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Apogee FX 連載企画第4弾 by Sorato「コンプレッサー」

2025.05.30

こんにちは、Soratoです。今回はApogeeのプラグインの中でも特に使用頻度の高い2つのコンプレッサープラグインをご紹介します!


Opto-3A

>Opto-3A

光学式コンプレッサー/リミッター。モデリング元になったハードウェアの特徴的なコンプレッションの特性を忠実に再現しており、少しリダクションしただけでパンチと抜けのあるサウンドを作ることができます。

  • Gain– 出力ゲインを設定します。
  • GR/Output Meter – フロントパネルメーターの表示を、ゲインリダクションレベルまたは出力レベルで切り替えできます。
  • Peak Reduction – ピークリダクションの量を設定します。ノブを時計回りに回す と、スレッショルドが下がり、圧縮具合が増加します。
  • Comp/Limit – ゲインリダクションの比率を変更し、コンプレッションまたはリミッ ティングの動作を切り替えます。
  • HF Contourr – コンプレッサーのサイドチェーンの高域への反応を調整します。サイドチェーンの高域をブーストすると、コンプレッサーのスレッショルドが高域のオーディオに対してより敏感になり、この部分の圧縮が強くなります。逆に HF Contour をカットに設定すると、高域の圧縮が弱くなり、低域の圧縮が強くなります。
  • Hi Pass – コンプレッサーのサイドチェーンのハイパスフィルターの周波数を設定し ます。
  • Dry/FX – ドライ(入力音声)とエフェクト(コンプ後の音声)のバランスを調整します。50/50に設定すると1:1のパラレルコンプレッションになり、好みに応じて割合を調整できます。
  • Side Chain Listen – サイドチェーン信号経路をモニターできます(※HF ContourやHi Passの調整時に便利ですが、通常のコンプレッサー動作時にはオフにしてください)。
  • Preset – ファクトリーおよびユーザー設定のプリセットをロード、保存、切り替え できます。

Mod Comp

>Mod Comp

モダンスタイルのコンプレッサー/リミッター。ビジュアルで何が起こっているか分かりやすく、オールラウンドに使えるコンプレッサーです。オートメイクアップゲイン機能により、コンプレッションで下がった音量を自動で補正してくれるため、作業の時短にも繋がります。

  • Ratio Display Output Level – 出力レベルメーター 。コンプレッション後、メイクアップゲインが適用される前の出力レベルを表示します。
  • Ratio Display Input Levell – 入力レベルメーター 。コンプレッション前の入力レベルを表示します。
  • Gain Reduction Meter and Trace – ゲインリダクションの量を表示します(※入力信号は濃い青、出力信号は薄い青で表示されます。右上のコーナーでスクロール速度を調整できます)。
  • Threshold – スレッショルドを操作します。設定したスレッショルドレベルを超えたオーディオが圧縮されます。
  • Ratio – スレッショルドを超えた音がどのくらいの比率で圧縮されるかを設定します。
  • Knee – コンプレッションが始まるまでの滑らかさを設定します。シャープなニーでは急激に圧縮が始まり、ソフトなニーではより自然に圧縮されます。
  • Attack – スレッショルドを超えた音に対し、どのくらいの速さでコンプレッションを適用するかを設定します。
  • Release – スレッショルドを下回った音に対し、どのくらいの速さでコンプレッションを解除するかを設定します。
  • Makeup – コンプレッション後に下がった音量を補うためのゲインを設定します。
  • Auto – オートメイクアップゲインを有効にすると、コンプレッション後のゲインを自動的に調整し、ユニティゲインを維持します。
  • Preset – ファクトリーおよびユーザーのプリセットをロード、保存、切り替えます。
  • Compressor / Side Chain View – プラグインウィンドウの表示をコンプレッサーとサイドチェーンの間で切り替えます。
  • Style – コンプレッションのスタイルを選択します。
    ●Punch – 一般的なコンプレッションやリミッティングに最適です。
    ●Easy – オートアタック/リリース機能を備え、著名な 160 コンプレッサーに似たリニアリリースエンベロープを持ちます。手軽に雰囲気のあるコンプレッションが可能です。
    ●Leveller – 超クリーンで透明なゲインリダクションを提供します。オーディオ信号のレベルをスムーズかつ自然に維持するのに適しています。リリース設定は最短でも長めですが、ゲインリダクションの動作はスムーズで明瞭です。

