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Focal ST Solo 6 レビュー:Shingo Suzuki

2023.06.08

実力派のミュージシャンが揃い、卓越したプロデュースワークでも評価の高いorigami PRODUCTIONS。その中でベーシストとしてだけでなく、キーボーディスト、プロデュース、トラックメイクやエンジニアリングまでマルチな才能を発揮しているShingo Suzuki氏。

過去に様々なスピーカーを導入し、現在はFocal ProfessionalのSHAPE Seriesを使用している氏が、「ST Solo 6を聴いて改めてスピーカーは大事だと再確認させてもらった」という。

楽器プレイヤーでもあり、プロデュース、トラックメイクまで行うSuzuki氏に、現在のFocalが送る渾身のプロダクト「ST Solo 6」をレビューいただいた。


ひと回り大きくなった音像

- FocalのSHAPE 50を長らくご愛用いただいておりますが、率直にST Solo 6のサウンドを聴いてみていかがでしたか?

Focalの音はすごく好きで、実はSolo6の発売当初からずっと気になっていたんですよ。 実際サウンドを聴いてみて、高域の伸びや奥行き、音の深みみたいなものがひと回り大きくなっているなと。Shapeとくらべて大きくなっているウーファーのサイズ以上に、低音の余裕感を感じました。

- 低音部分のチューニングに関しては、メーカーが今回一番力を入れて設計したポイントでもあります。前モデルであるSolo 6 beの時「低音がもう少しほしい」とリクエストがあり再設計にも活かされています。

やっぱそうですよね。1個前のSM Solo6の音を聴いたことがありますが。ST Solo6は低域をこんなに出していいのかってくらい出ていますよね。笑

Focal ST Solo 6 レビュー:Shingo Suzuki

- ウーファーのボイスコイル自体は全モデルSM Solo6と同じサイズなんですが、奥行きが40%ほど増えていて、駆動範囲が広がった分、反応や特性もすごく向上しているんです。

なるほど。イメージとしては8畳から10畳くらいの部屋で、ある程度音量をしっかり出すことで、本量発揮できる感じがするんですよね。オールジャンルに対応できる繊細さと、パワフルさがあるような気がしました。

ローエンドのミックスってよく耳にしますよね。 サンレコでも特集されてたりとか、キックとベース、モノラルとステレオみたいな。そういうシビアなミックスをするトレンドがあると思うんです。

けど、なかなか大きいスタジオやスピーカーじゃないとローエンドって見えてこなくって。 ST Solo 6であれば、割と小規模のスペースでもそういった処理を追い込みやすいんじゃないかと感じました。

周波数特性を見てもちゃんと低いところまで出ているし、ミックスするにあたっては、非常に素晴らしいスピーカーなんじゃないかなって感じましたね。本当にいい音でびっくりしました。

- ありがとうございます。サブベースの部分も前モデルであるSolo 6 beからアップデートがあったポイントです。超低域の歪みを抑える設計・チューニングが施されています。

最近は、2.1でサブウーファーを入れて、低域の再現性を良くするみたいなのが流行っていると思うんですよ。だけどやっぱりステレオのスピーカーだけの方がなんか気持ちいいっていうか、繋がりがあるって感じるんですよ。

僕はそっち派なので迷うところではあるんですけどね。だから、ステレオスピーカー2つで十分にパワフルな低域が再現されてるのは本当に嬉しいですね。

Focal ST Solo 6 レビュー:Shingo Suzuki

- 高域や定位の印象はいかがでしょうか?

曲全体がかなりしっかり見える印象です。加えてワイドレンジでオープンなサウンドだから聴いてて気持ちいい。ミックスしていても、作曲していても気持ちよく作業ができます。

定位感もすごく良くて、座る位置を変えてみてもハイハットとか目の前にあるみたいに感じますね。驚きました。

スピーカー自体が持つパワフル感というか、個人の主観ですがボリュームを上げていくとよりキャラクターを感じることができて、生き生きした音が出てくる感じがしますね。

昨今のトレンドサウンドを十分に再現できるような開発をされたんじゃないかなって感じます。

今まで色んなメーカーのいろんなスピーカーを使ってきたんですけど、Focalはやっぱりバランスが取れてる、かつ量感があるっていう印象があります。1番好きなところはそういうバランスの良さ。プラス、トレンドの音をしっかりキャッチしてアウトプットしてくれるっていう。 すごい丁寧な作りですね。

- Focalは本当に作りが丁寧なんですよね。実は、ツイーター部分も改良されていて。音の流れをうまく拡散できるよう設計されています。音の拡散力が増し、結果スイートスポットも広がっているんです。

だから座る位置とか確認する位置がちょっとずれても、 それなりによく聴こえるんですね。 ツイーターに使われている素材って、ベリリウムでしたっけ?すごいレアな金属ですよね。

