1985年から始まった歩み
2024.04.12
Apogeeは、オーディオ録音の品質を飛躍的に向上させる革新的な技術よって誕生しました。1985年、Apogeeの創業者たちは、当時の新しいメディアであったコンパクトディスク(CD)で発生する脆さや歪みに対処する技術を開発。
さらにApogee独自の924および944アンチエイリアシングフィルターは、ソニーや三菱のハイエンドデジタルレコーディングシステムに採用され、CDフォーマットをより温かみのある、アナログに近い音の再現に迫りました。
これらのApogee製品が初期のデジタルレコーディングにて採用されました。その結果、デジタルオーディオ技術の進化を加速する重要な要因となり、Apogeeがデジタルオーディオ分野のリーダーとなりました。
Apogeeは、限界を超えた技術と製品で革新を続けています。画期的な924および944フィルターから、DuetおよびEnsembleによるスタジオ品質のホーム・レコーディング革命、iOSレコーディングのための最初のプロ製品であるMiCおよびJAMまで、Apogeeはアーティスト、オーディオ・プロフェッショナル、オーディオ・ファンが愛し、信頼する最先端のツールを生み出しています。
そんなApogeeの歩みをご紹介いたします。
最先端の技術を開発した3人のプロフェッショナルが起業
1985年に3人の創業者により設立されたApogee。3名の創業者のうちBetty Bennettは、現在も同社の社長を務めており、Bob Clearmountainの妻としての顔も持つ人物です。
今はAudio Interfaceメーカーとして認知されているApogeeですが、そのルーツはDigital Filterにありました。デジタルレコーディングの黎明期である1980年代に、当時新しいリスニングメディアであったCDのデジタル歪みなど、デジタルメディア特有の問題を解決する技術をリリースしています。
Apogeeの924 / 944 Anti-Aliasing Filterは、瞬く間に評価を得てリリース翌年の1986年には業界標準のデジタル・マルチトラック・レコーダーであったSONY PCM-3324と、その互換機を製作していたMitsubishiのオプションとして採用されました。このフィルターは「冷たい」「硬い」と言われていたデジタル音声を、アナログライクなサウンドにすることができる魔法のようなフィルターでした。
次にリリースしたのが、AD-500 / AD-1000。このAD/DAコンバーターでUV22と呼ばれる画期的なディザーが登場します。UV22ディザーは、最近ではその名前を見ることは少なくなりましたが、YAMAHAを始め多くの3rd Partyメーカーが採用した技術です。Digital Filter、そしてディザーと画期的な技術を発表するApogeeは、デジタル・オーディオの持つ持病のようなデメリットを、次々と過去のものへと変えていきました。
そして1997年にはAD-8000をリリース。Pro Toolsでのレコーディングがスタジオに浸透し始めた時期に登場したこの8ch AD/DAは、サウンドにこだわるスタジオの代名詞ともなっていきました。当時、アナログレコーディングにこだわるエンジニアもAD-8000であればデジタルでも大丈夫、とPro Toolsへの移行を加速させた機材のひとつです。
その後、Master Clock GeneraterであるBig Ben、ホームレコーディングに向けたEnsemble、Duet、さらにはiOS対応のONE、JAM、Micなどとターゲットを明確にした製品をリリースしていきます。
時代を作った銘機が揃うApogeeの歴史。確固たる技術、サウンドへのこだわり、イノベーションを持った製品をリリースし、今日のデジタルレコーディングのベースとなる技術はApogee由来のものが数多く存在します。
そのベースには、本社に隣接するApogee studioの存在が大きく関わっています。実際のレコーディングの現場が機材を開発しているオフィスの隣にあり、そのスタジオをメインで使用しているのはBob Clearmountain氏。そこからのフィードバックがApogeeの製品クオリティーに深く反映されています。また、一部のモデルを除き、プロシューマ向けの製品はすべて本社で生産しているというのもApogeeのこだわり。一部のブティック・ブランド、ガレージメーカー以外でMade in USAというのは今や貴重な存在です。