2025.06.04
世界中のトップスタジオで導入されているNeve 88RSは、アナログコンソールの頂点に君臨するフラッグシップモデルです。その圧倒的な音質と信頼性は、他のメジャーコンソールを凌駕し、レコーディングやミキシングの最前線で活躍し続けています。
このNeveの最上位機種 88シリーズ は、コンソールのモジュールをアウトボード化した8801や8803も非常に人気の高いプロセッサーです。しかし、88シリーズは最高峰のサウンドを誇るがゆえに、その導入コストも高くなってしまうのが現実です。
そこで、Neveの最上位サウンドをより多くの人に体験してもらうため、ヘッドアンプ機能を取り出し、オーディオインターフェイス機能を搭載した「88M」 が登場しました。そして今回、88Rのダイナミクス・セクションを小型のアウトボードとして使用できる「88C」 が誕生。
88Cは、2chのVCAコンプレッサーを搭載し、USB-C電源による高いポータビリティを実現。 これにより、業務用スタジオからホームスタジオまで、さまざまな環境でフレキシブルにNeveサウンドを導入できるようになりました。
Neveコンソールの歴史は、1961年にRupert Neveが設立した Neve Electronics から始まりました。1964年に Neve #1064 H/A-EQ を搭載したコンソールが完成し、その後、1073、1081、2254 などの伝説的なモジュールが登場。
1970年代には、Neveの代表的なコンソールシリーズである 80シリーズ(8028、8068、8078など)が登場。
1980年代には、よりクリーンな音質とオートメーション機能を備えた Vシリーズ(V1, V2, VRなど)が登場。
Vシリーズの次世代機として開発されたのが、2001年に登場したNeve 88R です。
このモデルは、80シリーズのアナログの温かみ と Vシリーズの高い機能性 を融合した、Neveのフラッグシップ・アナログコンソールとなりました。
88Rの派生モデルとして88RSも登場しました。
音質の基本設計は共通ですが、88RSは特に映画音楽制作の現場で重視される仕様になっています。
Neve 88シリーズは、世界中のトップスタジオで導入されています。
88Cは、この88R/88RSのダイナミクス・セクションを抽出し、コンパクトな筐体に収めた製品です。業務用スタジオからホームスタジオまで、幅広いシーンで活躍できるフレキシブルな設計となっており、Neveサウンドを本格的に導入できる点が大きな魅力です。
元音源と比較するためハードウェアインサートとして使用しました。
デモ音源は Drums、Bass、E.Gt1、E.Gt2 の構成で、それぞれのトラックに適用しました。
処理前: 0:00~00:10
処理後: 0:12~00:23
BFD3で打ち込んだデータをRELEASE長めで処理をしました。
処理前はハイハット、スネア、バスドラムのバランスが悪く感じられましたが、88CをG/Rを浅めに設定して録音することで、各パーツのバランスが整いました。
また、キックが前に出るようになったので重心も下がり、楽曲全体を広く使えるようになった印象があります。
リズムより際立たせるため、ドラムよりリリース短めで設定しました。
それ以外の設定はほぼドラムと同じですが、この微調節だけでドラムとの分離感が向上し、より明瞭なサウンドになりました。
処理前は少し頼りないサウンドだったため、88Cを使用してジューシーな質感を狙いました。リリースを長めに設定しつつも深く潰しすぎると煌びやかな成分が失われるため、RATIOを調節することで、ジューシーかつキラッとしたサウンドに仕上げました。
付点8分のディレイをかけるため、RATIOとRELEASEを深めに設定し、コンプレッション感を強調しました。
これにより、エフェクトのかかり具合を際立たせ、立体的なサウンドメイクが可能になりました。
G/Rを0.5dB~1dBに設定しただけでも、プラグインでは再現が難しい重心の低さが得られました。また、RatioやReleaseを直感的に操作できるため、奥行きのあるサウンドメイクが可能です。
また、比較音源のため簡単なEQ処理しかしてないですが、ここからプラグインで細かい処理をするとより完成度の違いが明確になりそうです。
いかがでしたでしょうか? 88Cは、プロのエンジニアはもちろん、初めてアウトボードを導入したい方にもおすすめです。手軽にNeveサウンドを手に入れられるためホームスタジオや小規模セットアップでも、本格的なアナログサウンドを求める方にとって、理想的な選択肢となるでしょう。
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