自分の中で基準となる「軸」ができた。
2015.07.08
頭上に懐かしのゲーム機を乗せた奇妙ないでたち。流れた音楽を即座に「自分のもの(ラーニング)」にしてしまう、高い音楽的素養。そしてここ数年は、数多くのアーティストとのコラボレーション。サカモト教授の周囲には、常に音楽愛が集う。
都内にあるサカモト教授の自宅兼・制作スタジオ。数年使い続けたスピーカーの入れ替えを検討の末、新たに導入されたのはFocalのAlpha 50だった。「自宅で制作するときの悩みが全て解消された」というAlpha 50。気に入ったポイントなどを聞いてみた。
・Focal Alpha 50を導入する前は、どのようなスピーカーをお使いだったのですか?
音楽制作をするようになって、最初にモニターにしていたのはVAIOに付属してきた普通のリスニング用スピーカーでした。さすがにローエンドまでのチェックは難しいスピーカーだったので、今から6〜7年ほど前に、いわゆるモニタースピーカーということでアメリカ製のもの、口径が大きいモデルを導入して使っており、先日Focal Alpha 50に入れ替える直前まで使っていました。
・Focalというブランドは、ご存知でしたか?
今回初めて知りました。ただ、フランスの友人が「お!Focalといえば工場が僕の家の近くにあるよ!すごくいいスピーカー会社だよ」と教えてくれて、ああそんなに有名だったのか、と。
・実際に導入されてみて、第一印象はいかがでしたか?
最初にびっくりしたのが、中低域の量感でした。以前に使っていたスピーカーはウーファーが8インチ以上のモデルだったのですが、それ以上の中低域のボリューム感・パンチ感が、このサイズ(5インチ)から出てきたことに驚きましたね。むしろこの作業部屋の環境に合わせて、少々低域を削ったくらいです。
中域に関しては誇張がなく、素直で判断が付きやすい音。高域も同じように音の違いが分かりやすく、かつ長時間聴いていても疲れないというところも音を作る側からすると高評価なポイントですね。決して低域だけが暴れているスピーカーではなく、下から上まで全ての帯域がバランスよく、音の判別をつけやすいなと思いました。
特に宅録環境では、低域の暴れがもっとも課題になると思うのですが、不思議とこれ(Focal Alpha 50)にはないですね。
・サカモト教授は、Alpha 50を上下逆にセッティングされているんですね。これはチューニング的な理由で?
いえいえ(笑)実はチェアーにふんぞり返ってチェックすることが多いので、ツイーターの位置を耳の高さに合わせると、このセッティングがベストだったんです。
・その他、Alpha 50を導入することで今までの環境から改善されたところはありますか?
ここは自宅兼・制作部屋で、集合住宅ということもあって夜中まで大音量で作業をすることは難しいんですね。そのため深夜にはボリュームを落として作業をすることになるのですが、小音量になったときにもバランス感が崩れないのは素晴らしいと思いました。
一般的なマンションなので、天井や壁に「住まいならでは」の段差もありますし、吸音材でガチガチにチューニングを施しているわけでもない。実は先ほど話した以前使っていたスピーカーも、決して悪いスピーカーというわけではないのですが、やはりきっちりとチューニングされたスタジオにあってこそ真価を発揮するのかなぁ、とは思っていました。この部屋だとローエンドの回り込みが激しすぎて、作業しづらくなってしまっていたのです。
でもAlpha 50は、そんな心配や今までの苦労が吹っ飛んでしまうくらい「ただ置いただけ」で良かったのにも驚きました。ご覧の通り僕の机はスピーカーの後ろがすぐ壁で、本当はスピーカーの設置としては推奨されない置き方をしているとは思いますが、それでも何も問題なしですね。バスレフの位置や形状の効果も高いのかなと思います。
うちみたいな「自宅スタジオ」に最適じゃないかなと思いますね。
・サカモト教授がモニタースピーカーに求めるものは何ですか?
色付けがないことです。
実は今回のAlpha 50を紹介いただく前に、別のスピーカーも検討したこともありました。立ち上がりが早いということがウリのブランドで気になってはいたのですが、スピーカー本体に色気…というか、色付けがあるのかなと思ってしまったんですね。色付けのあるスピーカーで作業をすると、他の現場で再生したときの鳴りかたが全く違ってしまいます。そういう意味でもAlpha 50はムダな色付けがなく、僕にとって良いバランスだと感じましたね。
僕の作品はチップチューンがメインで、ピコピコした音がどう聞こえるのかは、一つの判断材料にしています。いつも自分が使っている音なので、判断がしやすいんですね。ピコピコ音の矩形波やパルス波って、実は低域から高域まで非常に多くの周波数成分を含んでいるので、ちょっとバランスがよくない環境だと「あれ、いつものピコピコサウンドがちょっと違うな」と分かるわけです。低域が薄っぺらいなとか、逆にローエンドが出すぎだなとか。
Focal Alpha 50のバランスの良さはこれでもわかりますね。自分が常に聞いているチップチューンサウンドがそのまま出てきてくれます。
・iTunesなどに入っている曲をリスニングで聞いてみていかがでしたか?
