2025.07.30
「音圧を上げたい。でも、コンプっぽさは出したくない」そんなこだわり派のエンジニアたちに選ばれている Sonnox Oxford Inflator。ただのリミッターではありません。0dbの限界を超えた仮想ヘッドルームを生み出し、デジタルクリップを避けながら音圧と音楽性を両立させる独自のアルゴリズムを搭載しています。
単体トラックはもちろん、パンチの効いたドラムのステムや、ミックス全体の仕上げにも威力を発揮。本記事では、アナログ機器のような温かみや太さ、サチュレーション感まで表現できるSonnox Oxford Inflatorの魅力をご紹介します。
Sonnox Oxford Inflatorのユニークな魅力は、通常では考えられない「0dB超え」の入力が可能な点にあります。独自のアルゴリズムにより、フェーダーを上げ続けても耳障りなクリッピングノイズが発生せず、ダイナミックに音を押し出すことができます。
本体中央にある「CLIP 0dB」ボタンをONにすれば、インプットレベルは0dBに制限されますが、代わりにオーバードライブ感やエッジの効いた音色が得られます。InputとOutputのバランス調整によって、単なる音量操作にとどまらず、音のキャラクターそのものを自在にコントロールすることが可能です。(冒頭のDEMO動画 0:08〜 CLIP 0db ボタンをONにして、インプットレベルを0dBに制限しています)
EFFECTフェーダーはサウンドの量感や存在感、太さや暖かさを調整するコントロールです。フェーダーを上げるほど倍音(ハーモニクス)が加わり、音に厚みと温もりがプラスされていきます。サウンドのディテールが保持されるため、パンチのあるサウンドを損なわずに音の質感だけを豊かに仕上げることができます。(DEMO動画 0:16〜 EFFECTフェーダーを上げたサウンドを聞けます)
CURVEフェーダーは、EFFECTフェーダーで付加するサウンドのキャラクターをコントロールします。設定値が0〜+50の範囲では太さと音量感が増加し、明瞭さや抜けの良さをともなったラウドなサウンドに仕上がります。0〜−50の範囲では音量の増加は最小限になり、豊かで温かみのある音色キャラクターを生み出します。(DEMO動画 0:50〜 CURVEフェーダー位置によるサウンドの違いが聞けます)
BAND SPLIT機能を使用するとサウンドが3つの帯域(低域・中域・高域)でそれぞれ処理される、マルチバンドコンプレッサーのようなプロセッシングが可能になります。キックの低音でサウンド全体が歪んでしまうときなどに効果的です。BAND SPLITをONにするとピークが出やすくなる傾向があるため、Outputレベルの確認を忘れずに行うことがポイントです。
DEMO動画では0:37付近で BAND SPLIT機能を試聴しています。ONにすると、キックの音圧で歪んでいたスネアの音が、歪まずクリアーに抜けたサウンドに変化するのが分かります。
Sonnox Oxford Inflatorは、ただ音を大きくするプラグインではありません。コンプレッサーやリミッターの「処理感」を感じさせずに、存在感・温かさ・太さ・明瞭さといった音の本質的な魅力を引き出してくれるツールです。
音圧を上げたい、でも音楽性は損ないたくない。そんな時にはSonnox Oxford Inflator があなたのミックスに新たな息吹を与えてくれることでしょう。
Oxford Inflator