2022.07.06
自宅でのボーカルやダイアログ録音のクオリティを上げるために、最初に導入検討すべき機材と言えば、コンデンサーマイク。
なかでも、オーストリアから「ニュー・スタンダード」となるバラエティに富んだマイクをいくつも開発しているマイクメーカー LewittからリリースされているLCT 240 PRO、LCT 440 PUREは、「初めてのコンデンサーマイク」に最適な製品です。
LCT 240 PROとLCT 440 PUREは、ダイアフラムの大きさに違いはあれど、上下関係があるわけではなく、両製品ともに素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれる製品です。
今回の記事では、作曲家、クリエイター、音楽プロデューサーである野崎氏とボーカリストであるKimottoさんに実際に2つの製品を使っていただき、音声付きでレビューをいただきました。男性ボーカル、女性ボーカル、そしてミックスした時の雰囲気も確認してみてください。
男性ボーカル・女性ボーカルをソースに、「LCT 240 PRO」「LCT 440 PURE」のレビューをさせて頂きました。
どちらのマイクにも共通して言えるのは、この価格帯からは想像できないような素晴らしいサウンド。音の狙いと味付けが絶妙で、クオリティとバランスが大変素晴らしいマイクだと感じました。
「レコーディングしたい!」と、改めて思わせてくれるような魅力を持ったマイクです。
「LCT 240 PRO」は明るい、軽やかなサウンドで、例えばスマートフォンのスピーカーなどからもしっかりと抜けてくるような、歌に大事な帯域、一般の人の耳に残りやすいポイントがスムーズに捉えられている印象です。
男女ボーカルどちらにも合いそうな印象で、例えばこれからDAWを始めようと思っている方や、特に自宅などでの歌録音に適しているなと感じました。
使い方のコツとしては、比較的高音域を元気に集音してくれるので、頑張って声を張るというよりは少し落ちついて、中低域を意識しながらマイクに音を入れてあげるイメージだと良い結果に繋がるような印象でした。
今回のサンプル音源は比較的明るめに歌を録音しましたが、椅子に座って落ち着いて歌っても良い結果になりそうなので、DAWデスクの横に置いておき、いつでも録音できるようにしておくという使い方も効果的かもしれません。
また大変持ち運びのしやすいマイクなので自宅以外でも例えば「ノートパソコン」と「LCT 240 PRO」を持って、旅先やツアー中のホテルなどで歌を録音しながら「作曲」や「楽曲のスケッチ」といった使い方も積極的にできる素晴らしいマイクだと感じました。
[音源]
Female Vocal - LCT 240 PRO
Male Vocal - LCT 240 PRO
2Mix_(AGt_Female_Male) - LCT 240 PRO
「LCT 440 PURE」は低音域から高音域までかなりレンジを広めに、かつ丁寧に集音してくれていて、録音していても自分の声が聴き取りやすいので、かなり歌いやすく感じます。
ハイエンドのマイクは、自分の声が気持ちよく、艶やかに「しっかりと」聴こえます。ヘッドフォンの中で自分の声をしっかり聴きながら歌い、自分の目指す「理想の歌」を耳の中で作っていくことが、レコーディングにおいて非常に重要です。「LCT 440 PURE」はその感覚を強く持っているマイクだと感じました。
歌が魅力的になるように元気に後押ししてくれるような印象があるので「自分の声が少し好きになる」といった大きな特徴も持っています。
今回、女性Voで参加してくれたKimottoも「自分の声の録ってほしいところを拾ってくれるので、しっかりと歌いたくなるとても気持ちのいい音」と表現していました。
ボーカリストの気持ちを引き上げてくれることは歌のパフォーマンスに直結するので、とても大事なポイントの1つです。その視点から見ても素晴らしいマイクだと感じています。
「LCT 440 PURE」で録った音で様々な音楽ジャンルと合わせミックスをしてみました。驚いたのは、音の芯はしっかりありつつも、硬すぎず、気持ちのいいスムーズな傾向の音なので、オケ中で声が埋もれることがなく、また悪目立ちすることもなく、楽曲に「良い成分のみ」を付加してくれるような印象を受けました。
クリエイター、エンジニア的な目線でも、大変扱いやすいマイクです。
あえて言語化しますと「万能かつ現代的な扱いやすいサウンド」という印象です。
[音源]
Female Vocal - LCT 440 PURE
Male Vocal - LCT 440 PURE
2Mix_(AGt_Female_Male) - LCT 440 PURE
「LCT 240 PRO」「LCT 440 PURE」どちらのマイクもこの価格帯のマイクではどちらも頭一つ抜けているような印象で大変衝撃を受けました。
レコーディングをしたいときに1本マイクを立ててすぐ「気持ちの良い音」で録音できるというのは、作曲や編曲の時の「イマジネーションを逃さない」という点において重要で、大変素晴らしいマイクだと感じています。
サウンド的にスムーズかつ、明るい元気なサウンド、ソースを選ばないマイクなので、ボーカリスト、ギタリスト、エンジニアはもちろん、宅録を中心としたDAWクリエイターなど、初めてコンデンサーマイクを手に取る方には、選択肢の一つとして是非一度使ってみてほしいマイクです。
Female Vocalist - Kimotto
Male Vocalist & Acoustic Guitar - Shinpei Nozaki
Song /「Be Alive」Performed by YOCCO
Music Producer / Composer / Guitarist
大原櫻子、新山詩織、小林香織、Kizuna AI、TV音楽などの多くの音楽作品に携わる。 ギタリストとしてRED BOTTOMS (JASMINE×土屋アンナ)のメンバー、鬼滅の刃、JUN(from U-KISS)などに参加。 また自身が音楽プロデュースを行うユニット「YOCCO」の活動のほか、音楽制作会社AST ARTSの代表を務める。
Official HP:https://www.shinpeinozaki.com
Twitter:@nozakishinpei
AST ARTS HP:https://www.astarts-web.com
Singer / Lyricist
自身がリードボーカルを務めるユニット「YOCCO」の他に、TV音楽など様々な作品にシンガーとして参加。
作詞家として中ノ森文子、しまじろう、さくら学院、TVアニメ「最響カミズモード!」等の作品に参加している。