「ファーストインプレッション」

「Opto-3A」は有名な光学式コンプレッサーの「Teletronix LA-3A」というハードウェアを モデルにしており、 Apogee以外のメーカーからも複数同モデルのコンプレッサープラグインが登場していますが、その中でもApogeeの「Opto-3A 」は一味違います。

個人的に、他社製品は滑らかだったり大人しいサウンドになりがちですが、「Opto-3A」はかんたんに気持ちよいパンチと立体感が得られます。コンプレッションされることでアタックが際立ち、ディケイが短くなるように感じますが、サウンドか損なわれることはなく、使っていて心地よいコンプレッサーだと感じました。

「Mod Comp」は変な味付けもなく、純粋なサウンドのまま圧縮される感じがどんな場面でも使えるオールラウンダーなコンプレッサーだと感じました。Opto-3Aのようにパンチが加わるわけではありませんが、透明感を保ったままコンプレッションされるため、 音の前後感などを自由自在に配置できます。非常に汎用性が高いコンプレッサーです。

また、コンプを使う目的に合わせて「Style」の設定を変更することで、「こんなかかり具合にしたい」というイメージが具現化しやすく、まさに痒い所に手が届くコンプレッサーだなと思いました。

さらに、オートゲイン機能がデフォルトで「On」になっているため、圧縮した分を持ち上げたい時に時短でき、どこまでも便利だなぁと思いました。


「実際に仕事で使う際に良いところ」

・ドラム

打楽器には、とにかく「Opto-3A」ですね。パンチやトランジェントの制御に適しているため、ドラムやビートのサウンドメイク時には必ず使用しています。

基本的には挿してデフォルトのまま、「Peak Reduction」を上げてほんの少しリダクションをかけるだけ。これだけでパンチが出ます。

特にキックでの「Opto-3A」の使用率は8割ほどです。海外のポップスやK-POPでは「キックの気持ちよさ」が重要なので、いつもかなり時間をかけて作り込んでいます。

そのため、さまざまなプラグインを試し、組み合わせを研究しましたが、個人的には「Opto-3A」が最もサウンドのロスがなく、かんたんな操作ですばやくパンチのあるサウンドにたどり着けると感じました。

キック以外でもスネアやハット、パーカッションなど、サウンドを際立たせたいときには、とりあえず一度挿してみるほど多大な信頼を寄せています。

ちなみに、「ハットが出過ぎてしまった」「パーカッションが目立ちすぎる」といった、パンチを求めない場面ではすぐに「Mod Comp」に切り替えます。

音を後ろに下げたいときは、「Mod Comp」を挿してデフォルトのオートゲイン(On)をOffにし、そのままThresholdを下げるだけ。これだけでピークが抑えられつつ音量が下がり、自然に音が後ろへ引っ込みます。とてもかんたんに操作できるのが魅力です。

何を前に出し、何を後ろに下げるか——バランスの取れたミックスでは、このコントロールがとても重要です。「Opto-3A」「Mod Comp」の2つを組み合わせるだけで、それがかんたんに実現でき、しかもサウンドのクオリティも申し分なし。どちらも優秀すぎるコンプレッサーだと思います。

・Vocal

歌を前に出したいときや、アタックを際立たせたいときには「Opto-3A」を使用することがあります。一方で、ハモやチャントなど、ある程度まとめて存在感を調整したい場合には「Mod Comp」を使用することが多いです。

「Mod Comp」はサウンド的にクリアな部類なので、バスコンプ的な使い方ではうまくいかないこともありますが、クリアなサウンドのままピークを滑らかに整えたいときには非常に使いやすいと感じています。

