Red 16Line レビュー : 水島康貴 氏
2019.03.14
Focusrite Red 16lineを導入するに至った経緯
まだスタジオでシンセダビングなどアレンジをしていた時代に、僕はレコーディングの際Focusrite のStereo Mic Pre, EQをずっと使っておりました。音のクリアさと太さがとても気に入っていた訳ですが、近年そのブランド力に匹敵するFocusriteProブランドが立ち上がりIOとしてもRed 8Preなど魅力的な機材が出てきました。昨年末にメインマシンのMacを2015 iMacから2018 Mac miniに変更するにあたり、接続をThunderbolt3規格に全てを統一しようと思っていたところにFocusriteからThunderbolt3仕様のRed 16Lineが出ていることを知り、今回導入することにしました。
作業環境・設定
作業DAWはLogic ProとStudio OneでMac miniとはThunderbolt3接続。
Wordclockは別途外部より取っております。
作業工程として僕はアレンジ、サウンドプロデュースが多いので生の録音は
StudioOneでギター、ボーカル、弦楽器。
こちらを主に作業部屋に於いて録音、ダビングを行っております。
なので僕にはマイクインは多くても2つで十分な状況です。
そしてアレンジ、作曲作業はLogicProにてシンセプラグインなどを多用し、
僕はそれをサミングミキサーに立ち上げて音をまとめております。
そういう意味でラインアウトが多いこのRed 16Lineはとてもありがたい存在です。
Red 16Lineはその名前の通り16Outありますので、現在はステレオで7系統、そしてメインボーカル、ベースとして各1Chずつの計16chをアウトとして使用しております。ステレオアウトの内訳としては、ドラム2ミックス、ピアノ2ミックス、シンセ2ミックス、SEとLoop系2ミックス、ギター(打ち込み→生ギター)2ミックス、後はStringsやHorn Secなど用として、そしてダイレクトモニター用として2ミックスの7系統になります。
操作性について
PCからの操作であるFocusrite Controlの特徴はその構造のシンプルさ。それゆえに僕は逆に少し最初戸惑ってしまいましたが、ダイレクトモニタリングのオンオフや、ソフトウェアシンセの音をOutputを別系統から出せたりと多彩な組み合わせが可能です。また一目で分かるシンプルなControl Panelのデザインは、瞬時に設定が変更可能。アプリ全体としてコントロールパネルが大きめなので、視認性もとても高いです。小さなノートでもダビング可能な今時に、この様なデザインは作業中に見やすくてとても安心ですね。
また本体にはLED画面が3つ搭載されています。3つの画面が別れて付いているため、これが実はパッと見分けがしやすく動作状況の確認もしやすいです。またモニターボタンなどの切り替えもワンタッチで行えるため、生音のレコーディングからシンセやエレキギターなどのダビングへ、作業段階が随時変わって行く行程に於いてもこちらもボタン操作でスムーズに移行、作業を継続する事が可能です。
歌、アコースティックギターなどマイクで録音するものはRed 16LineのマイクPreで録り、モニターアウトは他のIOに通してコンプやリバーブをモニターでかけてプレイヤーにモニター返しをしております。
ヘッドフォンも2つ付いており(それぞれにボリュームコントロールなど可能)
パーソナルなレコーディングにも対応できる環境が整っているので、これはとても嬉しい事です。
ノートとRed 16Lineを持ち出せば確実に妥協ない良い音が録れます。
使い込んでみて
まず音場が広くなった(スピーカーから聞こえる範囲が広がった)というのが
一番の印象です。それは音の帯域の印象、L,Rのワイド感もそうですが、
生音とリバーブなどの質感もいい感じで分離しており奥行きなども自然に深みを感じることができるようになりました。
これによりアレンジ作業に於いても作業効率が上がったのと、ラフミックスやステム作りの際の音のバランスも以前より取りやすくなりました。
音がここまで分かりやすいと作業上のストレスが圧倒的に軽減され、他の作業に集中する事が出来ますよね!
導入前にはスタジオにて8Preやスタジオ機材のDAとも聴き比べました。
全くと言っても良い程音に遜色がなくスタジオの10倍以上のお値打ちの機材に引けを取りませんでした。これは正直現場で聞いていてかなり驚きました。ここ最近の機材の傾向として、ハイエンドが伸びて音抜けが良く解像度が上がっているのは間違いありませんが、それだけではなくRed 16Lineは下の帯域の落ち着き、歌の輪郭なども損なわれることなくしっかりと再現されております。
下の帯域に関して、再現能力の低い機材はガツンとある帯域が出て(それがその機材の再生力の限界の帯域なのだと思いますが)物凄くローが出ている錯覚をしてしまいがちです。その点この機材はそう言ったゴリ押し感なローがなくしっかりと落ち着いた低域を出してくれます。
また機材は変わりますがドラムをノートPCと8Preで録音もしました。
こちらもかなり満足の行くサウンドを得る事が出来ました。
そしてこの楽曲では全ての音をFocusrite Red 8Pre,Red 16Lineで録音しましたが、Red 8Preで培われた技術がRed 16LineのMicPreにもしっかりと継承されていると感じました。
入力、出力、レイテンシーを感じないダイレクトモニタリングシステムをハイクオリティでまとめ上げたこのRed 16Lineはクリエイター、プレイヤーにはとても心強い機材となるでしょう。
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