様々なジャンルの音楽が好きなのでジャズ、オーケストラ辺りは好んで聴くのですが、定位感もよく、オーケストラのようなダイナミックレンジの大きい曲をかけたときに、音量の低い繊細なパートに入ったときにも「どういう演奏をされているか」という明瞭度が高いなと感じました。音量が大きいところの美しさ、小さいところの美しさ、それぞれの美しさがしっかり聞き取れるのも素晴らしいですね。
・Alpha 50を導入されてから制作されたものを、クラブなど他の環境でも再生されましたか?
はい、結構やってますね。
・モニタースピーカーとクラブのスピーカーは、当然ながら全く鳴りかたも違うかと思います。この差分を見越したミックス作業に、Alpha 50はいかがでしたか?
以前よりもその調整もしやすくなったなと感じています。当然クラブによっても箱鳴りのしかたがまったく違うのですが「Alphaでこう鳴っているなら、ここのクラブだとこういう風に聞こえるかな」という作業ができるようになりましたね。Alpha 50を使い始めてから自分の中で基準となる「軸」ができたような感じです。
・最後に、Alpha 50を含むFocal Alphaシリーズはどんな方におすすめできますか?
これはずばり「自宅で制作をしている宅録ミュージシャン」ですね。先にも言ったように、僕の部屋も特別なアコースティック調整をしているわけではないので、きっと多くの方とさほど変わらない環境ではないかと思いますが、そういった方におすすめです。
商用のスタジオのように壁や材などで音響そのものにもお金をかけられて、正確なモニタリング環境があるならいくらでも候補のスピーカーはあると思いますが、宅録でそれと同様の環境をつくることは非常に難しいことだと思います。
その点、Alpha 50は何も考えなくてもパッと置いただけで、すぐに素直な音で鳴りました。ここでこれだけバランスよく鳴るなら、ルームアコースティックに少し気を使えば、きっとさらにバランスよく鳴ってくれるのでしょう。でも現状ではその必要も感じないくらい、まさにモニターの仕事をしてくれています。
僕が使っているのは最も小さいサイズのAlpha 50ですが、これでも十分です。コストパフォーマンスも非常にいい。それから「30分間音が入力されない時に、自動的にスリープモードになる」というのが地味に気に入っていますね。いちいちスピーカーの後ろに手を回して電源を切る必要がない。これも宅録ミュージシャンにはありがたい機能なんじゃないでしょうか。
ゲーム音楽演奏家・作曲家。
8bitテイストの楽曲の制作を得意とし、オリジナルアルバム『SKMT』は、iTunesStore エレクトロニックチャートでアルバム・シングルでダブル1位を獲得。世界まる見え!テレビ特捜部やQさま!!出演。
2012年はスウェーデンのDreamHack、フランスのJapanExpoなど世界へと進出。
2013年、さくら学院クッキング部ミニパティへの楽曲提供、「勇者と1000の魔王」「三国テンカトリガー」などのスマホアプリへの楽曲提供など、活動の場を広げる。
2014年、待望のオリジナルセカンドアルバム『REBUILD』をリリース。11月28日〜30日にスウェーデン・ストックホルムにて行われる「MIYABI JAPAN STORY」への出演が決定するなど、国内外問わず勢力的に活動している。
日本シンセサイザー協会(JSPA)正会員。
アクティブ 2ウエイ・ニアフィールド・モニター・スピーカー
スペースに制限がある環境での使用に最適なモデルはAlpha 50です。
大型のラミナー・ポートに搭載された5” (13cm) ポリグラス・コーン・ウーファーと1”(25mm) アルミニウム・リバース・ドーム・ツイーターが搭載されており、それぞれに独立したアンプ(ウーファー:35W、ツイーター:20W)を内蔵。45Hzから22kHzまでをリニア (+/- 3dB)に再生します。
アクティブ 2ウエイ・ニアフィールド・モニター・スピーカー
Alpha 65 のキャラクターはその万能性、多様性にあります。EDMでもインストゥルメンタル・ミュージックでも優れたパフォーマンスを発揮します。
大型のラミナー・ポートに搭載された6.5” (16.5cm) ポリグラス・コーン・ウーファーと1”(25mm) アルミニウム・リバース・ドーム・ツイーターが搭載されており、それぞれに独立したアンプ(ウーファー:70W、ツイーター:35W)を内蔵。40Hzから22kHzまでをリニア (+/- 3dB)に再生します。
アクティブ 2ウエイ・ニアフィールド・モニター・スピーカー
ALPHAシリーズのフラッグシップ・モデル。豊かな低域が求められるスタイルの音楽、高出力が必要な環境に最適です。
大型のラミナー・ポートに搭載された8” (21cm) ポリグラス・コーン・ウーファーと1”(25mm) アルミニウム・リバース・ドーム・ツイーターが搭載されており、それぞれに独立したアンプ(ウーファー:100W、ツイーター:40W)を内蔵。35Hzから22kHzまでをリニア (+/- 3dB)に再生します。