2016.10.30
「PositiveGridのBIASシリーズを使いこなそう」第5回はBIAS Head導入編としまして、BIAS Headのギターアンプヘッドとしての基本的な使い方や魅力を中心にお話を進めて行きます。後半ではMac,PC,iPadとの基本的な連携にも触れて行きます。
BIASシリーズがiOS appから始まりMac,PCでのソフトウェアに発展、そしてハードのアンプへ。という流れから、BIAS Headを使うにはパソコンとか必要なの?という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
答えはNoです。
BIAS Headはそれ単体でギターアンプヘッドとして十分使えますし、基本的な使い方も通常のギターアンプと殆ど変わりません。
(PC,Mac,iPad と連携させた更にディープな使い方もあります)
ここで私感を書かせて頂くと、BIAS Head かなりヤバいです。本当に凄い。
BIAS Headの基本的な使い方を説明しましょう。
まずBIAS HeadのINPUT端子にギターからシールドを繋ぎます。
BIAS HeadのSPEAKER OUTから4〜16オームのスピーカーキャビネットにスピーカーケーブルを繋ぎます。
BIAS Headの電源をONにします。
ギターを弾きましょう。
以上です(笑)通常のギターアンプと何ら変わりありません。
GAIN,BASS,MIDDLE,TREBLE,PRESENCE,MASTERと並んだツマミの意味は、ギターアンプを扱ったことのある方なら特に難解な事ではないですよね。
GAINで歪みの深さ調整、BASS,MIDDLE,TREBLEでのトーンコントロール、PRESENCEでさらに高域の調整、MASTERで全体の音量調整。
BIAS Headの各ツマミを回せば普通のギターアンプと何ら変わりなく扱うことが出来ます。
そう、BIAS Headには機能を割り当てたボタンや小さなディスプレイなどがありません。
ツマミかスイッチだけで上に書いた全てのコントロールを行えます。「小さなディスプレイを見ながらこのボタン押しながらあーしてこーして」なんて事はしなくて良いのです!
付け加えると、BIAS Headはクリスタルクリーンから伝統的なクランチサウンド、メタル〜更に深い歪みまで単体でカバーし、あらかじめ25種類のアンプモデルが内蔵されています。これも本体のツマミだけで切り替え出来ますし、例えばGAINなどを変えて気に入ったセッティングが出来れば、SAVEボタンを押すだけで本体に記録されます。
そして上に書いた機能はBIAS Head 単体で全てコントロールする事が出来るんです。
以上でBIAS Headが普通のギターアンプと同じように(も)使う事が出来るのはお分かり頂けたかと思いますが、如何でしょうか。
是非楽器店などでその操作性を確かめて頂ければと思います。
BIAS Headはギターアンプとしての殆どの操作を本体でコントロール出来るのは上に書いた通りです。
しかしツマミ全体を見渡すと、「TUBE STAGES」 「TOPOLOGY」など、通常のギターアンプでは見かけないものも確かに存在します。
それらの意味はひとまず置いておいて、普通のギターアンプとして使うなら上段のツマミは無視して、下段のツマミだけで音作りをしても何ら問題はありません。
GAINを回せば歪みの量が変化しますし、TREBLEを回せば高音を変化させられます。
この辺りは普通のギターアンプと全く同じですね。
(*上段左2個のロータリー式のツマミはプリセットを選ぶのに使います)
もちろん「TUBE STAGES」 「TOPOLOGY」などをいじっても壊れませんし、感電もしませんので(笑)ツマミを回して音の変化を確認する事は全く問題ありません。
積極的にいじってみるのも良いかと思います。
Clean, Glassy, Blues, Crunch, Metalと5種類の各カテゴリー内に5つのアンプモデルが内蔵されています。
クリーントーンからクランチ、メタル系まで備えていますので、これだけあれば大抵のジャンルのギターサウンドに対応出来るでしょう。
もちろんプリセットをいじって本体にセーブする事も簡単に出来ます。
本体に「TUBE STAGES」 「DISTORTION」「TOPOLOGY」「POWER AMP」というツマミと、「BRIGHT」「MODERN/VINTAGE」というミニスイッチがあります。
これらのコントーラーの説明を簡単にしていきましょう。
「TUBE STAGES」=プリアンプ部で何段の(いくつの)真空管を使うか。
基本的に数が多い方が歪みが増します。
「DISTORTION」=プリアンプ部の歪み具合。
歪み具合そのものです。右に回せば歪みが増します。
「BRIGHT」通常のギターアンプと同じく、オンにすれば音がブライトになります。
