2025.05.30
こんにちは、Soratoです。今回はApogeeのプラグインの中でも特に使用頻度の高い2つのコンプレッサープラグインをご紹介します!
光学式コンプレッサー/リミッター。モデリング元になったハードウェアの特徴的なコンプレッションの特性を忠実に再現しており、少しリダクションしただけでパンチと抜けのあるサウンドを作ることができます。
モダンスタイルのコンプレッサー/リミッター。ビジュアルで何が起こっているか分かりやすく、オールラウンドに使えるコンプレッサーです。オートメイクアップゲイン機能により、コンプレッションで下がった音量を自動で補正してくれるため、作業の時短にも繋がります。
「Opto-3A」は有名な光学式コンプレッサーの「Teletronix LA-3A」というハードウェアを モデルにしており、 Apogee以外のメーカーからも複数同モデルのコンプレッサープラグインが登場していますが、その中でもApogeeの「Opto-3A 」は一味違います。
個人的に、他社製品は滑らかだったり大人しいサウンドになりがちですが、「Opto-3A」はかんたんに気持ちよいパンチと立体感が得られます。コンプレッションされることでアタックが際立ち、ディケイが短くなるように感じますが、サウンドか損なわれることはなく、使っていて心地よいコンプレッサーだと感じました。
「Mod Comp」は変な味付けもなく、純粋なサウンドのまま圧縮される感じがどんな場面でも使えるオールラウンダーなコンプレッサーだと感じました。Opto-3Aのようにパンチが加わるわけではありませんが、透明感を保ったままコンプレッションされるため、 音の前後感などを自由自在に配置できます。非常に汎用性が高いコンプレッサーです。
また、コンプを使う目的に合わせて「Style」の設定を変更することで、「こんなかかり具合にしたい」というイメージが具現化しやすく、まさに痒い所に手が届くコンプレッサーだなと思いました。
さらに、オートゲイン機能がデフォルトで「On」になっているため、圧縮した分を持ち上げたい時に時短でき、どこまでも便利だなぁと思いました。
打楽器には、とにかく「Opto-3A」ですね。パンチやトランジェントの制御に適しているため、ドラムやビートのサウンドメイク時には必ず使用しています。
基本的には挿してデフォルトのまま、「Peak Reduction」を上げてほんの少しリダクションをかけるだけ。これだけでパンチが出ます。
特にキックでの「Opto-3A」の使用率は8割ほどです。海外のポップスやK-POPでは「キックの気持ちよさ」が重要なので、いつもかなり時間をかけて作り込んでいます。
そのため、さまざまなプラグインを試し、組み合わせを研究しましたが、個人的には「Opto-3A」が最もサウンドのロスがなく、かんたんな操作ですばやくパンチのあるサウンドにたどり着けると感じました。
キック以外でもスネアやハット、パーカッションなど、サウンドを際立たせたいときには、とりあえず一度挿してみるほど多大な信頼を寄せています。
ちなみに、「ハットが出過ぎてしまった」「パーカッションが目立ちすぎる」といった、パンチを求めない場面ではすぐに「Mod Comp」に切り替えます。
音を後ろに下げたいときは、「Mod Comp」を挿してデフォルトのオートゲイン(On)をOffにし、そのままThresholdを下げるだけ。これだけでピークが抑えられつつ音量が下がり、自然に音が後ろへ引っ込みます。とてもかんたんに操作できるのが魅力です。
何を前に出し、何を後ろに下げるか——バランスの取れたミックスでは、このコントロールがとても重要です。「Opto-3A」と「Mod Comp」の2つを組み合わせるだけで、それがかんたんに実現でき、しかもサウンドのクオリティも申し分なし。どちらも優秀すぎるコンプレッサーだと思います。
歌を前に出したいときや、アタックを際立たせたいときには「Opto-3A」を使用することがあります。一方で、ハモやチャントなど、ある程度まとめて存在感を調整したい場合には「Mod Comp」を使用することが多いです。
「Mod Comp」はサウンド的にクリアな部類なので、バスコンプ的な使い方ではうまくいかないこともありますが、クリアなサウンドのままピークを滑らかに整えたいときには非常に使いやすいと感じています。
どちらのコンプレッサーも使用します。たとえばギターカッティングのようにパーカッシブで賑やかな印象を出したいときは、「Opto-3A」を使いアタックを際立たせつつディケイを抑えます。
逆に、存在感を持たせつつも控えめで華やかな隠し味的なニュアンスを加えたいときには、「Mod Comp」を使用します。
「とりあえずサウンドの質感を保ったままコンプレッションしたい」なら「Mod Comp」。「存在感や抜け感を出したい」なら「Opto-3A」。
このように、用途に応じて使い分けています。
これまでと同様に、「Apogee Control 2」または「Symphony Desktop」側でプラグインを選択します。プラグインを掛け録りしたい場合は「Print FX」を選択し、モニター音だけにエフェクトをかけたい場合は「Monitor FX」でプラグインを起動します。
自分はギターをレコーディングすることが多いため、事前にコンプレッションをかけることで、サウンドメイクの時短につながるだけでなく、安定した音でプレイすることが可能になります。
例えば、「Mod Comp」でピークを抑え、ダイナミクスをコントロールしておくことで、アンプシミュレーターの挙動が安定し、狙った音作りがしやすくなります。
特に、歪み系のアンプシミュレーターを使用する場合、入力レベルの変化によって歪み具合が変わりやすいため、あらかじめコンプレッションをかけておくことで、意図したサウンドにより近づけることができます。
また、ギターカッティングのようにアタック感を強調したい場合は、「Opto-3A」を掛け録りすると、パンチのあるサウンドをより効果的に作ることができます。
このように、「Symphony Desktop」との連携により、リアルタイムでコンプレッションを適用しながら録音できるため、ミックスの段階での処理がスムーズになり、よりクオリティの高いサウンドに仕上げることができます。
プラグインのコンプレッサーはサウンドのロスを感じることが多いのですが、Apogee の2つのコンプレッサーはそれを感じさせず、とても重宝しています。
コンプレッサーは元になっている動作方式によってサウンドの方向性や適した用途が異なるため、その見極めが難しいのですが、「Mod Comp」はサウンドの質感を変えずにゲインやピークコントロールができるため、幅広い場面で活躍します。
一方、「Opto-3A」はパンチを加えたり、サウンドの存在感を際立たせたいときに、最小限の操作でそれを実現できます。
この2つがあれば、さまざまなサウンドメイクが可能になるので、ぜひ一度試していただき、そのサウンドクオリティを体感してもらえたら嬉しいです。
MusicProducer/Remixer.
国内外アーティストへの楽曲提供、ビート提供、リミックス制作などグローバルに幅広い活動を見せ、The Chainsmokers「Takeaway Remix Contest」では世界9位、日本1位の実績を持つ。
マゴノダイマデ・プロダクション所属
Works(敬称略)
Snow Man “BREAKOUT”作曲(共) 編曲
IVE “Will“ 作詞作曲(共 )編曲
いゔどっと ”まほろば” 編曲
北山 宏光 “YOU&I” 作詞作曲(共) 編曲
THE JET BOY BANGERZ “Banger” 作詞作曲(共) 編曲
etc…
大阪大学文学部音楽専修卒業。幼少期からクラシックピアノを学び、大学卒論でタイ音楽を研究。2018年より作家活動を開始し、幅広いジャンルで作詞作曲やボーカルディレクションを行う。