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音が生まれる場所 伝統と革新のロンドン名門スタジオを巡る – Vol. 2 British Grove Studios

2026.02.24

本連載では、2025年現在の「ロンドン・スタジオ最前線」をテーマに、注目すべき3つのスタジオを全3回にわたりレポート。現地取材には、プロデューサー/ミキシング・レコーディングエンジニアの加納洋一郎氏にご同行いただき、専門的なコメントを交えながら、ロンドンのスタジオシーンにおける最新動向と、その背景にある思想や技術的アプローチを掘り下げていく。

第1回 Abbey Road Studio レポートはこちら >>

第2回で訪れたのは、ロンドン市内でありながら喧騒を離れた高級住宅地チズウィックに佇むBritish Grove Studios(ブリティッシュ・グローヴ・スタジオズ)。世界的にも稀少なヴィンテージ機材を最高のコンディションで維持しながら、最新のデジタルテクノロジーと高度に融合させた、唯一無二のレコーディング環境を誇るスタジオだ。

スタジオのオーナーは、世界的な人気を博したイギリスのロックバンド「ダイアー・ストレイツ」のリードギター&ボーカルとして知られるマーク・ノップラー氏である。長年にわたり理想のスタジオ像を追求してきた彼の、妥協なき音へのこだわりが具現化された空間こそがBritish Grove Studiosである。本記事では、その設計思想、機材構成、そして現場の空気感に至るまで、その全貌を詳しくレポートする。

British Grove Studiosの誕生

1990年代当時、ノップラー氏は自身のプライベートスタジオ環境に限界を感じていた。天井は低く、空間も狭い。そのため、バンド全員が同一空間で顔を見合わせながら一斉に演奏する、いわゆる“ライブ感”を十分に収録することが難しかったという。

氏が求めたのは、1950〜60年代の名盤群に見られるような録音環境だった。ミュージシャン同士が一つの大きなライブ・ルームで相互作用しながら音楽を構築していく、あの時代特有の空気感を収録できるスタジオである。

この理想を具現化するため、氏は自身のPAおよびマネジメントを担っていたデヴィッド・スチュワート氏、さらに Abbey Road Studios、AIR Studios、Decca Studios の管理に携わっていたデイヴ・ハリーズ氏とともにプロジェクトを始動させた。

徹底的なロケーション・リサーチの末に選ばれたのが、ロンドン西部チズウィックに位置する歴史的建造物である。同地は第二次世界大戦中、英国の傑作戦闘爆撃機「モスキート」の翼を製造していた工場であり、1970年代にはアイランド・レコードの本部が置かれていた。音楽と航空という、二つの歴史を内包する象徴的な場所であった。

建設工事には約3年を要した。建物の外観および歴史的構造は保存しつつ、内部は全面的に解体。そしてスタジオ内部には、外部振動や構造伝播ノイズを遮断する完全浮構造(Full Floating Structure)が導入された。これは物理的な静寂を確保するための建築的手法であると同時に、氏が構想した巨大なライブ・ルームを成立させるための基盤でもあった。

さらに、ヴィンテージ機材の入手と実用レベルへの整備が並行して進められた。この一連のプロセスについてノップラー氏は、「過去と未来の技術への記念碑に必要な工程だった」と語っている。

STUDIO 1:現代フラッグシップとヴィンテージ・コンソールの競演

現代最高峰の解像度 Neve 88RS

STUDIO 1のコントロールルームの中心に据えられているのは、現代アナログ・コンソールの最高峰と評される AMS Neve 88RS である。96チャンネル仕様を誇り、大規模セッションや映画音楽制作にも対応するフラッグシップモデルだ。

100kHzを超える帯域幅と圧倒的なヘッドルームを備え、192kHzデジタルレコーディングを凌駕する音質を目指して設計されている。入力段のヘッドルームは+26dBu以上を確保。オーケストラのようなダイナミックレンジの広いソースでも歪みを生じることなく、Neve特有のシルキーな質感を付与しながらキャプチャすることが可能だ。

