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RED 8PRE レビュー:森元 浩二. 氏

2018.07.20

1:Focusrite Red 8Preを導入した理由。

レコーディングエンジニアがオーディオインターフェースに求めることの一番は音質。Red 8Preは最新のAD/DAコンバーターと、Focusrite が1985年にRupert Neveによって設立された時から続く秀逸なアナログ回路の組み合わせで、クリアで密度が高く、プロレコーディングのメインインターフェースで使える音質を持っています。

2:DAWとの接続

Red 8PreはDAWとの接続にProTools HDとThuderbolt2を標準装備しています。私のメインDAWはProTools HDXですが、その他にもStudioOne、LogicなどNative環境のDAWも使います。Red 8Preでは、その両方のDAWをフロントパネルからホストモードを切り替えることにより、コンピューターを立ち上げ直すことなく、瞬時に乗り換えることが出来ます。これによりミックス作業とマスタリングなどの作業をシームレスに作業を進められる画期的なインターフェースです。

3:豊富な入出力

Red 8Preの入力系は名前の通り、8chのマイクプリを搭載していて、それと別に8chのラインインがあり、計16chのアナログ入力があります。また1.2chはパネル前面にあるインスツルメント入力に切り替えることが出来ます。ADATは2ポートあり、Focusrite OctopreなどのADAT対応機器を接続すれば16ch(44.1、48KHz時8ch x 2ポート。88.2、96KHz=4ch x 2、176.4、192KHz=2ch x 2)のアナログ入力が増設でき、計32chのアナログレコーディングを1台のRed 8Preで行うことが出来ます。ライブシーンで標準化しているオーディオネットワーキング規格のDante端子(イーサネット標準RJ45端子)を2系統装備。最大32入力/32出力のDanteネットワーク接続が出来ます。これらの入力を使えば、ライブシーンでPAコンソールからDaneteで32ch、追加のマイクやオーディエンスマイクのアナログマイク入力を32chの計64chのライブ収録がRed 8Preの1台で完結することが出来ます。またデジタル端子のS/PDIFがあり、2chのデジタル信号を扱えます

出力系はモニターアウト、ヘッドフォンの2系統と、DB25端子に8chx 2の16chのアナログ出力があり、それとADAT2系統、Danteの32ch、S/PDIFのデジタル系があります。モニターアウトはリアパネルに1/4フォーンジャックで出力され直接アクティブモニタースピーカーに繋ぐことが出来ます。ヴォリュームはロータリーコマンダーで操作して、Dim、Muteも装備されています。またヘッドフォンへは別のアウトがアサインされているため、モニターとは別のミックスを作ることが出来ます。

実際に使ってみて

まず気になるのがPreAmpの性能ではないでしょうか。使えるもので無かったらライン入力のLINE16の方がいいかも?と悩むところです。なのでまずデモ機を借りてスタジオでチェックしました。MicPreをSSL4000G、Neve 1073、31105、Focusrite ISA 115HD、API512と比べました。想像通りOLD Neve 1073、31105の太い音とはちがい、SSL 4000G、Focusrete 115HDの系統に近いソリッドな音がします。また”Air”エフェクトを入れると、ISAおよびオリジナルのRedシリーズといったトランス・ベースのマイクプリの質感・サウンドを再現するということで、低域にハリが出て、少し高域が上がります。”Air”は音源によりON/OFFするといいと思いますが、十分にプロレコーディングに使えるMicPreです。謎なのがヘッドルーム。一般的なオーディオインターフェースは入出力のレベルが0VU=+4dBm=-18dBFsを採用しているのですが、Red 8Preの入力は0VU=-22dBと4dB低いのです。アナログ機器の最高峰のFocusrite社が考えなくそのような設定をするとは思えないのです。試しに500シリーズのRed1 Preを調べたところ、最大出力は+25.5dBuとなっていて、これとRed 8Preの入力に当てはめると0.5dB入力側に余裕があるという設計になっていて、一般的な-18dBのヘッドルームではPreAmpの上限まで使ってない、性能を使い切ってないということをFocurite社は言いたいのだと感じました。実際使ってみると、普段よりHAのゲインは大きめになりますが、音はパンチがあり、特にAPIのHAはゲインが大きく、-18dBの入力だと、最小でも大きくてPadを入れることが多いのですが、RedPreのライン入力レベルだと、Padを使うことなく、いいレベル感で使うことが出来ました。当たり前の様に決められているレベルに疑問を投げかけるRed Pre。こんなところにもFocusrite社の意気込みを感じます。しかし、レベルが入出力で違うのは嫌だという人が多かったのか、最新機種の16Lineは入出力同じレベルになっているので、そういう方は16Lineを選ぶといいと思います。AD/DAの音質ですが、最初に書いたように、最新の機種らしく、高密度な音色です。最近のインターフェースのDAは高解像度を得るためにか低域が薄い印象の物が多いですが、Red 8Preはそういうことはなく、しっかりとしたレンジ感で、ハリのある音がしていて、ProToolsの標準的なi/oと比べても遜色なく、いやそれよりもいいと感じました。ADは色付けが少なく、正確にアナログ波形をデジタルに変換しているという印象です。

1Uにすべてが詰まったRed 8Pre。これ1台あればスタジオワークから、ライブレコーディングまでこなせる、優れたギアです。

Profile

森元浩二.

レコーディング&ミキシング・エンジニア

Studio Sound DALIを経てフリーとして活躍。2002年にprime sound studio form設立とともにチーフ・エンジニアに就任 。これまでに浜崎あゆみ 、AAA、三代目 J Soul Brothers、E-girlsなどを手掛ける。

日本ミキサー協会副理事長

http://form-studios.com/

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