2026.06.29
シンクマスター、音楽プロデューサーとして数多くのアーティストを支える木内友軌氏に、Positive Grid のソフトウェア型アンプシミュレーター「BIAS X」の使用感についてお話を伺いました。
はじめまして、木内友軌です。音楽プロデューサー、作詞・作編曲家、シンクマスターとして、ライブサポートや制作活動を行っています。バンド活動やソングライターとしての経験を経て現在に至り、最近ではシンクマスターとして DEAN FUJIOKA さんやナオト・インティライミさんのツアーにも参加しています。
2018年頃から BIAS FX シリーズを使用しています。最初はアンプヘッドやキャビネットによる音の違い、マイキングやマイクの種類による変化を研究する目的で導入しました。
当時は Shure SM57 や AKG C414 などの実機マイクも使っていたので、BIAS 上で同じマイクを選択して試せる環境は非常に勉強になりました。スピーカーのどの位置にマイクを立てるかによって音が変わるという、マイキングの基礎的な感覚を身につけることができ、特に時間の限られたレコーディング現場では事前のシミュレーションツールとして大いに役立ちました。
結論から言うと、自分でプリセットを作る機会が大幅に減りました。収録されているプリセットの完成度が非常に高いんです。
この手のソフトウェアは、ポストプロダクションで自由に音色を変更できる点が魅力ですが、自分のように最終的にアーティストと細かく詰めていくスタイルのプロデューサーにとっては、収録エフェクトそれぞれのキャラクターがしっかりしているので、少し差し替えたり調整したりするだけで理想的なサウンドに仕上がります。
以前はアンプ、キャビネット、エフェクトを組み合わせた自作プリセットを複数用意していましたが、BIAS X にアップデートしてからはデフォルトプリセットを試すだけで十分なケースが増え、気づけばほとんど自分でプリセットを作らなくなりました。
AI 機能も非常に役立っています。以前は英語で入力していたプロンプトも、最近では日本語で適切に認識してくれるようになりました。
例えば制作中に「アコースティックギターで J-POP のバンドサウンドになじむようなトーン」と入力すると、イメージに近いプリセットを提案してくれます。その後も「もう少しストローク主体のサウンドで」といった具合に対話形式でブラッシュアップできるので、まるでアシスタントが隣にいるような感覚ですね。
AI が提案したプリセットをベースに、コンプレッサーのかかり具合を微調整したり不要なエフェクトを外したりするのが、最近の自分の制作スタイルになっています。
また、自分は専門のギタリストではなくプロデューサーという立場ですが、演奏時のレスポンスも非常に向上したと感じています。以前のバージョン以上に弾きやすく、「自分が上手くなったのでは」と思えるほどです(笑)。
中でも Small Clone をモチーフにしたコーラスエフェクトは、実機に非常に近い印象です。以前は揺れ方など細かなニュアンスを重視して実機を使うことも多かったのですが、BIAS X になってからはソフトウェアだけで完結するケースが圧倒的に増えました。ケンタウルス系のオーバードライブも同様ですね。
また、ソフトウェアならではの利点として、自由にキャビネットを組み合わせられる点も魅力です。例えば Fender 系アンプに 4×12 キャビネットを組み合わせるなど、実機ではなかなか試せない構成も気軽に実験できます。
ToneCloud がなくなった当初は少し戸惑いましたが、現在はまったく不便を感じていません。AI がオーディオ素材やプロンプトからプリセットを生成してくれるので、「○○のようなトーンを作って」と指示するだけで目的のサウンドに近づけられます。むしろ以前より制作フローが速くなったと感じています。
自分でプリセットを作る機会が減ったことに加えて、アコースティックギター向けのサウンドも格段に良くなったと感じています。また、自分で音作りを完結できる場面も多くなりました。
ギターには触れるものの、本業はギタリストではないプロデューサーやクリエイターの方には特におすすめしたいですね。
簡単なフレーズは弾けても、音作りや再現性に悩む方は少なくないと思いますが、BIAS X を使えば作業時間を大きく短縮できます。
また、「アンプ直結が一番」というタイプのギタリストの方にも、ぜひ一度触れてみてほしいです。そうした高い演奏技術を持つ方ほど、BIAS X の多彩なプリセットやサウンドバリエーションを活かして、新たな表現に出会えるのではないかと思います。
ドラマ『東京 P.D.』の主題歌『暴露 / syudou』は、BIAS X を使ってデモ制作を行った楽曲でもあります。ぜひ聴いていただけたら嬉しいです。
また、6月からナオト・インティライミさんのホールツアーにシンクマスターとして参加しております。 今後も自身、提供問わずリリース予定がありますので、情報解禁次第インスタグラム、X で発表させていただきます。
今回のインタビューでは、木内友軌氏が BIAS X を通じて実感した「音作りの自由度」と「制作スピードの向上」について語っていただきました。
完成度の高いプリセットや Agentic AI によるサウンドメイク支援は、ギタリストだけでなく、プロデューサーやクリエイターにとっても大きな武器となります。アイデアを素早く形にし、細かなニュアンスまで追い込める BIAS X は、これからの音楽制作における新たなスタンダードと言えるかもしれません。音作りに時間を費やすのではなく、表現そのものに集中したい……そんなクリエイターにこそ、ぜひ一度 BIAS X を体感していただきたいと思います。
また、木内友軌氏の最新の活動情報やリリース情報は、各種 SNS で随時発信されています。ぜひフォローして、今後の制作やライブ、参加作品の情報をチェックしてみてください。
木内 友軌 (Tomoki Kiuchi)
Producer, Syncmaster
学生時代より、東京大阪を中心にバンド活動後、シンガーソングライターとしてデビュー。その後、アーティストや大規模なショー、イベントへの楽曲提供、音楽プロデュースや、シンクマスターとしてコンサートでの演奏やアレンジ、音楽監督のサポートなどを務める。
コロナ禍でのリモートセッション、音楽 NFT プロデュースなどの経験から、新人開発や、プロジェクトの立ち上げ、新しいムーブメントを積極的にとりいれた提案も得意としている。
Instagram: https://www.instagram.com/kiuchitomoki/
プロフェッショナル・ギター・ソフトウェア
BIAS X
世界初のAI搭載ギタートーン作成プラットフォーム「BIAS X」。Agentic AIによって生成されるプロレベルのトーンは、音の反応に優れた、リアルで柔軟性の高いアンプ、エフェクト、キャビネットのサウンドを再生します。デスクトップ版アプリケーションと、主要なDAWすべてに対応したプラグインです。