搭載されるEQおよびダイナミクスは、往年の1073のような強いキャラクター性を前面に出す設計とは異なる。目指したのは、現代的な透明感と音楽的な艶の両立である。とりわけVCAコンプレッサーは、ソフトニー特性を持ちながら極めて精密な制御が可能で、繊細なダイナミクス処理を実現する。

さらに、8トラックのスコアリングパネルやステムミキシング機能を統合し、5.1chおよび7.1chサラウンドモニタリングを標準装備。複雑な信号処理をアナログ領域で完結できる設計思想が高く評価されている。

その実力は用途の幅広さにも表れている。STUDIO 1ではロックバンドのレコーディングにとどまらず、映画『Gravity』や『Black Panther』といったハリウッド大作のスコア制作にも使用されてきた。Hans Zimmer をはじめとするトップコンポーザーに支持される理由は、この圧倒的な音響的余裕と精度にある。

加納 洋一郎 氏

素材を生かしたまま、スピードを落とさず前に出す 88RS

加納氏:EMI系のヴィンテージ卓は、増幅段やバス回路の設計に独特のキャラクターがあり、その影響で中低域の密度や粘りが増し、音をしっかりとまとめてくれる印象があります。

私自身も以前、Chandler Limitedのマイクプリを所有していましたが、そこで感じたのは、トランジェントの角が自然に丸くなることによって、音全体が一体化したような質感が得られるという点でした。一方で、その特性ゆえに応答速度や広帯域の抜け、伸びは控えめになり、細かな立ち上がりや高域の開放感、奥行きの表現は少し抑えられる傾向があるようにも感じました。

それに対して88RSは、入力段からバスに至るまでの直線性と応答速度が非常に優れており、アタック感が鈍らない印象があります。EMI系が「音像をまとめて太らせる方向」だとすれば、88RSは「音の素材を生かしたまま、スピードを落とさず前に出すタイプ」と言えるでしょう。

現役稼働中のEMIコンソール

最新鋭の Neve 88RS の背後には、アビイ・ロードの歴史そのものを体現する2台のEMI製コンソールが、いつでも稼働可能な状態でスタンバイしている。

これらは、かつてEMI/Abbey Road Studioでメンテナンスを担当していたブライアン・ギブソン氏の手によって再構築されたものだ。内部回路はもちろん、ケーブルの色に至るまで当時の仕様を忠実に再現。レストアにとどまらず、完璧なコンディションを維持する現役機として機能している点が特筆に値する。

EMI REDD.51(真空管)

EMI REDD.51

EMI REDD.51 は1959年に開発された、EMI黄金期を象徴する真空管コンソール。本機は世界に唯一現存するREDD.51とされ、かつてはEMIミラノ・スタジオに設置されていたもの。

14本のPaintonフェーダーを備え、信号経路は全段真空管回路で構成。その設計が生み出す倍音構造は、初期から中期にかけての The Beatles の作品群を想起させる、太く温かみのあるサウンドを特徴とする。

ドラムのオーバーヘッドやボーカルを通すだけで、過度なEQ処理を施さずとも、すでに完成されたレコードの音へと近づく——そう評されるのも、このコンソールが持つ固有の音響的キャラクターゆえである。

EMI TG12345 Mk2(ソリッドステート)

EMI TG12345 Mk2

EMI TG12345 は、1960年代後半にEMIが開発したトランジスタ方式のコンソール。本機は1970年代のMk2で、ポール・マッカートニーの Band on the Run(Wings)が録音されたナイジェリア・ラゴスのスタジオで実際に使用されていたもの。

真空管世代のREDDシリーズに代わる次世代機として設計され、各チャンネルにコンプレッサー/リミッターを搭載。ダイナミクス制御をコンソール上で完結できる設計は当時としては革新的であり、制作現場のワークフローを大きく前進させた。

また、The Beatles『Abbey Road』や、Pink Floyd『The Dark Side of the Moon』のサウンド形成に大きく貢献したことでも知られる。ソリッドステートならではの安定性と精密さ、そして独特のパンチを持つその音響特性は、現在も高く評価されている。

