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Shingo Suzuki meets Focusrite ISA Two

2022.04.06

実力派のミュージシャンが揃い、卓越したプロデュースワークでも評価の高いorigami PRODUCTIONS。その中でベーシストとしてだけでなく、キーボディスト、プロデュース、トラックメイクやエンジニアリングまでマルチな才能を発揮しているShingo Suzuki氏。

自宅スタジオでレコーディングを行うことも多いというSuzuki氏が「音の入口のクオリティ」を上げるために導入したのが、Focusrite ISA Two。導入に至る経緯と導入後に得られたものについてインタビューを行いました。


インプットのクオリティを上げる

ー MI:FocusriteのISA Twoを知ったきっかけを教えてくださいますか?

よくスタジオに置いてあるのを見ていたので、もともと存在自体は知っていました。独特な青い色に補色の黄色が効いていて、黒い機材が多い中で目立ちますよね。そのデザインが目に焼きついていたので、エンジニアさんとスタジオ入った時に質問責めしたことがあるんですが、その方が目を輝かせながらこの機材について「これはフラットでクリアな音だから使いやすいよ。こんなキャラクターの音を狙う時に使うんだよ」とオススメしてくれたんです。

その話を聞いた後に楽器店に行ったら、これ買ったほうがいいですよ!みたいな感じでISA Twoがドーンと店頭に展示してあって。値段も10万前後で安いわけではないですけど、ある程度の値段のものを手に入れようと考えていたのもあって決断しました。

ー MI:Shingoさんにとって初めてのマイクプリということになりますか?

昔はもっと安い製品を使ってました。本当にお金がない時に真空管って格好いいなと思って20年前くらいに買ったんですけど、その時はあまり良さを感じなかったんですよ。安いやつでそんなに良いものでもなかったというのもあると思います。

DIはベース用のものはずっと使っていましたが、マイクで音を収録するためのものは持っていませんでした。なので純粋なマイクプリアンプを購入したのはISA Twoが初めてですね。

ISA-Two

ー MI:オーディオインターフェイスに付属しているマイクプリではなく、あえて単体機を使う理由はなんですか?

オーディオインターフェイスのマイクプリの性能も昔に比べて上がっているし、本当はインターフェイスだけである程度「様」にはなるんですけど、やはり音の入口のクオリティの重要性はスタジオでの録音経験から分かっていました。

いろんなスタジオでエンジニアさんがプリアンプにかける情熱というのを見てたので、マイクとプリアンプの重要性もそこで理解していました。第一ステップとしてインターフェイス付属のマイクプリでもいいですが、その次のステップとしてマイクプリは持つべきだなと思っています。

例えばiPhoneのカメラって結構きれいに撮れるじゃないですか。だけどやっぱり10万以下のちょっとしたデジタルカメラとかでも全然見え方が違うんですよね。その差とマイクプリの有無は同じような感じです。使わなきゃ使わないでそれなりの音はするんですけど、導入して初めて「あ、音違うな」って気づくんですよね。

プラグインのかかり方も全然変わります。おそらくは解像度が上がるからだと思うんですが、EQなんかめっちゃかかりが良くなりますから。ヘッドルームも広いし、集めてくれる情報量が多いと思うんです。

音質について、よくクリアで透明でフラットでみたいなことをみんな謳うじゃないですか。モニタースピーカーであれマイクであれ、みんなそういったニュアンスのことを言うんですけど、じゃあ何がクリアでフラットなのかと言うとそこは曖昧なんですよね。

その中でFocusriteには音の癖のなさを感じていて、コンコンというような硬めの音もないし、高級機によくある1KHzあたりに情報量が偏るようなこともなく、単純なゲインアップのマイクプリということで、とても使いやすさを感じています。

変な帯域が飛び出てなくて、レコーディングの時にすっと聴きやすい音が入ってくるのがよいですね。僕の主観ですけど、家で毎日使っているとその機材の癖がわかってくるものですが、その中でもFocusriteのマイクプリというのは「扱いやすさ」というのがキャラクターのような気がしています。

マイクプリの機種によっては、例えばEQでMidを下げないと声はちょっと痛いな、とかキャラクターが出すぎてるなと感じるものもあるんですが、その分楽器にフォーカスが合いやすいなと感じたり、それぞれ個性というのがあるんですが、 ISA Twoは、声然り楽器然り、何を入れても万能に使えますね。

他にもステレオでFenderのRhodesピアノを録りたいなと思ったときに、ISA Twoで便利なのがDIなんですよね。トランスのシンプルな音なんですけどとても気に入っています。

DAWを使ってベースとかギターを演奏する人で、DI単体に情熱を注ぐ人って結構多いと思うんです。ライブの現場ではもちろん大いにこだわるべきところではあるんですが、宅録の環境だったらそこまで高価なDI買わなくても、 ISA TwoのDIで良い音録れますよって自信を持って言えます。そういう意味でもISA Twoは重宝してますね。


まるで「白いご飯」

ー MI:あえてFocusriteをメインで使い続けてくださるのは、やはりサウンドの癖のなさが理由になっていますか?