- そうですね。ベリリウムが選ばれた理由は、物質的な硬さと軽さを特徴として持っているからなんです。硬いことでいわゆるセトリングタイム、1回振れて止まるまでの時間が短くてすむので。

スピード感もそういうところにも関連してるんですかね。スピード感、定位感ありますもんね。 そういうことなんだろうな。

- ここに起因してると思いますね。で、軽いので必要以上の負荷をかけなくても、ドライバを駆動できるメリットが生まれるんです。

なるほど、なるほど。

- そうすると今度は、歪みがなくなるんですよね。加工は難しいんですが。Focalの技術力でスピーカーとして実現させています。

確かに軽くて固い素材ということは、なかなか真似しづらい技術ですよね。さすがですよ。 そういうオリジナリティのある方に行くFocalがやっぱり好きですね。

Focal ST Solo 6 レビュー:Shingo Suzuki

- 現在の作業部屋はどれくらいの広さですか?

今の部屋は6畳の部屋、ちょうど長方形でマンションの中にある一室なんです。

ST Solo6を使うなら低音がしっかり出る分、 防音対策を調整していかないといけないかな。そこが苦労しつつも、スピーカーの楽しい部分で、いいところだと思いましたね。

- Shingoさんがモニタースピーカーを選ぶ上で基準にしていることはなんでしょうか?

僕自身は、エンジニアではなくてミュージシャンで、アレンジしたり、楽曲を制作する方なので、聴いた瞬間に直感で「これかっこいいな」って思えるようなスピーカーが好きですね。

つまらない音ではあるけど、ミックスには適している。みたいなスピーカーもありますよね。そうではなくて、サブスクリプションで再生した音を聴いても、自分で作った音を出しても気持ちいい音を出してくれる... そんなスピーカーを選んでいます。

- 「これかっこいいな」って思えるスピーカーはどんな音でしょうか?

フルレンジでしっかり低域から高域まで出て、奥行きとか空気感を感じられるスピーカーを求めてますね。抽象的ですが。笑

もちろん正確性の部分は、どこのスピーカーブランドさんも探求していて、それぞれ持ち合わせていると思うんですけど。

Focal ST Solo 6 レビュー:Shingo Suzuki

- 最後にST Solo 6はどんな方におすすめのスピーカーでしょうか?

クリエイターとしては、特にDTMをしていて2発目のスピーカーを買おうとしている人には絶対おすすめですね。1発目はやっぱり10万付近の価格帯のものを奮発して買って。ちょっと次欲しいなっていう時に2発目で買うと、これ本当に間違いない音なんで、感動すると思います。

ミュージシャンとしても曲を作ってるって人におすすめです。聴いててつまらない音じゃなくて非常に楽しい音で、生々しさとか、臨場感というか、目の前で鳴っている声とか、楽器とか、ドラムの乾いた感じとか、そういうのを本当にキャッチして出してくれるスピーカーです。

エンジニアよりになりがちな値段帯なんですけど、「やっぱりスピーカーは大事」ということを再確認させてもらいました。


製品情報


Shingo Suzuki
Shingo Suzuki

アーティスト

HIP-HOP、JAZZ、SOULのグルーヴを軸に、卓越した演奏力と唯一無二のサンプリングセンスを持ち合わせたベーシスト、トラックメーカー、プロデューサー。 1stアルバム『The Abstract Truth』は日本のみならずフランス、デンマークなどヨーロッパのHIP-HOPチャートでTOP10入り。 世界中のLo-Fi Hip-Hopファンの間で話題になった「Night Lights with thirdiq」は累計300万回を超えるストリーミング再生数を記録。

また、mabanua、関口シンゴと共にバンド、Ovall(オーバル)としても活動。 フランスの国民的HIP-HOPバンド、HOCUS POCUSやIAM、フィリピンの人気バンド、UDDのボーカルArmi、青葉市子、SIRUPなど世界中のアーティストを招き音源をリリース。さらにヒップホップグループ GAGLEとのコラボ GAGLE×Ovallや、田島貴男(Original Love)とのジョイントプロジェクトなど様々なスタイルのコラボレーションを展開。 FUJI ROCK FESTIVAL 、GREENROOM FESTIVAL、RISING SUN ROCK FESTIVAL、Sunset Liveなど日本全国の大型フェスや、台湾、フィリピンなどアジアツアーも成功させる。

プロデューサー、ベーシストとしてもBTS (防弾少年団)、矢野顕子、七尾旅人、さかいゆう、20syl(HOCUS POCUS)など世界中のアーティストをサポート。 さらに多数のCM楽曲やジングル、ドラマや映画の劇伴などを手がけている。

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