これらのEMIコンソールは、Neve 88RSへ入力する前段で使用される。信号を通すことで、EMI特有の質感やまとまりといった「音の魔法」を付加することができるのだ。すなわち、現代の高精度なシステムに歴史的なトーンを重ねるという、重要な役割を担っているのである。

EMIコンソールのサイドストーリー【EQカーブの掟】

かつてEMIコンソールが Abbey Road Studio に設置されていた時代、ロックバンドとクラシック音楽家では、使用を許されるEQカーブが厳格に区別されていたという。それは単なる技術的な設定の違いではない。1960年代のスタジオ文化に色濃く残っていた階級意識や、ジャンル間に横たわる見えない壁を象徴する「音の掟」であった。

数十年後、ポール・マッカートニーがBritish Grove Studiosを訪れた。The Beatles時代、このコンソールで実際に録音していた当人である。彼は懐かしそうにコンソールを眺め、こう頼んだという。

「クラシック用のEQで録音させてくれないか? 当時は決して許されなかったから」

長年の時を経て、かつて禁じられていた音に触れようとする彼の姿は、音楽の歴史そのものが動き出す感動的な瞬間だった。

加納 洋一郎 氏

ハイファイとヴィンテージの使い分け

加納氏:現代の88RSが持つハイファイでスピードの速い特性と、ヴィンテージ機材が持つ音の質感は、役割分担させることで作業効率と仕上がりの質が向上するように思います。

機材にはそれぞれキャラクターがあり、88RSはレンジが広く、現代的なハイエンドのクリーンなエア感と瞬間的なトランジェント処理に優れています。そのため、トラックを積み重ねても破綻しにくく、最終段階までパンチを保ったままダイナミクスをコントロールできる印象があります。

一方、1073やEMIのようなヴィンテージ機材は、音を「作る」「主張させる」工程で抜群の効果を発揮し、音の輪郭が出しやすい。

この性質の違いは、そのままワークフローに直結します。たとえば、ドラムやベースには低音の押し出しや中域の張り、飽和感、密度、まとまりなどが欲しかったりするので、ヴィンテージ機材を用いる。そして、その上にダビングするストリングスや金管などには88RSを用いることで、レンジの使い分けも出来てバランスの取れた仕上がりにつながります。

STUDIO 1:変幻自在な音響設計

STUDIO 1のライブ・ルームは一見するとシンプルだが、実際は緻密に計算された音響設計の結晶である。この空間は意図的に、ライブすぎないニュートラルな響きを持つように設計されている。ロンドン市内の小規模スタジオの中には、部屋固有の響きが主張しすぎてしまうケースも少なくない。それに対してSTUDIO 1のサウンドは、色付けを極力抑えたサウンドで高い汎用性を持つ。

たとえば、ここで録音したストリングスと、Abbey Road Studioの壮大なStudio Oneで録音したストリングスをミックスしても、まったく違和感なく自然に溶け込むのだ。さらに驚くべきは、この部屋が持つ変幻自在の機能性である。

可動式アコースティックパネル

壁面に設置された吸音パネルは、裏返すことで硬質な反射面へと切り替えられる。パネルの向きを変えるだけで室内の響きは大きく変化し、ラウドなギターやドラムに適した、エッジの効いた「ロックンロール・ルーム」へと様相を変える。

フローティング構造のブース

併設された複数のブースは、建物の主要構造から物理的に分離されたフローティング(浮き)構造を採用。外部振動や室内音の相互干渉を抑え、極めて高い遮音性能を確保している。

可動式の壁

ブース間を仕切る壁は可動式になっている。用途に応じて一つの大きな空間を形成することも、複数の小ブースに分割することも可能で、レコーディングの要求に合わせて柔軟に再構成できる設計だ。

加納 洋一郎 氏

スタジオの響きも楽器の一部

加納氏:スタジオ側を見学させてもらって特に感心したのは、徹底して利便性を考えた設備設計になっていること。

大編成の場合には遮蔽扉を畳んでメインフロアを拡張したり、各ブースの間仕切りを取り払うことで大きなスペースに変化するなど、用途に応じて空間を柔軟に作り替えられる設計になっていてとても実用的だと感じました。

