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ドラムにフォーカスしたサウンドで、新しい時代のニーズに応えるマイクシリーズ

Earthworks DK7 Gen2 / DK6レビュー by 合原 晋平

2025.02.03

DM6が1本あればそれだけでいいキックが録れる

DK7 Gen2/DK6の両方にパッケージされているキック用マイク「DM6」は以前から気になっていたとのことで、実際に使ってみていかがでしたか?

ありきたりな表現かも知れませんが、DM6を繋いでみてまず初めに感じたことは「とにかく音がめちゃくちゃいい!」でした。超クリアな音で、しかも音が速い。いつもはキック用にマイクを2本立てることも多いのですが、DM6であれば1本でかなり満足のいくサウンドになります。

皮鳴りがびっくりするくらいきれいに録れるし、位置をしっかりと詰めてあげれば、アタックや重さのあるサウンドもしっかりと記録できました。今はヘッドのホールから5cm突っ込んだところにセッティングしています。

DK7 Aihara

また付属のTriad- Orbitマウントも、そういった微調整に一役買っています。実はDM6を試す前からTriad- Orbit製品は個人的に使っていて、全部これにできないかな、と考えていたところだったので、初めからついてくるのは嬉しいですね。バスドラムは曲や演奏者によって、毛布でニュート具合を調整したりとかなり頻繁にセッティングを動かすので、Triad- Orbitのマウントはそういうときにもとても役に立つと思います。

レコーディングしてみて、特に相性のよいジャンルなどはありましたか?

サウンド面については初めに話したように「超クリアで速い音」ではあるんですけど、そこがちょうどよく音楽的なニュアンスになっていて、音が痛すぎて困ってしまうというようなこともありませんでした。EQカーブも専用にチューニングされているようで、バスドラム主体の曲、例えばハードロックやメタル、最近の手数の多いポップスなどは「そのままで使える音」が録れるので、ミックスの手間を軽減してくれると思います。

ただマイクを置く場所によっていろいろなニュアンスを拾えそうなので、今後しっとりした曲のレコーディングなどでも試したいですね。

DK7 Aihara

DM6ならマイク1本でバスドラムの音作りを完結できるので、自宅レコーディングでチャンネル数が限られてる人や、キック用マイクを複数立てられない小さめのスタジオにも最適だと思います。ライブなどでセッティングに時間がかけられない場合にもおすすめしたいです。

定番マイクをいくつか所有していていろいろな音を聴いていますが、その観点でも非常に優秀なマイクだと感じます。調整少なめでかっこいい音がそのまま出るので、バスドラムのレコーディングの経験が浅い人も、このマイクから初めてみるといいかも知れません。

DK7 Gen2、DK6ともに高い水準のサウンド

DK7 Gen2とDK6はスネア、タム用マイクとして別のマイク(DM20 Gen2、DM17)がセットになっています。それぞれの印象を教えてください。

使う前は、単純に「DM20の廉価版がDM17なのかな」と思っていたんですが全然そんなことはなく、音としては十分すぎるくらいのクオリティがありました。DM20のほうが高音域まで伸びるような派手さはあるのですが、シチュエーションやジャンルではむしろDM17のほうが手間をかけずに曲に馴染む場合もあると思います。そのあたりはぜひサウンド・サンプルを聴いてください。

より違いを感じたのは使い勝手の部分で、DM20のほうがグースネックを採用しているためドラムヘッドのセンターに向けたりリム側に向けたりとセッティングの自由度が高く、DM17はセッティング角がほぼ固定で、センターを狙った音になります。

DK7 Aihara

DM17はすばやいセッティングが可能

DK7 Aihara

DM20はセッティングを細かく詰めることができる

これも考え方次第で、時間をかけて音を詰めるならもちろんDM20のほうがいいんですが、セッティングに時間がかけられない場合や、経験が浅く音の判断が難しいのであれば、音の選択肢はなくてもDM17のほうが迷いがないですね。

セッティングにも関わるマイクホルダーの部分ですが、今回新設計のものが採用されています。使い勝手などいかがでしたか?

過去使ったもので、たまにリムとホルダーが噛み合わないものや、使っているうちに緩んでガタが来てしまうようなものもあったのですが、このセットはそういうことが一切ないので驚きました。一応レビューをするにあたって、スネアの両面につけて長時間叩くような実験もしてみたんですけど(笑)本当に少しも緩まないですね。

DK7 Aihara

エンジニアさんによっては、振動でノイズが発生したりするのでスネアやタムにホルダーで固定することを避ける人も多いのですが、これなら問題ないんじゃないかな。多点ドラム・セットを組む場合などマイクスタンドがいらないのは大きな利点ですし、タムの両面にマイクをセットしたい人なんかはセッティングが相当楽になると思います。

マイクスタンドを使う場合、タムごとのマイクカプセルとヘッドの距離、角度を揃えるのも一苦労なんですが、このホルダーはそこも楽です。手を添えて位置を合わせて終わり。こういった時短要素も、ドラムのセッティングではとても大事なので助かります。

DK7 Aihara

手のひらの高さを基準にしてマイクを揃える合原さん

DM20、DM17はどのようなシチュエーションで活かせそうですか?

