2025.06.06
MIスタッフの高橋です。
今回は私の自宅リスニング環境にて Sonarworks SoundID Reference を使用したレビューを書き留めていければと思います。
私自身、今まで部屋での音の反響や位相問題の対策を行ったことがなく、吸音材やパネル等は一切部屋に置いていない状況です。スピーカーの調音は今回が初めてのため、どうなるか楽しみです。
部屋は1Rで広いスペースの確保が難しいため、スピーカーはかなり壁に寄せて使っています。また、部屋の角にデスクを配置しているため、スピーカーのL側・R側で出音の反響具合が違う環境となっております。(※聴感上大きく左右差があるわけではありませんが...)
感じている問題点
リスニング以外にもDAWにて曲作り/アレンジ/ミックス〜マスタリングまで一通り自分で行っており、作業をする上で感じている問題点はこちらです。
Sonarworks製のマイクをオーディオインターフェースに接続しファンタム電源をオンにします。実際のコンデンサマイクと接続方法は同じのため簡単にセッティングできました。
接続後は SoundID Reference のアプリケーションで指示される通りに測定を開始していき、おおよそ20分ほどで測定が完了しました。 測定方法はアプリケーション内の動画で解説してくれるため、非常にわかりやすくスムーズに進めることができました。
やはり低域が非常に大きくなっているのに加え、10KHz周辺も異様に大きくなっているようでした。部屋の環境次第でここまで音が変わるのか...と驚愕しました。
キャリブレーション後の周波数特性
キャリブレーション後の周波数特性はこちらです。不思議なくらいフラットな特性になりました。ここまで綺麗に音を調整できることにとても驚きです。
SoundID Reference にて補正した画面
キャリブレーション完了後、実際によく聴いている曲や自分の曲など様々聴いてみました。率直な感想ですが「低音がとてもスッキリして聴こえる...!」といった感じでした。悪くいうなら音の迫力やパンチ感が弱まった感じ。
ですが、今までと同じ曲を同じ音量感で聴いてみると、従来に比べて全体的にバランスよく聴こえるだけでなく、全体的にくっきりと音が聴こえ、今までの問題点が上手く改善されているな...! と感じました。
これがフラットな音であるなら、今まですごく低音マシマシな環境で音を聴いていたんだな...と感じます。キャリブレーション前の音を聴いてみるとまあ酷い音で...今までこの音を聴いていたことが信じられないほどです...
また、キャリブレーション後の環境で自分の曲をミックスしてみました。前述の通り、従来は周波数ごとのバランスが掴めず非常に苦労していまして、結構無理矢理な音の処理を行っては悪循環に陥っていたことがよくあったのですが、補正後の環境でミックスしてみるとびっくり仰天、特に何も考えず自分の感覚でミックスしていただけで全体が非常に綺麗にまとまり、とても聞きやすく、迫力のあるサウンドになりました... (今回効果を1番感じたのはこの部分です..!)
その他機能について
出音をキャリブレーションするだけでなく、SoundID Reference では様々な環境で音が聴ける機能が多数あります。その中で特に実践的だなと感じたものを何点か紹介させてください。
Translation Check 機能
車の中やスマホで聴いた場合の音などをシミュレートしてくれる機能です。ミックスを行った際にモニタースピーカー以外の環境でどう聴こえるかをチェックすることはありますが、DAWからミックスを書き出したり、スマホに音源を入れるなど何かしら作業が必要になってしまい億劫になることがあります。
しかしこちらですとミックスをしている最中に環境を切り替えることができ、その際に感じたことをすぐにミックスに反映できたりと、作業効率化のうえで非常に役立ちそうです。
SoundID Reference プラグインver
従来からある機能ではありますが、SoundID Reference はPCからの出音全てにキャリブレーションが可能ですが、DAW上プラグインとしてインサートした上でキャリブレーションした音でモニターすることもできます。(AU、AAX Native、VSTに対応)
本製品自体、使用すると大きい音の遅延が発生するため、リアルタイムで演奏した音を録音したい場合は SoundID Reference 自体をオフにする必要があります。 しかしプラグインとしてDAWにインサートしていれば演奏する時のみ簡単にオフできるため、非常に便利だなと感じます。