可動式パネルによって響きを調整でき、ストリングスやドラムの録音時には豊かに響かせ、ボーカル録音時には抑えるなど、楽曲や録音ソースに合わせたコントロールも可能です。

日本のスタジオはスペースが限られていることもあり、初期反射を抑えるデッドな環境が多いですが、イギリスでは「スタジオの響きそのものも楽器の一部である」というエンジニア視点の考え方があり、そうした音への思想の違いが設備設計にも反映されているように思いました。

STUDIO 2:創作のためのワークルーム

STUDIO 2はオーナーであるノップラー氏の個人的な制作拠点としての性格を色濃く持つ、クリエイティブな空間である。APIコンソールが据えられ、おもに作曲やデモ制作、ミキシングを行うためのワークルームとして使用されている。

スタジオで活躍するヴィンテージ・ギア

Decca Studios Prototype EQ

Decca Studios Prototype EQ

デッカ・スタジオの技術部門によって試作されたパッシブEQ。ローリング・ストーンズやビートルズの作品を手がけた名エンジニア、グリン・ジョンズは、このEQにまつわる印象的なエピソードを語っている。当時、デッカの上層部から「ロックに使うにはもったいない。これはクラシック用の機材だ」とされ、使用を禁じられていたという、いわば因縁の機材であった。現在では、その歴史的背景を持つこのEQがBritish Grove Studiosに設置されており、主にギターの処理において愛用されている。

RCA Tube Console

RCA Tube Console

RCA製の真空管コンソール。内部メンテナンスの際、筐体内部に日本語のマーキングが発見されたことから、かつて日本のNHKで放送用卓として使用されていた個体であることが判明した。放送用途を前提に設計されたこともあり、非常に堅牢な構造と中域のクリアさが特徴。

ノップラー氏のサウンド哲学

ノップラー氏の音に対する徹底したこだわりを象徴する、印象的なプロセスがある。

完成したミックスは、1インチや1/4インチなどの異なるフォーマットで、複数の2トラック・テープマシンへ同時に録音される。その後、彼はスタジオ中央のリスニングポイントに着席し、純粋な聴感による比較に臨む。

再生時には、アシスタントがどのテープマシンから音が出ているのかを一切知らせないまま、コンソール上で再生ソースを切り替える。先入観を排し、媒体に左右されない状態で音だけを判断するためだ。

こうしてノップラー氏は、自身の耳だけを頼りに最も優れていると感じた音を選択する。まさに完全なブラインドテストによる最終判断である。なお、この比較ではAmpexの1インチテープが最良の結果として選ばれることが多いという。

加納 洋一郎 氏

制作に没頭できる空間

加納氏:商業スタジオは一般的に、「誰が使っても一定以上のクオリティが担保されること」を最優先に、設備や音響が標準化されているケースが多いと思います。一方でBritish Grove Studiosは、アーティストのプライベートスタジオに近いコンセプトの部屋を商業スタジオとして運用していて、とてもラグジュアリーでリッチな空間になっています。

音響的にも、極端にストイックな環境というよりは、長時間作業していても疲れにくく、直感的にアイデアを形にしやすい空気感が大切にされている印象です。照明やレイアウトを含め、いわゆる「仕事場」というよりも、「制作に没頭できる空間」に近い。

プライベートスタジオのような自由度と、商業スタジオとしての安心感が高い次元で両立されていて、そのバランスが現代の制作スタイルに合っていると感じます。

スタジオの神経中枢:マシンルーム

最後に案内されたマシンルームは、スタジオ全体の機能を支える文字通りの“神経中枢”であった。整然と並ぶラックと無数のケーブル配線が、このスタジオの技術的な心臓部を形成している。