ここまではプリアンプ部のコントロールで、音色や歪み具合に大きく影響するブロックになります。
実例を少し紹介しましょう。
British Plexi というアンプモデルのTUBE STAGEは3段で、ブリティッシュなクランチサウンドが出せるのですが、これを5段にする事で歪みが増してメタルにも対応出来るような改造マーシャル的なサウンドにする事が出来ます。
さらに「DISTORTION」を上げればGAINツマミとはニュアンスの違う歪みを加える事も出来ます。
この辺りは分かりやすく音が変わりますので、ぜひいじってみてください。
(大丈夫、感電しません(笑))
「TOPOLOGY」=パワーアンプの動作方式
フェンダー、マーシャル、ローランドなど、ギターアンプによってパワーアンプの動作方式は違いまして、それがアンプのキャラクターにも影響するのですが、それをツマミで変えられるんです。
こちらも実例を。
Triple Treadplateというアンプモデルはメタル向けのハイゲインサウンドを得意とする
モデルで、TOPOLOGYはコンプ感やコシのある感じになるPUSH PULLになっています。
これをSOLID STATEに変える事でパワーアンプ部でのコンプ感が薄れてスッキリとしたニュアンスに変える事が出来ます。
激しく歪ませたいけど潰れ感は少し減らしたい、なんて時には重宝すると思います。
「POWER AMP」=パワーアンプ部の歪み具合
通常パワーアンプの出力というと音質は変えずに音量だけを変えるイメージがあるかと思いますが、ギターアンプ(特に真空管アンプ)のパワーアンプは音色や張り歪み具合にも影響を与えるんです。
このツマミを上げるとプリアンプ部とはニュアンスの違う歪みが増していきます。
よく言われる(?)「マーシャルフルテン」のロックで迫力のあるサウンドは、音量も大きいですが、それと同時にパワーアンプ部での歪み具合もマックスになるからなんです。
これに関連して、MASTERを上げていくと音量とともにパワーアンプ部の歪みや張りがアップしていきます。
特に例は上げませんがMASTERやPOWER AMPを上げると、きめ細かい歪みとは反対方向のアグレッシブな歪みが増していきますので、ぜひチェックしてみてください。
*OUTPUTツマミではありませんのでご注意を!本当の爆音になります!
OUTPUTツマミですが、それそれのツマミをいじって音色が決まったところで、実際にスピーカーから出る全体の音量をコントロールするツマミになります。
ある意味これが”マスターボリューム”と考えて良いかと思います。
BIAS Headは通常のギターアンプヘッドと同じ感覚で扱える「ギターアンプ」でもあるのですが、PC,Mac,iPad のソフトウェアと併せて使う事で、強力なカスタマイズが出来るようになります。
BIAS Head本体で出来ることはもちろん、さらにディープなカスタマイズを行う事で、
ユーザーが望む理想のギターアンプを作る事が出来るんです。
「このアンプモデルはとても気に入ってるんだけど、少しだけ歪みのキャラクターを荒っぽくしたい」
もしくは、
「ギターのボリュームを絞った時のトーンをブライトにしたい」
まだまだありますが、かなりのカスタマイズを行う事が可能になります。
また、Amp Matchという機能で、お気に入りのアンプのサウンドを正確に捉え、ご自分のBIAS Head のトーンをそのキャラクターにマッチングさせる事も出来るんです。
加えて、Tone CloudというサービスにBIAS Amp のプリセットが数千種類もアップロードされていて、BIAS ユーザーは自由に試して自由にダウンロードする事が出来るんです。
著名なギタリストのプリセットや優秀なプリセットも多く公開されているので、プレビューして気に入ったらダウンロードしてみましょう。
BIAS Headはギターアンプとしてのサウンドはもちろん、ソフトとハードの見事な
連携もかなりの魅力になっています。
次回はその辺りも含め、さらに詳しく紹介したいと思います。
ではでは、次回をお楽しみにです!
スタジオミュージシャンとして、MISIA,宇多田ヒカル,BoA,EXILE,倖田來未,SMAP 他沢山のアーティストのレコーディングへ参加。その数は1000曲を超える。
キレのあるリズムギター、歌う様なリードギターは、1990年代〜2000年代のJ-POPでのギターアプローチに多大な影響を与える。アレンジャーとしてMISA,V6,島谷ひとみ、華原朋美、等の作品に参加。
ライブサポートでもその他多数のアーティストのライブに参加。
近年はセッションミュージシャンの枠を超えて、ソロギタリストとしてインスト曲の作曲、ライブ活動の他、iPhoneアプリ、ゲーム、CMなどの音楽制作も行っている。
鈴木健治オフィシャルウェブサイト http://kenjisuzuki.net
オンラインマガジン「週刊宅録ギター」https://