・ギターなどコード系の楽器

どちらのコンプレッサーも使用します。たとえばギターカッティングのようにパーカッシブで賑やかな印象を出したいときは、「Opto-3A」を使いアタックを際立たせつつディケイを抑えます。

逆に、存在感を持たせつつも控えめで華やかな隠し味的なニュアンスを加えたいときには、「Mod Comp」を使用します。

「とりあえずサウンドの質感を保ったままコンプレッションしたい」なら「Mod Comp」。「存在感や抜け感を出したい」なら「Opto-3A」

このように、用途に応じて使い分けています。


「音源デモ」

Kick Off→On
Opto-3A
Snare Off→On
Opto-3A
Bass Off→On
Modcomp
Vocal Off→On
Modcomp
Inst Bus Off→Punch→Easy→Laveler
Modcomp
ALL(Total Comp) Off→On(Mod)→Odd→On(3A)
Opto-3A Modcomp

Apogee SymphonyDesktopとの連携

これまでと同様に、「Apogee Control 2」または「Symphony Desktop」側でプラグインを選択します。プラグインを掛け録りしたい場合は「Print FX」を選択し、モニター音だけにエフェクトをかけたい場合は「Monitor FX」でプラグインを起動します。

自分はギターをレコーディングすることが多いため、事前にコンプレッションをかけることで、サウンドメイクの時短につながるだけでなく、安定した音でプレイすることが可能になります。

例えば、「Mod Comp」でピークを抑え、ダイナミクスをコントロールしておくことで、アンプシミュレーターの挙動が安定し、狙った音作りがしやすくなります。

特に、歪み系のアンプシミュレーターを使用する場合、入力レベルの変化によって歪み具合が変わりやすいため、あらかじめコンプレッションをかけておくことで、意図したサウンドにより近づけることができます。

また、ギターカッティングのようにアタック感を強調したい場合は、「Opto-3A」を掛け録りすると、パンチのあるサウンドをより効果的に作ることができます。

このように、「Symphony Desktop」との連携により、リアルタイムでコンプレッションを適用しながら録音できるため、ミックスの段階での処理がスムーズになり、よりクオリティの高いサウンドに仕上げることができます。

Opto-3A

「まとめ」

プラグインのコンプレッサーはサウンドのロスを感じることが多いのですが、Apogee の2つのコンプレッサーはそれを感じさせず、とても重宝しています。
コンプレッサーは元になっている動作方式によってサウンドの方向性や適した用途が異なるため、その見極めが難しいのですが、「Mod Comp」はサウンドの質感を変えずにゲインやピークコントロールができるため、幅広い場面で活躍します。
一方、「Opto-3A」はパンチを加えたり、サウンドの存在感を際立たせたいときに、最小限の操作でそれを実現できます。

この2つがあれば、さまざまなサウンドメイクが可能になるので、ぜひ一度試していただき、そのサウンドクオリティを体感してもらえたら嬉しいです。


Sorato

MusicProducer/Remixer.

国内外アーティストへの楽曲提供、ビート提供、リミックス制作などグローバルに幅広い活動を見せ、The Chainsmokers「Takeaway Remix Contest」では世界9位、日本1位の実績を持つ。
マゴノダイマデ・プロダクション所属

Works(敬称略)
Snow Man “BREAKOUT”作曲(共) 編曲
IVE “Will“  作詞作曲(共 )編曲
いゔどっと ”まほろば” 編曲
北山 宏光 “YOU&I”  作詞作曲(共) 編曲
THE JET BOY BANGERZ “Banger” 作詞作曲(共) 編曲
etc…

gratia(デモ音源歌唱)

大阪大学文学部音楽専修卒業。幼少期からクラシックピアノを学び、大学卒論でタイ音楽を研究。2018年より作家活動を開始し、幅広いジャンルで作詞作曲やボーカルディレクションを行う。

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