DM20はスネア、タムなどオールジャンル、オールマイティに対応できると思います。先ほど言ったように高音域の伸びがよく、シェルの響きや空気感、金属的なスネアのニュアンスも拾いやすいです。

DM17はもちろんどこでも使えるんですが、個人的にめちゃくちゃオススメなのが、スネアボトムです。人によって音の好みはあるかと思うんですが、DM17は音の太さがしっかり出る印象で、僕はスネアボトムも太いサウンドが出るほうが好きなので相性バッチリでした。DK7 + DM17(スネアボトム)バージョンのサウンドサンプルも録ってみたのでぜひ確認してみてください。

DK7 Aihara

芯のあるスネアボトムの音が録れるとのこと

トップ用マイクもSR25 Gen2 とSR20 Gen2 の違いがありますが、音の印象はどうでしたか?

いろいろレコーディングをする中で、以前から所有しているSR25をハイハットに立てるのにハマっていて…信じられない音というか、こんなに情報量の多いハイハットが録れるのか!と感動しています。トップに2本立てたのは今回のSR Gen2シリーズが初めてだったんですが、シンバルの金属的な響きからスティックワークの細かい表現まで繊細に拾えていると感じています。

DK7 Aihara

音質の話題ではないですが、SR25とSR20で出力されるレベルが違うんですね(笑)レコーディング中にびっくりして仕様を確認したら、SR20の方は大音量楽器にも耐えられる設計とのことで納得しました。

DK7 Aihara

DK7 Aihara

どのようなユーザーにオススメできますか?

実体験として、中途半端なものを買い漁っても結局最後には高くていいものを買ってしまう…ということがよくあるので(笑)DK7が費用的に許されるのであればオススメなのはもちろんですが、今からドラムレコーディングを始めたいと考えている方にはぜひDK6を候補に入れていただけたらと思います。DK6なら経験を経たあとで他のマイクと合わせても全然問題なく使えるので、ちょっと無理してでも導入する価値は十分にあるはずです。

総評として、DK7 Gen2、DK6ともに高い水準のサウンドで、プロの仕事にしっかりと応えてくれるのではと期待しています。あとキャリーケースがすばらしい。実際に見てみると「こんなに小さいの?」と驚きますよ。大規模なツアーやレコーディングはもちろん、個人で音を録る場合でも大きなアドバンテージになると思います。

背景のラックサイズと比較してもコンパクトなケース(左:DK7 gen2 右:DK6)

Earthworksの理念を引き継ぎながら使い勝手がよくなったGen2シリーズ

実はEarthworksの初代のドラム用マイクセット(TC20とSR25がセットになったもの)を持っていて、エアー用などで今でもよく使っています。今回新しいDK7 Gen2とDK6の音を聴いてみて、Earthworksがフォーカスしている部分や設計思想はいいところをしっかりと引き継ぎながら、いろいろな点が改善されたと感じました。

他にもよくなった点はありますが、体感で特に改善されたと感じたのはカブリの対策ですね。狙っている楽器以外の音がびっくりするくらい抑えられていて、分離よくレコーディングできるので助かる人は多いんじゃないかな、と思います。

DK7 Aihara

実はドラムセット自体、シェルであったり、ヘッドであったりも年々進化していて、含んでいる倍音や音の立ち上がり方などのサウンドが変化しているんですよ。今使っているメインのドラム・セットはグレッチの現行モデルなんですが、グレッチらしいビンテージなニュアンスを出しつつも、モダンなサウンドに対応したサウンドを奏でてくれます。EarthworksはGen2を開発することで、そういった時代の変化にしっかりと追従している印象です。

日本ではそこまで認知されていないかもしれませんが、実はライブ映像や大手YouTubeチャンネルの動画配信などを見ていると、今世界中のドラマーがこぞってEarthworksのドラムマイクを使っているんですよ。しっかりとドラムにフォーカスしたサウンドと、新しい時代のニーズにも応えるマイク作りへの姿勢が評価されている、ということだと思います。

今でも大満足なんですけど、個人的に期待することと言えば…キック専用のDM6がすばらしいので、同じようにスネア専用マイクが出たら嬉しいですね(笑)

DK7 Aihara


プロフィール
合原 晋平

合原 晋平(あいはら しんぺい)

ドラマー

1984年生まれ。いくつかのバンドを経てフリーのドラマーへ。これまでに高橋優、長瀬有花、め組、play gooseなど様々なアーティストのRECやLIVEに参加。2021年に自宅スタジオをacoustic engineering設計で施工。自宅ドラムRECを始め、これまでにメジャー楽曲、ミュージカル、劇伴、CM音楽などのドラムRECを数多くこなしている。



製品情報

DK7 Gen 2

最高のシンバルを選び、お気に入りの木材トーンを選び、スネアの音にこだわったドラム — チューニングは完璧で、すばらしいキットが目の前にあります。そこにEarthworks DK7以外のマイクをセットする理由があるでしょうか? DK … 続きを読む DK7 Gen 2

DK6

世界中のレコーディングやライブステージで愛用されるEarthworksのドラムマイクは、マイクの常識を塗り替える存在となりました。 DK6は、最もかんたんにドラム・マイキングを行えるツールです。妥協を許さないプレミアムなサウンドを … 続きを読む DK6

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