好評連載中の「ミックスがうまくなるTIps」。前回、前々回と同一のセッションを使って、ギター編(ギターの壁を作る)、ベース編(DIシグナルとアンプシグナルで作り上げる)をご紹介して参りましたが、今回は最後のパーツ「ドラム編」です。
2014.02.25
スタッフHです。
好評連載中の「ミックスがうまくなるTIps」。Sonnoxプラグインを使った内容ではありますが、他の似たような処理ができるプラグインを使っても参考になる(Sonnoxなら「より確かな」効果をお約束します!)記事です。
前回、前々回と同一のセッションを使って、ギター編(ギターの壁を作る)、ベース編(DIシグナルとアンプシグナルで作り上げる)をご紹介して参りましたが、今回は最後のパーツ「ドラム編」です。
轟音で鳴っているギターやベースのセッションにおいて、ドラムのサウンドメイクは結構難しいものです。アタックを強調しようとして「ぺちぺち」な迫力のないサウンドになってしまったり、ドラムの鳴りを派手に響かせようとしてギターやベースとぶつかってしまったり。どういうサウンドに仕上げたいかにもよりますが、この三者のバランスによって、迫力の出方はまったく変わってきます。全てのトラックを「派手に!」なんて処理をしようとすると、きっとうまく行きません。ギター編、ベース編をまだご覧になっていない方は、まずこの2つから参考にしてみて下さいね。
さて、本日はドラムです。
今回のドラムトラックは、実際のアコースティックドラムをレコーディングしてきた素材をもとにしています。もちろん、BFD3などの大容量ドラム音源などでも同じ考え方で参考になるはずです。キック、スネア、ハイハット、タム、そしてオーバーヘッドにルームマイクの素材を使用しています。
最初のステップ(0:00〜)
このドラムトラックは、すべて1つのAUXバスにまとめられています。ここに、SonnoxのInflatorをインサート。もともと音を派手に仕上げるプラグインですが、ここでは「ごくわずか」な効果を狙って使用されています。「ごくわずか」がどれくらいの量感であるか、感覚を養いましょう。
キックトラック(0:54〜)
キックに使用されているのは、Oxford SuprEsser。指定した帯域の「邪魔なピーク」だけを取り去るプラグインですが、なんと低域の「補強」に使えるという裏技を公開。プラグインの使い方にルールはない、という好例かもしれません。SuprEsserはSonnox独自の魔法のツールなので、似たような処理ができる別のものは少ないかもしれませんが、お持ちの方はぜひこのテクニックを試してみて下さい。 また、このようなセッションでキックをどのようなサウンドに仕上げるとよいのか、参考になるかと思います。ここでは、プラグインの効果よりも「サウンドそのものの変化」を聞いてみてください。
スネアトラック(1:30〜)
スネアにリバーブを掛ける、というのは多かれ少なかれ、どのようなセッションでも行われていることかもしれません。しかし、ここで注目していただきたいのは、奥行きを得るためのリバーブではなく、「スネアの抜け」を作るためにリバーブにセンドされているということ。リバーブを掛けたら音が広がって、抜けとはほど遠いような気もするのですが…… これが不思議と「抜け」に繋がる処理に繋がっています。ビデオでビフォー・アフターをチェックしてみてください。
オーバーヘッド(2:02〜)
オーバーヘッドはドラムキットのすぐ上に立てられたマイクのサウンドですが、このトラックにもまずリバーブ(ルームリバーブ)が使われています。ドラムキットから距離のあるマイクなのに、さらにルーム感を付加する。ともするとボヤボヤの音になってしまいがちですが、どれくらいのリバーブが効果的なのか。これもまた、感覚を養いましょう。
だいじなこと(2:50〜)
ビデオ中「ドラムだけ聞くと、リバーブが大きすぎると感じるかもしれない」という辺りからは、ミックスの心得のようなものを解説してくれます。ここもぜひチェック。
ルームマイク(3:05〜)
ビデオでは「最も大切なルームマイクの仕上げ」と前置きをして解説がスタートします。最初にInflatorの解説が少しだけありますが、もっとも大事なのはその後。ルームマイクをどれくらいミックスに混ぜるのか。たった1本のルームマイクが、どのようにミックスに役立っているのかをチェックしてみてください。この後、ルームマイクへのEQについても解説されています。
ギター編、ベース編と続いてきた本Tips。迫力のあるギターサウンドに、ドラムやベースをどう仕上げるべきなのかを解説して参りました。もちろんこれはほんの一例ですが、このテクニックをもとに自分ならではのサウンドメイクにチャレンジしてみてくださいね。