そうですね。これは「白いご飯みたいなもの」と思っていて。癖がないことがキャラクターになっているから、何とでも合うんですよ。明太子乗せても昆布乗せても全然いけますよみたいな、器が大きさがありますね。

録音した音も適切なゲインで入ってくれるし、オーバーゲインした時も破綻することなく綺麗に音楽的に歪ませてくれるし、そういうところが好きですね。楽曲に混ざった時に生き残る音になるというか、変な周波数が飛び出たり、その楽器の音を汚すことなく楽器本来の音を引き出してくれます。

イメージとしては、マイクのキャラをそのままクオリティを上げてパソコンの中に入れてくれるという印象です。ダイナミックマイクだったり、コンデンサーマイクだったり、個体によってそれぞれキャラが違うじゃないですか。そこでプラス「マイクプリ」ってなった時に、色々な製品を持っていれば掛け合わせることでさまざまなパターンのキャラクターを作ることもできるんです。

でも、実際そこまでたくさんの機材を保有するのって難しいですよね。そういった試行錯誤の中で、最終的にどんな音でも受け入れてくれるこのマイクプリが残りました。

あとはDIの音もベースをさしてゲインをグッとあげるだけで、DAWソフトでの音の加工にもちゃんと応じてくれるようなしっかりとした音にキャプチャしてくれる。音の方向性とか迷っているうちはとりあえずFocusriteのDIにいれておけば癖のない音になるので重宝しています。

ISA-TWO

アイデア次第でさまざまなキャラクターを作れる

ー MI:Shingoさんの楽曲で ISA Twoを使って制作された作品を教えていただけますか?

ちょっと前になるんですけど、「Flower Dance」という楽曲に使いましたね。それこそマイクでRhodesを録りたいなと思って、57を2本使ってISAに入れました。独特なキャラクターで録れるので自分の作品ではお気に入りの使い方です。

この曲ではRhodesを重ねてるんですけど、Inst 入力とMic 入力の両方を使っているんですよ。Rhodesをダブリングする時に若干キャラ変えて重ねたかったので、そういう目的にも使えます。Rhodesは出力が小さいんですが、それをマイクプリでボリュームを上げてやるとちょうどよい感じで録れるんです。「音のイメージをそのまま具現化」するためによいマイクプリは必須ですね。

ー MI:インピーダンスの切り替えは、マイクなどに合わせて使用されますか?

4つのインピーダンスを切り替えて使えるんですけど、色々試した結果、僕はほぼ「ISA110」で使ってますね。キャラがないマイクプリとはいいつつ、ここを変えることで音質の変化が楽しめるので、そういった目的にはいいと思います。

僕はサウンドキャラクターを変えることなくマイクプリを通したい場合が多いので、そういった場合にはISA 110が一番使いやすいと思っています。マイクとの相性もあると思うので、実際に試してみると好みのインピーダンスが見つかると思います。

ー MI:ハイパスフィルターがついていますが、録音する時にはシビアにスイッチしますか?

ハイパスフィルターは僕はほぼ使わないですね。ただ「こういうシチュエーションなら使える」と思うことはあります。例えばマイクスタンドを立ててマイクで録音する時に、超低周波の床が響く音とか変な振動音をカットするときとか。僕の場合は絨毯とか敷いてマイクが余計な音を拾わないようにしてあるので、フルレンジで録っておくことがほとんどですね。

あとは、人によってはかなりマイクに接近して録ったときに、必要以上に低い音が録れちゃうから初めからカットする、ということはあると思うので便利だとは思います。色々な現場を想定しているんだなという感じです。


初めての1台にオススメ

ー MI:ISA Twoはどんな人にオススメできる製品ですか?

1台目のマイクプリが欲しい時には、ISA Twoを買っちゃった方がよいです。僕みたいにステレオで録りたいとか、ボーカルとギターに1チャンネルずつ割り当てて弾き語りしたいとか、いろいろなバリエーションも可能です。用途に合わせてISA 428や828などのチャンネル数を選ぶのもありですが、マイクがそこまでいらないのであれば、ISA Twoはエントリーモデルとして最強という気がします。

マイクプリで2〜3万円の買うくらいだったら、思い切って10万円のものを買った方がいいと思うんです。初めてのマイクプリとしてもし10万かけられるならISA Two一択かなと思っちゃいますね。

「こういうものがマイクプリなんだ」って感動できますよ。ゲインを上げる時の感じや、インピーダンスによる音質の変化、ハイパスフィルターの使い方など、色々な使い道があって勉強にもなると思います。

初めからヴィンテージ機材を買う人ってなかなかいないじゃないですか。もちろんビンテージはそのよさがあると思うんですけど、よくも悪くも癖があるしメンテも大変ですよね。そう思うと、今の時代に合わせてアップデートされているISAの方が使いやすいと思います。

楽器も初めからヴィンテージに行っちゃうと使いこなせなかったりするじゃないですか。中身も埃だらけで配線ぐちゃぐちゃで、結果ノイジーな音が鳴るよりも、特に初めての1台は、綺麗で新しいものを買う方がいいと思うんです。

予算、機能面で見ても、初めて使うのに最適なんじゃないかな。あとはサポートしっかりしてるかとか取説しっかりしてるとかいう点で日本の代理店さんから買うのがいいですよっていうのは主張しておきたいですね(笑)


プロフィール

Shingo Suzuki

国内外のアーティストを迎えてリリースしたソロデビューアルバムが世界各国で話題になり、Yahoo!ニュースほか多数のメディアで取り上げられる。また、バンド<Ovall>のメンバーとしてmabanua、関口シンゴと共に活動。FUJI ROCKなど国内外のフェスに多数出演。ベーシスト/プロデューサーとして矢野顕子、Chara、さかいゆう、七尾旅人、福原美穂などをサポート。さらに、CM楽曲、テレビ、ラジオ局のジングル、ドラマやアニメの劇伴なども手がけ、多岐に渡るシーンで活躍中。
最新楽曲として、Ovall「It's all about you feat. SIRUP」「Find you in the dark feat. Nenashi」、Shingo Suzuki「Flower Dance feat. Ruri Matsumura」をデジタルリリース。

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