるフォルダを指定することで追加できます。
セットアップが終わったらいよいよ「プロジェクトファイルの新規作成」から「操作画面」についてを触れていきます!
下記に、「新規プロジェクトの作成」から「UIの切り替え」「音を鳴らすまで手順」を収録した動画を作成したのでチェックしてみてください。
動画では、
までを収録しています。
新規プロジェクトの作成は、トップ画面(ウェルカム画面)の「新規プロジェクト」をクリックして新規作成します。
以上の流れで新規プロジェクトが作成できます。
プロジェクトファイルの保存場所は任意で変更できるので、管理しやすい場所を指定しておくのがおすすめです。
プロジェクトファイルを起動すると上の画像のような画面(ユーザーインターフェース)が表示されます。
ユーザーインターフェースの各項目の概要は以下となります。
各項目のそれぞれの役割について見ていきましょう。
ブラウザエリアには「Waveform FREE」に内蔵されているプラグイン、プリセット、サンプルやMIDIフレーズのクリップがカテゴリで並んでおり、目的に応じて選択することでリスト表示されます。
▲ライブラリー管理・ブラウザの画像
また、ブックマークの「フォルダ追加」をクリックすると任意のフォルダを指定して表示させられるので、お気に入りのサンプルフォルダなどを登録しておくと作業がスムーズになります。
▲トラックエリアの拡大画像
トラックエリアは、その名の通り各トラックを管理する場所です。
MIDIでの打ち込みやオーディオの録音・編集はここで行います。
デフォルト状態では、
という順序で並んでいます。
「Waveform」は新規トラックを作成する際、「オーディオトラック」や「MIDIインストゥルメントトラック」といった区別はなく、使用する素材によってオーディオ、MIDIインストゥルメントトラックに自動で切り替わります。
例えば音声をレコーディングをする場合は、トラック1の下部分(下の画像ではWFW Bluetoothの表示部分)をクリックすると下の画像ようなウインドウが開くので、入力先を「Setup Audio Device(オーディオ設定)」で設定した機器に指定することでレコーディングが始められます。
▲トラックの入力設定ウインドウを表示
▲UI下部のエリア画像
UI下部右側のエリアにはプロジェクトの再生や録音などをコントロールするパネルがあり、画面左下側はトラック上のクリップに細かな編集を行うためのメニューパネルがあります。
▲画面左下のパネル
画面左下のエリアの各項目では下記の操作が行えます。
といった機能を扱うエリアです。
[1]のプロパティボタンを押すと下記のようにプロパティパネルが表示され、現在の設定や細かい数値の調整が行えます。
▲プロパティボタンを押してプロパティエリアを表示させた画像
各機能についてポップアップで教えてくれるヘルプ機能もプロパティパネル内にあります。
[2]のメニューボタンを開くと、オートメーションやクリック、クオンタイズ、同期設定、ヘルプなどプロパティボタンを押した際に表示されるメニューのみを表示させることができます。
▲MENUボタンをクリックしてメニューを表示させた画像
[5]のMIDIタイピングウインドウボタンでは、外部接続のMIDIキーボードがなくてもMIDIの打ち込みや演奏ができる仮想キーボードを表示させられます。
▲仮想MIDIタイピングウインドウを表示させた画像
画面右下エリアには、再生や録音などをコントロールするパネルが表示され、マスターフェーダーやパン、マスタープラグインのエフェクトインサートも配置されています。
▲再生・録音などをコントロールするパネルの拡大画像
BPMや拍子、楽曲のスケール、ループ設定やクリックのオンオフもこのエリアで設定可能です。
「Waveform FREE」を使う上で特に理解しておくべき項目が、画面右上のエリアにあります。
ここには、タスクステータスのメーターやCPU、メモリ使用率などをチェックできる箇所がありますが、特に重要なのが「目」のようなアイコンと2つの「+」ボタンです。
各項目の役割は、
というように作曲を始める上で欠かせない機能となっています。
「目」のようなアイコンをクリックすると、下の画像のようにUIの切り替えができるウインドウが表示されます。
▲UI切り替えウインドウを表示させた画像
ウインドウ内をクリックすると、表示・非表示させたい項目を任意で切り替えられます。
▲UI切り替えウインドウの拡大画像
MIDI編集画面やミキサー画面も、このウインドウで表示・非表示を選択します。
▲全UIを表示させている状態
使わないUIはオフにしておけば作業画面を広く使えるので、各項目の表示・非表示の切り替えには慣れておきましょう。
画面右側エリアには、インストゥルメント、エフェクトのインサート、トラックの音量などを調整するパネルがあります。
という、各トラックごとの設定がここで行えます。
各トラックにインサートしたインストゥルメントやエフェクトは、ドラッグ&ドロップで左右に移動が可能。エフェクトの順序入れ替えもこの操作で行います。
Waveformでは、インストゥルメントやエフェクトのインサートは左から右へと音の信号が流れているため、インストゥルメントよりも左側にエフェクトをインサートしてしまうとエフェクトが適用されないので注意しましょう。
DAW HACK(ダウハック)
作曲家・トラックメーカーとして活動中のプラグインオタク。
DAW・プラグインを中心におすすめのアイテムを紹介するメディア「DAW HACK」を運営しています。
定番プラグインからマニアックなプラグインのレビューや、ヘッドフォン・オーディオインターフェースなど周辺機器もご紹介。
作曲テクニック・TIPS記事も公開予定です。
DAW HACK