この部屋はSTUDIO 1とSTUDIO 2の双方を統合するハブとして機能しており、巨大なパッチベイを介してスタジオ内のあらゆる機材をモジュラー的に接続できる構造になっている。コンソールからテープマシン、さらにはPro Toolsへといった信号経路も、Danteネットワークを通じて柔軟にルーティング可能であり、用途に応じた最適なシステム構成を瞬時に組み替えることができる。この高い自由度こそが、British Grove Studiosの制作環境を根底から支えていると言えるだろう。

ラック内には、特注された高音質のアナログ・ヘッドフォンシステムも収められており、アーティストが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、モニタリング環境の細部に至るまで音質への徹底した配慮がなされていることがうかがえた。

加納 洋一郎 氏

Danteネットワークオーディオの強み

加納氏:マシンルームの在り方や設計は、かつては単なる機材置き場という位置付けだったものが、近年はPro Toolsをはじめとするデジタル機器の導入に伴い、スタジオ全体のワークフローを支える中枢として明確な役割を担う存在へと変化しています。

イギリスのスタジオを訪れて特に印象的だったのは、ワイヤリングにDanteを用いたネットワークオーディオが組み込まれていた点です。実際に話を伺うと、サウンドを歪ませることなく伝送できるうえ、省スペースな設置や、柔軟にシステム変更できるのが大きな利点とのこと。さらに、ネットワークさえ接続されていればスタジオ間はもちろん、事務所でもエディット作業ができるとのことでした。

弊社サウンド・シティでも「tutumu」など一部の部屋ではDanteを導入していますが、今後のスタジオ設計や運用を考える上でも、とても参考になりました。

情熱と技術が紡ぐレガシー

「ここには他のスタジオのような“時計に追われる感覚”がない」と語るノップラー氏。エリック・クラプトンに「これまで仕事をした中で最高のスタジオ」と評された理由は、まさにこのクリエイティブな環境と、それを支える高度な技術力にほかならない。

機材に対する深い敬意と豊富な知識に基づき、過去の名機を尊重しながら現代技術と融合させていく姿勢。その温故と進化の共存こそが、British Grove Studiosのレガシーを未来へと紡いでいる。

加納 洋一郎 氏

アーティストを信頼させる「スタジオの空気感」

加納氏:スタジオの“空気”というものは、単なる音響条件以上に、演奏そのものへ直接的な影響を与えるものだと思います。

部屋に入った瞬間の雰囲気や照明、機材の佇まい、さらにはスタッフとの距離感といった要素が、演奏者の集中の仕方やフレーズの出方に自然と作用してくるんですよね。

いわゆる伝統的な商業スタジオでは、「ここで数々の名演が生まれてきた」という歴史が空気として残っていて、演奏する側も無意識に背筋が伸びる。一方で、最近増えているプライベートスタジオ寄りの空間はリビングに近い安心感があって、構えすぎずに、よりパーソナルな表現を引き出しやすい。

欧米のスタジオでは「スタジオ自体も楽器の一部」という感覚が強くて、空間を鳴らす意識が前提にあるように思います。一方、日本のスタジオは精度や再現性を重視する文化があって、静かでコントロールされた空気が演奏者の集中力を高めてくれる。そういった文化的な違いが、グルーヴやアタックのニュアンスに表れてくることもあるのだと思います。

結局、スタジオの“空気”は演奏を縛るものでも、ただリラックスさせるだけのものでもなくて、「どんな音楽を引き出したいか」に応じて設計される環境なんですよね。

優れたスタジオほど、その空気が言葉を使わずに方向性を示してくれる、だからアーティストも信頼する、そんな気がします。

左:ミキシング・エンジニア 加納洋一郎氏 / 右:株式会社サウンド・シティ代表 明地 権氏


加納洋一郎氏 プロフィール
加納 洋一郎 氏

MIXING ENGINEER

Yoichiro Kano

株式会社ミキサーズ・ラボ チーフエンジニアからフリーランスを経て、2024年株式会社サウンド・シティ イマーシブdiv. 責任者に就任。

バンド、アーティスト作品のみならず、映画、TVアニメ、TVドラマ、Game、CM、舞台と多くの分野で幅広く活動、近年はDolbyAtmos、360 Reality Audioなどイマーシブ制作にも積極的に携わる。

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